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日本政府の方針、大きく転換される(「2121 ~100年後の未来~」 第18話)

時を同じくして、日本政府の政策が大きく転換します。

実験的に行った「ベーシックインカム」は失敗に終わり、代わりに「希望する国民全員に食料と住居を提供する」という政策が始まります。

国は余っている土地や住居を買い上げて、必要ならば修繕を行い、国民に無料で貸し出しました。

これにより、田舎の過疎化問題が一気に解決に向かい、人口の大都市集中も緩和されていきます。

そこに乗っかる形でヤジさんがやって来ます。最初は一作業員として家屋の保全修復を行い。やがて、そこに住まう者として。

そして、お昼寝して暮らす生活へ…


2121年現在(現代の読者からすると100年後)

オールドヤジさん「もう30~40年も昔の話になるか。あの頃は、なぜあんなにも懸命に働こうとしてたのじゃろう…」

そこに、ちょうど安倍万兵衛あべのまんべえが、お菓子の売り込みにやって来ます。こんな田舎まで、販路を拡大しようと足を運んできたのです。

田舎とは言っても、農作物の収穫・加工・運送が流れ作業で行われており、そこで働く人たちもいました。

安倍万兵衛は、加工工場に自社製品を売り込もうと、必死に説得しています。

その様子を眺めていたヤジさんは言います。

ヤジさん「あんた、ちょっとせかせかし過ぎじゃのう。働き過ぎと違うか?」

万兵衛「は?ジジイ。なんだテメ~」

ヤジさん「そんなにあくせく働いても、な~んにもならん。最後には人の信用を失うだけじゃ」

万兵衛「んなことあるか!懸命に働いて、金を稼ぎ、生活をよくする!人にとって、これ以上の幸せがあるか?」

ヤジさん「はてさて、どうかのう?ノ~ンビリ、ノ~ンビリじゃ。ノンビリ生きるのが一番じゃよ」

その言葉を聞いて、安倍万兵衛はその場を去って行きました。


万兵衛「フン!社会のダニめ!まったく日本政府も何をやってるのか。あんな奴らにエサをやるなよ!そんなだから、いつまで経ってもあいつらは働こうとしないし、この国は貧しいままなのだ」

将来この2人が、読者の皆さんも予想しなかったような熾烈な争いを繰り広げる…ことはありませんでした。

2人の人生は食い違ったまま、2度と交差することはなかったのです。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。