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お尻の穴がピンチにおちいった話

時を24歳の時点に戻しましょう。

この頃から、青年は再び働く意欲に燃え始めます。

「さすがに、この自由気ままな生活も長くなってきたし、このままではいけないかもしれない…」と不安になってきたからです。

世間の人たちは一生懸命マジメに働いていて、その合間にボランティアに参加したり、遊びに出かけたりしています。それと比べると、なんとみじめな人生なのでしょうか?

それに人並みに働けば、きっと「あの人」も見直してくれ、ほれ直してくれるでしょう。

「一生懸命マジメに働いて、かっこいい~」みたいに。

あの人が望んでいたのって、そういうものなんです。安定した収入。波風の立たない人生。平穏無事に過ごし、普通に恋をして、結婚し、子供を産み、育てる。そのような人生です。

「そういうのもいいかな?」という気まぐれが働いて、就職活動を開始することに決めました。そっちの道も見てみたかったんです。

結果的に、この判断が成功だったとも言えるし、失敗だったとも言えます。あのまま自由気ままな生活を謳歌し、毎日作家の勉強を続けていた方が、最短ルートで目的を達成できていた可能性もあります。でも、逆に、空想世界にひたり過ぎて「現実の経験」が足りなかった可能性も大いにありました。

ただ…

ある意味で、こちらのルートを選んだコトで、物語はなお一層おもしろくなったと言えるでしょう。

         *

「さあ!ひさびさに働こう!」と決めてから、青年はまず「楽して儲かる仕事」を探し始めます。

そこで、電話ボックスや線路の側にズラ~~~~っと張ってある「怪しい張り紙」を片っ端から眺めて回りました。

でも、そういうとこって「女性募集!」としか書いてないんです。「男性募集」の数は極端に少ないんですね~

何百枚もの張り紙をチェックして回り、ついに「男性募集!」の広告を発見します。

青年は、喜び勇んで張り紙を引っぺがすと、さっそく書いてある連絡先に電話をしました。

「もしもし、道に張ってある張り紙を見てお電話したんですけど…」と、青年が電話で語りかけると、相手の人は「ああ、じゃあ、さっそく面接に来てくれる?」と言ってくれました。

それで、その日の内に面接に向かうと、なんだか非常に怪しい感じの建物で「あからさまにヤベエな、これは…」という雰囲気です。

その場できびすを返して家に帰ろうかと思った青年ですが、「いや、待てよ。これも何かの経験になるかもしれないぞ」と思い直し、勇気を出して扉を開けました。

案の定、仕事はディープな内容で「お客さんと性的な関係を結ぶ」といったものでした。

「で、結局、『できるかどうか?』なのよ」と面接官は言ってきます。

「できるって、何がですか?」と世間知らずな青年は問い返します。まあ、なんとなく察しはついてましたけどね。けど、一応、質問してみました。

「そりゃ、まあ。アレよ。お尻の穴を捧げられるかどうか。できるなら即採用だし、できなきゃ帰ってもらう。そんだけね。わかりやすいだろう?」

面接の男の人にハッキリと言われて、鳥肌が立ってきました。

それでも、青年は迷います。金額的にはかなり魅力的でしたが「さすがに、それは無理かな~」と判断し、最終的に「ノー!」と答えました。

「そっか。そりゃ、残念だね。君なら結構人気が出ると思うんだけど。ま、本人の意思が一番大事だからね。じゃ、今回は縁がなかったってことで」と言われて、面接終了~~~!

もしも、あの時「イエス!」と答えていたら、世界が引っくり返って、全然別の人生を歩んでいたかもしれません…

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。