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安部製菓のひとり息子(「2121 ~100年後の未来~」 第9話)

最低限の生活が保障されるこの世界において、「全く働こうとしない人」がいる一方で「懸命に働いて、ちょっとでも多くのお金を稼ごうとする人」もいます。

彼の名は安倍万兵衛あべのまんべえ。安部製菓のひとり息子。


安部製菓は、最初小さなおせんべい屋さんに過ぎませんでした。

150年くらい前までは、港町の商店街で手焼きのおせんべいを売っているだけの小さなお店だったのです。

それが、先祖の陰陽師おんみょうじをマスコットキャラにしたことで、爆発的なヒットを飛ばします。テレビでCMもガンガン流し、瞬く間に全国規模のお菓子屋さんへと成長しました。


「せんべえ♪せんべえ♪あべのせんべえ♪」

「みんなで食べよう!仲良く食べよう!安部せんべえ!」

「パリパリ♪サクサク♪歯ごたえ充分♪」

「陰陽師も食べてるよ!」

ほら、こんな感じのCM。みなさんも見たことあるかも?


22世紀の世界において、安倍万兵衛は考えます。

「どうにかして、会社をもっと大きくできないだろうか?」と。

全国規模にまで成長した安部製菓でしたが、それでも万兵衛はまだ満足できませんでした。

人というのは1度何かを手に入れると、「もっと!もっと!」と欲が出てしまうものなのです。

もちろん、それこそが人類の進化のエネルギーにもなっていたわけですが…

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。