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いろいろ同時にやると、頭も混乱してくるし、疲労も抜けなくなっていく

この頃の青年って、周りの人たちからは「一生懸命働いてお金を稼いで偉いね!」って評判が上がっていくのですが、それだと「作家としてはどんどんつまんなくなっていく」んです。

そもそも小説なんて、まともに書けやしないし!


「人として立派になる」と「作家としての能力を極める」では、生き方が全然違うんです。

ゲームで言えば、ロールプレイングとシミュレーションとシューティングだと、全然別のジャンルだし攻略法も必要な能力も全然別でしょ?

アクションやシューティングに必要なのは、動体視力や反射神経。シミュレーションなら戦略性。ロールプレイングに必要なのは…意外と努力だったりするんです。ひたすら同じ敵を倒し続け、経験値やお金を稼ぐような。

それを無理やり全部クリアしようとするものだから、どんどん混乱してきちゃうんです。頭が混乱するだけじゃなくて、エネルギーも大量に消費する。だから、どんどん疲弊していくし、疲れも取れない。

そもそも、いろんなコトを同時にやるって、それだけで時間が必要なので睡眠時間も削らないといけないんです。そうなると、ますます疲労が回復しなくなっていきます。


…とはいえ、この時期はまだマシでした。仕事内容自体がシンプルだったので、生活をパターン化すればクリアできたんです。

最初の半年は派遣社員として現場に送り込まれ、命じられた指令に従うだけでよかった。基本的に土・日は休みだし、たまに祝日もあったし。

もっとも、休みの日とは言っても、ボランティアに参加したり、友人と一緒に出かけたりしていたので、純粋な意味での「休日」なんてほとんどありませんでした。コマネズミみたいにひたすら動き回り、心も体もゆっくり休まる時などありはしません。


最初の半年が過ぎると、働きぶりの良さから青年は「正社員」として雇用されることに決まりました。派遣会社の手を離れ、カサ屋さんに正式に雇われることになったのです。

正社員になれば、収入は安定し、身分も保証され、ボーナスだって出ます!いいコトづくめのはずでした。一見するとね!

でも、実際にはそうではありませんでした。派遣として働いていた頃に比べ責任は重くなり、仕事内容もガラリと変わりました。その上、貴重な休日である土曜日の内、2週に1度は出社しなければならなくなりました。

それらの要因によって、疲労はますます抜けなくなっていきます。この時点で決断しないといけなかったんです!

「フツーの人間として、まともに理想的に生きていく」か?

「人としては最低最悪の落後者。でも、作家としての道を極めていける人生」か?

「フツーの人間として生きていく道」を選べば、今ならば「あの人」も認めてくれるでしょう!だって、これって「あの人にとっての理想の人生」なのですから!

逆に「作家としての道を極める人生」を選べば、以前の生活に逆戻り。再び「あの人」の信頼を失うコトは目に見えています。なぜなら、「あの人の理想とは真逆の道」だから!

ところが、この期に及んで青年はどちらの道も選べませんでした。現状維持で、両方を手に入れようとしてしまったのです。

そうして、さらに精神的に追い詰められていきます。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。