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詩・小説・独白

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自分の詩と小説、あと独白のまとめです。
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#超短編小説

ランプを割る

「努力したあなたの願いを一つだけ叶えてあげましょう。100個願いをかなえてほしいというのも可。」

「私の願いを叶えて欲しいのです!」

「うんうん、そしてその願いは何だい?」

「私の願いを叶えて欲しいというのが私の願いです!」

「うんうん、それで願いは?」

「私の願いを叶えることです!」

「………まぁいいや、魔法を使ってあげよう。」

「わあ!願いが叶った!ありがとう!」

「うんうんど

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「ある案山子の話」

 
 案山子はふと、目を覚ましました。
 
「私はどうして、ここに立っているのでしょう?」
 
 そして思います。
 
「それは、誰かがここに私を立たせたからです。」
 
 それから、いろいろなことを案山子は思います。
 
「何故、私はここからそれから動いてないのですか?」
「案山子って、なんですか?」
「何故私は案山子なのですか?」
「そもそも私ってなんですか?」
 
 悩みが悩みを呼び、目の前

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「しあわせな少年」

窓も何もない真っ白な部屋で、食事も排泄も必要なく、死ぬまで安全に過ごせる。
その部屋の中に入れられた少年が、
「しようと思えるようなことが無い」
という。
それを人はしあわせな悩みといった。
その部屋の扉は外からしか開かない。
その部屋の外から、はじめの数日は声が聞こえた。
数日経つと、なんの音もしなくなった。
「しあわせな少年だなぁ」
誰もその扉を開かなかった。