「しあわせな少年」


窓も何もない真っ白な部屋で、食事も排泄も必要なく、死ぬまで安全に過ごせる。
その部屋の中に入れられた少年が、
「しようと思えるようなことが無い」
という。
それを人はしあわせな悩みといった。
その部屋の扉は外からしか開かない。
その部屋の外から、はじめの数日は声が聞こえた。
数日経つと、なんの音もしなくなった。
「しあわせな少年だなぁ」
誰もその扉を開かなかった。

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