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【リレー小説企画 1/4】酒飲みアイドルとプロデューサー

しと、しと、しと。
小雨が降りしきる神無月。この時期特有の音色を奏でる窓ガラスにほぅ、と息を吐く。

「…雨、止まないなぁ」

「そうですね…こう雨が降ってると、あーめんどうだ、なんちゃって♪」

「…雨の日でも平常運転ですね。30点」

「ぶー。そういうプロデューサーさんこそ、なんだか暗くないです?今日みたいな日くらいはパーッと飲みにいきませんか?」

「なーにが今日みたいな日くらいは、ですか。あなたそう言ってほぼ毎週飲みに誘ってくるじゃないですか」

「私は悪くないですー、日本酒が美味しいのが悪いんですー」

「なんの逆ギレですか…とにかく今日は行きませんからね、仕事溜まってるんで」

そう言って俺は再びデスクへと向かおうとする。
が、目の前に担当アイドルが万歳をして立ち塞がってきた。

「…なんすか」

「仕事をやってワークわく、なプロデューサーさんもいいですけど、今は休むべきですよっ」

「はぁ…50点」

「えー?アイドルが身を挺して体を気遣ってあげたんですよ?そこは100点でもよくないですか?」

「採点に私情は持ち込まないようにしてるんで。あとそのお気遣いは絶対下心ありますよね?」

「ぶー。けち」

はぁ、という具合に肩を落としてしぶしぶ道をあけてくれた。全くこの人は油断ならない。先日もこんな口車に回されて飲みに連れていかれたのだから、普段からこのくらい毅然とした態度で臨まないといけないのだと、ちくりとした心に言い聞かせる。

「それじゃ、次の仕事まで大人しくしていてくださー」

「…なんちゃって♪」

「うおわっ!?」

背中にずしり、とした重力とともにふわりとした香りが鼻腔をくすぐる。

「ちょ、ちょっと…!?何してるんですか…誰か来たらなんて言い訳するんすか!」

「だってー、プロデューサーさんが飲みに連れて行ってくれないっていうんですもん。この悲しみは今解決するしかなしみたい、と思うんです!」

既に成人しているにも関わらずこの言動、この振る舞いである。これでステージ上では抜群の歌唱力とオーラで観客を魅了してやまないというのだから、全くタチが悪いにも程がある。

「わ、分かりましたよ…分かりましたから離れてくださいって!」

「何がわかったんです?はっきり言葉にしてくれないと、ファンに思いは伝えられませんよ?」

「ですから!今日は早く仕事切り上げて飲みにも連れてきますから!だからこの辺で勘弁してください、って…」

ああ、どうして俺はこう…

「んふー、よろしい♪私、今日は日本酒をぐびー、っといきたい気分なんですよねー」

彼女はスッと自分の背中から身を引き、いたずらっぽい笑みを浮かべながらそう言った。
全くこの人には敵わない。

とはいえ、こちらとしてもやられっぱなしでいられるか。
そこで俺も、とある一計を案じることにしたのだった。


一旦、ここで次の方にお渡ししたいと思います!
どんな作品が上がってくるのか、楽しみにしてます。


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