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Borderline

6部作 第4話

まだ10代の本当にガキだった
失うモノも無く 理不尽な奴には牙を剥き
イキがった嫌なガキだった
ポルシェだ メルセデスだ と乗り
皆が道を開けた 時代

奈良でボディーガードとしての鍛錬する日々
観光地ほど 反社会勢力の方々が多い
京都など日本1 多かった そんな時代に
店で騒ぐ 反社など 叩き出すのが
楽しみの1つなクソガキ

あの連中は 仕返しに来る  
素性を調べ 張り込みをされ 数人で
また返り討ちに してやっていた
刃物など怖いと思わなかった
人なんて いつかは朽ちる
早いか遅いかの違いだと 思っていた

そんな奈良で 師と仰ぐ人に会員制のクラブへ
連れて行かれた師の息子と一緒に
師の息子は2人 この2人も奈良では
無鉄砲で有名だった  特に反社には
時には奈良では有名な所から苦情の
電話が入る程に

意気投合し 歳上だった2人には可愛がられ
アニキと呼んで慕っていた
師には娘も居て アニキ達以上に 違う意味で
ヤバい人だった 師の教えが尋常では無いが故
娘さんは結婚して横浜に住んでいたが
時折 実家に遊びに来ていた

何しろ自室で出産して タオルで包み
車を運転して産婦人科へ行く位には
普通の人とは違っていた
子供の頃は 父親との門限を破ると
庭の木に 素っ裸で 縛られ 中学まで
そんな環境だったと 恨み節ながら
聞いた事があった

奈良ねイメージは 鹿が居る のほほんと
した おっとりな都市を想像していたが
普通に賑やかな何処の都市と大差なく
街中は 人も多く 良い街だと思う
古き建物や 小さな小川が玄関前を流れていたり
古都のイメージも ちゃんと残し

日々が師と一緒の時間が多い中で
朝から晩まで 特訓?訓練? 楽しくは無いが
確実に 強く逞しく 色々な事を教わり
後に この一連の鍛錬が 功を奏する事に

少し戻り、会員制のクラブ
人生初の会員制 ……いかにも高級なイメージ
大きなビルの景観の良いフロア
グランドピアノ エスコートするのは
海外の女性が多かった 
カタコトの日本語と英語
色々な国の女性達 

ショート丈のWのジャケットスーツ
白に薄いグレーのストライプ
白のウイングチップの靴
女性達に負けない目立ち様
ドキドキモノのショータイム
何しろ日本人以外の女性達が沢山なんて
初めてだった

後に 赤坂のペントハウスに行った時は
更に凄かったが……TVに毎日出ている
芸能人や某不動産系の社長 
超有名な歌手の弟さんの生バンド
8割り日本人以外の女性達 
テーブルの上には帯の付いた札束
会員でもノータイの人はお断り
実に凄い世界だった ミッドタウンが
出来る前は

で、奈良の会員制クラブ
指名など無い クラブ自体が初めてだし
たまたま、横に座った彼女は
スパニッシュとチャイニーズのハーフ
4ヶ国語を話せる 料理も上手らしい
名前はMaria 国籍はスペイン
僕は元々、英語は好きだったから
更にMariaに教わった
他に何を話せば良いのか 分からなかった

日本で、諸外国の女性と初対面で 普通に
何を話す? 国は何処? 以外 思い付かない
後は 日本の印象と 食べ物くらいかな?
1度気に入ったら それから幾度も連れて
行って貰え その度にMariaを指名して
普段は何をして過ごすのか 国では何を
やっていたのか 今後 何をするのか
カラオケで好きな歌を歌ってくれたり

そんな事が 3ヶ月は続いた
Mariaの部屋で手料理をご馳走に なったり
一緒に映画を見に行ったり アフターの時も
仕事の時は同伴で行ったり 
そもそもMariaは他国を知りたくて日本へ
来た 同じ年齢の女性って言うより女の子だった

一緒に歩いていると目立つ 僕だけでも
目立つのに、ハーフの女の子
スパニッシュとチャイニーズだから
東洋系なのに 堀が深く 肌は少し浅黒い
今の時代なら、ローラちゃん的なイメージ
そりゃあ、目立つよね!

いつしかお互い恋に落ちた
周りも周知する程 あからさまに
2人の態度と 店の人が言うには
こんなMariaちゃんは初めてだよって
他者の発言など どうでも良かった
今は、Mariaしか見えていないから
グランドピアノの陰でKissをしたり
店を後にする時もハグとKissだった
当たり前だけど他の客には無い

Mariaと過ごす時間が 自分の中で
大切で 誰かに牙を剥く事も無くなり
鍛錬の日々も苦とは思わなくなり
何をしていてもMariaの事ばかり
考えている自分が 不思議だし
まぁ、今となっては日本人では無い事が
大きな要因だったのかも しれない

ただ、外国人であるが故に避けられない
問題が やって来た  ビザの期限
Mariaは国へ帰らなければ ならない
帰れば スグに戻るかは 微妙だった
そんな帰国前の夜 
師の奥様とアニキが店長と話し
Mariaの仕事時間を半減させて
僕との時間を作ってくれた

街中の それなりの高そうなHOTEL
その1室に Mariaと2人に してくれて
Mariaは ずった泣いていた
帰りたく無いと  
離れたく無いと
僕に出来る事は 優しく抱き締めるだけ
そんな時間が2時間は在っただろう
約束したのは電話をする事
手紙を書く事
そして何よりも また日本へ来たら
必ず逢おうね と

Mariaとの国境線が ハッキリと解った1日だった
国が違えば 逆でも同じ事になるんだから
不法滞在など違法な事で掴まる訳にはいかない
世の中には 幾人もが日本人以外の異性と
結婚している  

Mariaが帰国する時間 僕は空を眺めていた
飛行機を見ては 涙が溢れた

Mariaが無事に帰国してから 手紙と
国際電話が 稀に
手紙1つ書いて送るのも 初めての
国際郵便 宛先はスパニッシュ
書く文字も初めてのスペイン語
ただ、内容は英語が通じるので
お互い I miss you が多かった
僕はI want you to marry meと
Mariaからの返事は Yesだった

あれから何十年かな
僕は奈良で問題を起こし 大阪へ
大阪でも問題を起こし アメリカへ
今でも関西へは行っていない
府警と反社から 来ないで!と
通達されて以来  
犯罪を犯していない逃亡者

だからMariaの事も解らない
最後に受け取った手紙で 大学へ通い
卒業して日本へ行くよ!だった

今度は僕の方がBorderlineを作ってしまった
中東に居る頃 きっとMariaは日本に……

Mariaが日本を後にする時 もし
婚姻届を無理にでも出したいたら?
どうなっていたのだろうか…………
ま、過去の物語

                          人生色々

                   皆様🤗こんばんは🌟
                     あれから四半世紀
                        幸あれと願い

では良き夜を🍀

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