少年院映像表現コンクール
少年院は全国に約50。
年間2000名前後が送致され,それぞれの施設で,その施設の特長を活かした教育を受ける。
国が運営している施設であり,大まかな枠組みとしては統一された法律の下で運営されているが…
少年院間での交流は基本的にはない。
数年前までは,複数の少年院が合同で剣道大会などをやっていた例もあるが…僕の知りうる限り,現在は施設を超えた取組はほとんど残っていない。
そんな中…
毎年行われている全国的な取組の1つが,少年院映像表現コンクールだ。
各少年院で3分の映像を制作し,コンクールを行う。
テーマは毎年変わり,そのテーマを受けて,構成,撮影,編集なども基本的には少年たちが行う。
優秀作品に選ばれると,俳優の杉良太郎氏が主催している「アジア国際子ども映画祭」にも出品され,アジア各国の代表作品と並んで審査対象となる。
少年院で作られた作品が,アジア国際子ども映画祭で賞を取ることも多く,毎年行われている表彰式では,少年院に在院している非行少年に代わって,その施設の職員が表彰式に参加している。
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少年院映像表現コンクールも
アジア国際子ども映画祭も…
基本的に大人の手は入らないことが応募の条件だ。
機材の操作方法等に関する説明はしても構わないが,制作過程のすべてを,子ども自身が行うことが前提となっている。
少年院という特性上…
機材を完全に少年たちに委ねるわけにもいかず…
また
制作に割ける時間が限られていることや,撮影のための移動にも職員の付き添いが必須であることを考えれば,いずれの少年院も職員の介入がゼロというわけにはいかないだろうが…
それでも,
少年たちが制作した作品たちには,一般の人がハッとするようなメッセージの込もったものが少なくないように思う。
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昨今は動画編集が1つのスキルとして重宝されているが…
いずれのコンクールも,スキル以上にそこに表現された少年たちの内面を重視して審査しているようである。
少年院送致は保護処分であり,そこにいる少年たちの個人情報は原則として外に出ることはない。
そのため,
映像作品においても…顔はもちろんのこと,身体に入った刺青なども映すことができず,制約は多い。
しかしながら…
毎年の受賞作品には,それらの制約を優れた表現へと昇華しているものが多いような印象を受ける。
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コンクールの詳細はこちらの記事に譲るとして…
百聞は一見にしかず。
以下に,受賞作品を紹介しておく。
いずれも少年院の作品で,3分で終わる。
なお
本稿の主旨をそれるため,紹介は割愛するが…アジア各国の代表作品もいずれも素晴らしく,日本とは圧倒的に異なる視点にハッとさせられるものが多い。
そちらもぜひご覧になっていただきたい。
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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。