混乱する米国株式市場、今後数週間はインフレ、利上げを示唆するヘッドラインと決算発表との綱引きに

マネックス証券 岡元兵八郎(ハッチ) 

2022/1/16

先週の米国株市場では、S&P500は0.3%下げ、ナスダック総合は0.28%の下げで終わりましたが、ハイテク大型銘柄の多いナスダック100は若干ですが、プラス0.12%で終わりました。

混乱する米国株市場
1週間の株価指数の変化率だけ見ますと、一見大した動きはなさそうに思えるものの、実際のところはと言いますと、米国市場は日替わりで非常に不安定な動きをしています。

金利が上がるからマーケットは下がると思われがちですが、日々のマーケットの動きを見ていると必ずしもそうではありません。金利が上がっても、マーケットはそれを気にせず上がる日もあれば、金利が上がると思い出したように株が下がる日もあります。
12月のCPI(消費者物価指数)は前年比7%と1982年来の高いインフレ指数を発表しましたが、マーケットの整理は、この指標は予想通りだったということで、金利は下がり、株価は上昇しました。
バリュー銘柄が思いっきり買われる日もあれば、グロース銘柄が交代で買われる日もあります。
朝方大きく売られていたにも関わらず、引けまでにその下げを取り戻したり、また、その逆も然りです。
これは、一言で言うとマーケットはconfuse、つまり、混乱しているのです。

このように混乱した状況となっているアメリカ株ですが、こうした状況になることは、ある程度予想がついていました。
こちらは昨年の夏あたりから私のセミナー等でお見せしているデータでして、前回の2015年の利上げ前後の株価の動きです。前回の利上げは2015年12月16日に行われましたが、ご覧のようにS&P500は利上げの前後に乱高下しています。

ただ、ここで皆さんに覚えておいて頂きたいのは、一度利上げが始まってしまうと、その後調整はあるものの、トレンドとして株価は上昇しているということです。

マーケットのフォーカスは決算発表にシフト
このような環境下、マーケットのフォーカスは決算発表にシフトし始めています。
米国では第4四半期の決算発表が始まりました。
アナリストによる事前予想では、今季の売り上げは前年比で12%増え、収益は19%増益するという見通しとなっています。

先週金曜日の引けまででS&P500社のうち26社が決算発表を終えており、これまでのところ前年同期比で売り上げは12.8%増え、発表済み企業の92%が売り上げを増やしています。また、収益の方では前年比で17.4%の増益で、76%の企業が増益となっています。前回の第3四半期では88%の企業が売り上げを増やし、81%の企業が増益発表を行なっています。

決算発表はこれから本格化します。これから数週間はインフレ、利上げを示唆するヘッドラインニュースと、決算発表との綱引きとなるでしょう。

今週発表予定の決算発表は以下の通りです。

1月18日(火)
ゴールドマンサックス(GS)

1月19日(水)
バンク・オブ・アメリカ(BAC)
プロクターアンドギャンブル(PG)
ユナイテッドヘルス(UNH)
アルコア(AA)
ユナイテッドエアラインズ (UAL)

1月20日 (木)
アメリカンエアラインズ (AA)
ユニオンパフィフィック(UNP)
CSX (CSX)
ネットフリックス(NFLX)

1月21日(金)
ハニーウェル(HON)


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