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いつ何が起きても不思議でないウクライナ情勢で下落する米国株


マネックス証券 岡元兵八郎 (ハッチ) 2022/02/21

米国株式市場の方ですが、引き続き非常に不安定な状況が続いています。
先週1週間でS&P500は1.6%、ナスダック100は1.7%とそれぞれ下落しました。

先週からのマーケットの動きに刻々と影響を与えているのは緊迫度を増してきたウクライナ情勢です。
先週のこのコラムでは、地政学リスクが現実化するするかもしれないと述べました。その後、現実化する可能性はますます高まってきています。

いつ何が起きても不思議でないウクライナ情勢
先週月曜日の午後にウクライナの首都キエフの米国大使館閉鎖の発表があると、状況の深刻さがマーケットに伝わってきました。ウクライナ情勢については、日に日に状況が悪化しています。
ロシアからと米国からの双方の情報には食い違いが目立ち始めており、プロパガンダ戦争は既に始まっています。日本時間月曜日の午前中の段階では、ウクライナ国境沿いに集結したロシア軍の数はおよそ19万人と言われていました。日曜日の米CBS放送によると、そのうち半分はいつでもウクライナを攻撃できる体制になったとしています。

ウクライナ隣国のベラルーシでは、ベラルーシ国防省が同国とロシアとの合同軍事演習を延長すると発表、約3万人のロシア軍は引き続きベラルーシへの派遣を延長すると発表しました。
同放送の現地からの報道では、ウクライナ軍司令官によると、ロシアとウクライナのフロントラインでは、砲撃が起きており、ある意味この戦争は既に始まったようなものだと伝えています。

18日にはバイデン大統領は、プーチン大統領はウクライナへ侵攻する腹を決めたとの見解を発表、しかし最後の外交の余地は残しているとしています。今週米国のブリンケン国務大臣とロシアの外務大臣が会談をする予定となっていますが、バイデン大統領はもしそれまでにロシアが軍事行動に出るとすると外交的な解決を望んでいないと判断せざるを得ないとの見解を述べています。
前回のこのコラムで述べた通り、ロシアには2008年のグルジア戦争や、2014年に元ウクライナ領クリミア半島を併合してしまったという前科があり、日本の常識とは違う論理が働くことは知っておくべきです。

現在の米国株市場は地政学リスクを織り込み下落しており、ファンダメンタルズを無視した展開となっています。マーケットは最悪のシナリオを織り込み中であると言って良いかと思います。もし、最悪な事態となったとすれば、それがマーケットが上昇するきっかけとなる可能性は否定できません。

このような状況下米国株のバリュエーションは下落の方向へ
このような状況下ですが、物事をポジティブに考えてみて言えるのは、現時点で米国企業のファンダメンタルズが変わらない中、株価は下がっているため、株価に割安感が出てきていることでしょうか。


図1

現在のS&P500の今年のEPSを使ったPERは19.5倍であり、来年のEPSを使ったPERは17.7倍です。コロナ禍2020年のEPSを使ったPERは27倍でしたから、トレンドとしてバリュエーションの低下が起きています。これまでのS&P500の予想PERは18.4倍ですから、EPSは伸びる中、株価のバリューションが下がってきて魅了的なレベルになっていることは間違いありません。

米国では粛々と決算発表が続いており、実際全体的に業績は伸びています。これまでのところ、第4四半期のS&P500採用企業のうち419社の決算発表が終わっており、前年同期比で27.4%の増益となっており、77%の企業が事前予想を上回っています。

日本時間の午前中には、フランスのマクロン首相の仲介で、バイデン大統領がロシアがウクライナを侵略しなければプーチン大統領と話し合いに応じても良いとのニュースが流れました。
日本時間午後3時の段階では、クレムリンからこの話し合いに応じるか否かの回答は出ていません。

明日米国時間2月21日、月曜日はワシントン誕生日でマーケットは休場となります。

いつ導火線に火がついてもおかしくないウクライナ状況ですが、戦争が起きないことを最後まで祈りたいと思います。


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