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出口が見えないウクライナ情勢、VIX(恐怖)指数が30を超えた米国株のその後は

マネックス証券 ハッチ (岡元兵八郎) 2022/3/13

先週1週間でS&P500は2.88%の下げ、2週連続の下げとなりました。
ナスダック総合は1週間で3.53%の下げです。
先週お伝えした通り、ナスダック総合はベアマーケット(52週間の高値から20%以上下落)に突入しました。
先週金曜日の段階でロシアのウクライナ軍事侵攻後12日目となりましたが、紛争解決の糸口は見つかりそうもありません。

そんな中、恐怖指数と呼ばれているVIX指数が高騰する展開となりました。
同指数はマーケット参加者の心理を表す指数として注目されています。この指数が20以下であると、マーケット参加者は心理的に安定しており、20に近づき超えてくると、その後近いうちに大きな下げがあるのではないかという警戒感が高まってくると言われています。今回のロシアによるウクライナ侵攻後、米国株が大きく下落する中、VIX指数は先週の月曜日である3月8日までに7日間連続で30を超えてしまったのです。

VIX指数が7日間連続で30を超えたケースは、1990年からこれまでで16回起きており、今回で17回目となります。
戦争が起きている中このような事態になると、マーケットの今後の先行きに不安を持たれる方も多いのではないかと思うのですが、必ずしもそう悲観的になることはなさそうなのです。

こちらのデータは、過去にVIX指数が7日間以上連続で30を超えた時の、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年後のS&P500のパフォーマンスをお見せしています。

図1


中央値で見ると、1週間後はS&P500のリターンは-0.5%、プラスになる確率は50%しかありません。しかしその後、1ヶ月後のS&P500は中央値で+3%となり、プラスになる確率は69%へ高まってきます。3ヶ月後、6ヶ月後、1年後のリターンはそれぞれ+7.8%、+17.3%、+26%、プラスになる確率はそれぞれ81%、81%、88%へと高まってきます。加えて、これらのリターンは、通常の米国株のリターンより高いことがわかります。

過去2回だけ1年後がマイナスのリターンとなっていますが、これはドットコムバブルの崩壊と世界金融危機の際のことです。

生憎今回の戦争の行方を占うことは誰にもできませんが、米国株市場で過去に発生したベアマーケットのその後の状況を検証する限りにおいては、これからの米国株の見通しに必ずしも悲観的になることはないのではないでしょうか。

生憎今回の戦争の行方を占うことは誰にもできませんが、米国株市場で過去に発生したベアマーケットのその後の状況も頭の片隅におきながら、冷静にマーケットを注視していくことも求められているのではないでしょうか。

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