見出し画像

ナスダック総合は20%下落しベアマーケットに突入。歴史から学ぶその後の行方とは


マネックス証券 岡元兵八郎 (ハッチ)

ロシアのウクライナへの軍事侵攻が続くなか、米国株は下落が続いています。そんななか、ナスダック総合は昨年11月19日の52週間の高値から今週月曜日(3月7日)までに20.09%下落しました。この下げに要した日数は108日です。これを持って同指数はベアマーケットに突入したことになります。
ベアマーケットとは、広範的な悲観論と否定的な投資家心理の中、株価が20%以上下落した状態のことです。今回のベアマーケットは1971年にナスダック総合株価指数が生まれてから13回目のことです。

図1

(引値ベースで20%の調整のみ、その間20%以上のラリーがあった期間は除く)

このデータから分かることは、ナスダック総合が52週の高値からベアマーケットへ到達するまでの期間は平均102日(中央値は76日)となっています。ベアマーケットの領域に入ればそれで終わりではありません。大体においてその後も下がり続け、52週の高値からの最終的な底までの下落率の平均は33%(同30%)となっています。ベアマーケットに達した後、平均で123日(同40日)かけて大底を確認します。つまり、これまで52週の高値からベアマーケットの底を確認するまで平均で225日(同99日)かかったことになっています。
今回のベアマーケットについては、昨年11月19日から3月7日まで108日と、これまでの平均の102日より6日長く過去の中央値である76日より32日長くかかり起きています。

図2


肝心のその後、つまりナスダックが20%下落した後の同指数のパフォーマンスですが、1週間後は平均+0.6%(中央値は+1.2%)、1ヶ月後では平均+2.5%(同+0.4%)、3ヶ月後は平均+11.8%(同+10.4%)、6ヶ月では平均+17.7%(同+11.1%)、12ヶ月後では平均+21.7%(同+16%)とそれぞれ上昇となっています。

 
次にナスダックが20%下落した後、同指数がプラスになった確率は以下の通りです。1週間後(58.3%)、1ヶ月後(50%)、3ヶ月後(66.7%)、6ヶ月後(83.3%)、12ヶ月後(75%)

これまでの12回のベアマーケットで、ナスダック総合が1年後も下がったのは1973年の第一次オイルショッ、変動相相場制移行、ニクソンショック、2000年はドットコムバブルの崩壊、2009年が世界金融危機の時となっています。

「ベアマーケットに突入」と言いますと聞こえも良くなく、これからナスダックがもっと大きく下がりそうだという錯覚を覚えてしまいそうなのですが、過去の例で見てみると、ベアマーケットの領域に触れてしまった後の同指数の運命はというと、実は時間の経過と共に高い確率で上昇してきたというのがこれまでの事実となっています。必ずしも悲観する必要はなさそうだということです。

これまでのナスダック総合の下落は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻という最悪の事態のかなりの部分を織り込んでいると思われるものの、あいにく今後の戦争の行方は誰にもわかりません。
このような局面においては、前に書いたことを繰り返しますが、売上、EPS、キャッシュフロー、株主還元策的にも安心できるGAFAM+TN(GOOGL, AAPL, FB, AMZN, MSFT, TSLA, NVDA)のような大型銘柄のような銘柄への投資が相対的にリスクの低い投資ではないかと考えています。
また、今回のマーケット下落局面で売られ過ぎの銘柄については、今一度会社の事業に変更はないかを確認、変わったのは株価だけであるという判断ができるのであれば、それは基本的に事業価値と株価との乖離が拡大しただけであり、時間の分散での投資は正しいものと考えます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?