今年66回目の高値を更新したS&P500、益々侮れなくってきたGAFAMの影響力の凄さ

マネックス証券 岡元兵八郎

先週のS&P500は0.32%上昇、4,697.96ポイントで終わりました。木曜日には引値ベースで史上最高値を更新しましたが、これは今年に入って66回目の高値更新です。これまでの記録は1995年の77回ですので、ひょっとすると年末までにこの記録を更新するかもしれません。 ナスダック総合の方は先週1.24%上昇、金曜日には16,057を付け史上最高値を更新しています。

 先週金曜日は月に一回の株式オプションの満期日で、この日は通常より商いが急増し、市場もボラティリティが高まる傾向があります。過去一年で見てみると、同様の週にS&P500が上昇する確率は25%で、平均リターンは−0.31%となっています。 また、満期日当日に同指数が上がる確率は18%で、平均下落率は−0.35%と、統計的には 先週は S&P500が上がらない1週間であり、金曜日は特には上がらない日であるはずだったのです。 

 では、何が起きたのか? 木曜日に発表された半導体メーカーのエヌビディア(NVDA)の決算が余りにも良かったのです。第3四半期の決算を受け木曜日に8%株価が上がったエヌビディアですが、金曜日も4%上昇しています。

 エヌビディアの今季の売り上げは前年同期比で事前予想を4%上回り50%増、粗利益率は予想通りの67%、EPSは予想を6%上回り前年比61%増という結果となっています。好調なのはデータセンター関連の売り上げですが、世間的にサプライチェーンの停滞が問題となっている中、同社は旺盛な需要に対応できる供給を確保できたこともエヌビディアの強みとなりました。また、最近注目されているメタバースの領域でも同社は実力を発揮することでしょう。エヌビディアは現在長期的な成長ステージの初期の段階にいると言えると思います。GAFAM+Tに次ぐ、次の時価総額1兆ドル候補銘柄はエヌビディアであり、そうなるのは時間の問題でしょう。 

 GAFAMの影響力の凄さはどこまで強まるのか 

 先週はアップル(AAPL)が、2025年までに完全自動運転EV車を発売するだろうとの憶測記事が出たことを受け、アップル株は史上最高値を更新しました。これによりしばらくマイクロソフトに譲っていた時価総額一位の座を奪還することができました。 また先週はGAFAM銘柄の中で出遅れていたアマゾン(AMZN)も、4.3%上昇し、こちらも先週のナスダック総合や、S&P500の上昇に貢献しています。 

 GAFAM銘柄はそれだけで存在感があるのですが、最近アマゾンの影響力の強さを改めて考えさせられました。 2週間前のことです。米国株市場ではEV車メーカーのリヴィアン(RIVN)のIPOが話題になりました。このリヴィアンの現時点での工場での生産可能台数は年間最大15万台と言われていますが、今年10月現在でまだ150台しか生産していないような会社です。しかし、上場後株価は連日上昇、上場後3日間で株価は倍以上になり、あっという間に日産、フォード(F)、GM(GM)の時価総額を抜いてしまいました。勿論、投資家の同社の将来に対する期待感もある訳ですが株価が急騰したのはそれだけではありません。 実は、この会社はアマゾン向けに10万台の配達用トラック配送用のEVヴァンを2024年までに10万台納入することになっています。アマゾンはこのリヴィアン株の20%を保有する株主なのです。つまり、リヴィアンはアマゾンお墨付きの会社だと言えます。 

 8月末にはフィンテック企業のアファーム(AFRM)がアマゾンとのパートナーシップを発表しました。アファームはBNPL(今買って後で支払う)技術を持ったフィンテック企業です。Amazon.comのサイトで50ドル以上の買い物をすると、アファームのBNPL機能が使い、分割で支払いができるようになるというものです。このニュースを受け、アファームの株価は1日でなんと4割も上がったのです。 

 先週のことです、アマゾンは先週英国では今後ビザカードでアマゾンのサイトで利用できなくなると発表したのですが、これを受けビザの株価が1日で5%下落したのです。アマゾンが、英国で世界を代表するクレジットカード・グローバルブランドのビザを使わなくなると発表しただけで、同社の株価が5%下がってしまうのです。 

 こう言った株式市場で起きている出来事を見ているだけで、アマゾンが他の企業に対して持つ影響力の大きさを思い知らされます。たった一つの企業がここまで世界中のあらゆる業界や企業に対し影響力を持つようなことはこれまでなかったのではないでしょうか。この勢いは決して止まることなく、拡大する一方でしょう。まるでアマゾンが世間の企業の製品やサービスの品質保証をしているかの如くです。 株式の投資家にとって、こう言ったGAFAMのようなグローバル企業の今後の勢力図を理解することで、これからのその銘柄や関連銘柄の長期的な潜在的な凄さが見えてくると思った次第です。 

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