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heidi.

お誕生日でも無い、
なんでもない日だったと思う。
母に連れられて 
近所のおもちゃ屋さんへ行った。

「 好きなものを選んでいいよ 」
母が言った。

私は店内を見渡した。
天井からぶら下がるブランコに乗った 白熊さんと目があった。


うつむき、悲しそうに座っている。

「 あの子が良い 」

私は白熊さんをぎゅっと抱いて帰りました。

( ある日 
   森の中 
    くまさんに 
      出会った )

帰って 白熊さんを見ると フワフワの毛の中に    大きくにっこりしているお口がありました。
 この子に にっこりした口は嫌だな。
似合わない。その時の私は そう思ったのです。
悲しそうな表情が可愛くて好きだったから
いつも白熊さんの口を隠すようにしていました。


( 花咲く森の道 
   くまさんに出会った


     ラララ ラ ラ ラ ラ ラ
      ラララ ラ ラ ラ ラ ラ )

私は 「 森のくまさん 」を唄って 
白熊さんを動かしてよく遊んでいました。


………

1997
お腹にいる娘へのgiftとして 
オリジナルのテディベアを作りました。

昔からアンティークのぬいぐるみが好きでいくつかもっていたのでそれを参考に、自分で適当にパターンをひきました。
これがいまでも同じ、適当にやっている。

( 材料は 
  アンゴラ山羊のモヘア生地、グラスアイ。)

可愛らしく出来上がると嬉しくて その後 
友人へのgiftに沢山作るようになりました。

ぬいぐるみ作りと、その頃 私はガーデニングが趣味で 
近所のVerrine de Vert(ベリン・デ・ベール)でよくお花を買っていました。
アンティーク雑貨もあって 二階はカフェ。
そこで子供達とオーナーさんのお母さんが作るケーキを食べる時間が幸せでした。

Verrine de Vert(ベリン・デ・ベール) 
仏語で「緑のガラス箱」
千葉市緑区鎌取にありました。現在close
Shop Concept
あわただしい毎日の中で、ほんの少しゆったりと優しい時間を過ごして頂きたい
忘れがちな四季の彩り、太陽の温かさを感じさせてくれる花や雑貨をお届けしたい・・・

………

ある日、ベリンデベールのオーナーさんが注文したお花を届けに来てくれました。

たまたま玄関に飾ってあった私のテディベアを見つけ、「 これはどなたの作品ですか? 」

その場で「 お店で販売させて欲しい 」と
申し出てくださり、
私はぬいぐるみ作家としての活動場が決まりました。
オーナーさんも
アンティークのぬいぐるみが好きな方でした。


ベリン・デ・ベールは無くなりましたが あの時 あの場所で過ごした時間は今も忘れないで心に残っています。
優しいケーキの味も。

2014
私は子供達と一緒に千葉を離れ、倉敷に移住しました。

gallery björnで猫4匹とお店番をしながら 
ぬいぐるみを製作しています。

好きな事、好きな場所で 頑張って過ごすと、
流れがやってきて、 たまたまも重なって今に至ります。
                                                                            heidi.


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