見出し画像

Ami 第6章-真の知性とは②

✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧ ✧
「なんだって!?脳が3つもあるの!?」
「いいえ、3つの脳機能の事です。
精神活動の3つの中枢と言った方が良いでしょう。
1つは、コンピュータである、頭、考え。
『知的中枢』と呼んでもいいでしょう。
地球科学では大脳新皮質と呼ばれています。
論理的なこと、地球上のこと、人生の実用的なことに関連する情報を処理します。
次に大脳辺縁系と呼ばれる『感情中枢』です。
これは、感情、情緒、情動に関連しています。
あなた方の世界の人々のこの中枢は、非常に悪い働きをしています。
集団レベル、あるいは特定のレベルで、より高い物事のシステムに上昇したいのであれば、これが解決しなければならない最初の問題です

あなたの感情中枢のバランスをとることです。
「どうやって、どうして?」僕は尋ねました。
「すぐに教えてあげます。
そして最後の3つ目が『身体中枢』です。
あなた方の脳の形が、私たちの先史時代の名残である爬虫類の
脳と非常によく似ているのです。
身体中枢は、動物の基本的な機能や本能、攻撃と防御、縄張り、自我、生存と繁殖などに関係します。
知性、感情、身体の3つの中枢のバランスによって、アラスカの男性の胸にスクリーンに映し出されたような光が決まるのです。
バランスが良ければ光は強くなり、バランスが悪ければ弱くなる。

魚は生きることしか考えていないません。
身体中枢のみで、考えもなく、感情もゼロなのです。
だから、そのレベルは非常に低い。
多くの人間も同じなのです。」
と彼は笑いました。
「わかるような気がするよ。
なぜ、僕たちの感情中枢がうまくいっていないと思うの?」
「あなた方の感情中枢には思いやりが欠けているからです。
そのために、他人に対して、時には自分自身に対してさえ、暴力や残酷さや無関心が多すぎるのです。
だから、そのバランスを取らない限り、人生のある事柄を疑うことさえできません。
自分たちが、より大きな進化や内なるバランスを保っているときのみ、より明確になる、人生の特定のもの存在の、優れた意味のようなものを
それ以下ではないのだと云うことを。」
僕は、アミが何を言いたいのかよくわかりませんでしたが、後になって理解することができました。
「誰もが3つの中枢のバランスが取れているわけではないってこと?」
と僕は尋ねました。
「ペドロ、あなたの世界では取れていません。
それがあなた方の主な問題なのです。
だから、私たちは、あなたが思っているように
多くの人々を知的だとは思っていません。
私たちにとって知的な、あるいは賢明な人とは、3つの中枢が調和している人のことで、調和やバランスとは、身体や知性の活動が、心の知恵や感情の働きの元になければならないことを意味するのです。
「どうして?」
知性は単なる道具、コンピュータ、計算機に過ぎないからです。
しかし、人間の偉大な動機が見いだされ、その最も深い現実、何が人を幸せにするか不幸にするか、最も重要なのは心の中にあるからです。
したがって知性は、人々を幸せにするのを助けなければいけないのですが、ここで知的と呼ばれる人々の多くは、その逆で、表面的なデータに基づいた冷徹な理論や、頭脳計算に従わなければならないと考えています。
彼らは、本当に重要な事を無視しているです。
彼らはなんと知的なのでしょうか。」
僕はアミが例を挙げてくれた方が理解しやすいので、例を挙げてくれるよう頼みました。
すると彼は言いました。
「鯨を10頭捕ったら、1千万ドルだ。
だから、海から鯨を全部取ったら、数十億の収入になります!」
アミがおかしな顔をして言うので、僕は笑ってしまいました。
「こういう人は、お金という表面的なものしか見ていませんが、自然や他人、自分自身にさえダメージを与えているという深い部分には気づいていません。
3つの中枢のバランスが崩れているために、それが見えない、あるいは気にならないのです。
鯨ハンターの例では、狂った男たちの原動力は肉体的な中心である『お金』です。
感情中枢はほとんど存在しないので、彼らは感情を持たず、クジラや人間を存在としてではなく『物』として見ているため、それらに関心がないのです。
そして、知的中枢も身体中枢のレベルに落ちる可能性があります。
大金がもたらす可能性に魅了され常識や生命の論理に従わなくなり、
『内なるゴリラ』に主導権を握られるようになるのです。」
「前より理解できたと思うよ。
でも、知的、肉体的なものよりも、感情の中心が発達している人はどうなんだろう? 」
僕は知りたかったのです。
「それは逆に言えば、『善良な馬鹿』とも言えます。
知的な限界があるために、自分の生きている人間や世界をよく理解することができず、最終的にあまり良いとは言えません。」
「どうして?」
狡猾な悪人が、自分たちは良いことをしていると信じながら、彼らの脳を洗脳して、自分や他人を傷つけるように仕向けるのは簡単だからです。
はっきりとした理性を持たない者の愛情は、真の愛にはならないのです。

「じゃあ、彼らに欠けているものは何なの?」
「感情が真の知恵になるには、知性によって啓発されなければならず、知性が真の知性になるには、感情によって啓発されなければならないのです。」
このようなことずっと考えて、後になってやっと、僕はアミの言うことが正しいと理解できたのです。
悪いことを思い出したり、人間が他人や動物を苦しめたり、殺させたりするのは、すべてバランスが悪く、理解力や感受性が欠けていて、感情中枢がうまく働かないために生じるものだと解りました。
バランスのとれた人は、誰かを苦しめることはできません。
なぜなら、誰かを苦しめれば自分も苦しむからです。

だから、知性の発達は感情や身体の発達と調和していなければならないのです。
そうしてこそ、真に知的な人、賢明な人と言うことができるのです。

「それでアミ、僕はどれくらいのレベルなの?」
「教えられません。」
「どうして?」
「もしあなたのレベルが高いと、うぬぼれが強くなるからです。」
「理解できないよ。
プライドは良いものだよね。」
自分に打ち克つ満足感、あるいは人の役に立つ満足感、それが健全なプライドを生みだします。
しかし、傲慢で軽蔑的になるもの、それは虚栄心、狂気のプライドです。」「ああ、なるほどね。」
「狂気のプライドは純粋で濃縮されたエゴであり、それは内なる光を消してしまうので。。」
「すごいね!」
それを聞いて、僕は、アミの言う通りだと思いました。
私たちは、ただ、人生という映画の中で、目の前にあるすべてのものを知覚し、受け取り、学び、楽しむように招かれているのです。
なんと美しいのでしょうか。

『ビッグボス』は海、惑星、銀河を創造し、拍手さえも求めません。
それは、大いなる心が誰よりも多くの高いレベルにあるからです。

アミは笑いました。
「ややこしいことは抜きにして、僕がどの程度のレベルなのか、一度だけ教えてくれない?」
僕のレベルが高くても(と思ってるんだけど)、傲慢になることはないと約束するよ。」
「わかりました。
でもレベルが低かったら・・・すっごく嫌な気分になりますよ。」
僕はそれを受け入れたくなかったので、何も言いませんでした。
「ほら、もう帰りましょう。」
僕たちは一瞬にして、地球の裏側に位置するヒマラヤに戻ってしまったのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?