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「TED Talksでアフリカを学ぶ」シリーズー女性が太鼓を叩くのはダメ?ー

どうも。大学4年のヒポポハリネズミです。今回は、「TED Talksでアフリカを学ぶ」シリーズの第一回目。

「TED Talksでアフリカを学ぶ」シリーズとは……
あらゆる分野の講演者による多彩なトークが詰まった動画配信サービスTED Talks。この学びの宝庫の中から、「アフリカ」に関連する動画を僕が独断と偏見により選び出し、解説やコメントを加えていくという不定期開催コーナー。

講演:「太鼓で奏でる私の物語」

Kasiva Mutua ”How I use the drum to tell my story”(2017)


講演のポイント

本講演では、ケニアの打楽器演奏者Kasiva Mutuaがアフリカ地域社会において女性が太鼓を演奏することについて、自身の体験を踏まえながら語っている。講演の後半は、彼女自身によるパフォーマンスが繰り広げられる。
内容のまとめも兼ねて僕が選んだポイントはこちら。

①女性は太鼓(打楽器)を演奏しないという伝統
②社会によって刷り込まれる女性の「役割」
③誰もが文化の担い手

①女性は太鼓(打楽器)を演奏しないという伝統

 Kasiva曰く、多くのアフリカ地域社会では、昔から女性が太鼓や打楽器を演奏することが禁止され、タブー視されてきた。男性が楽器を演奏しリズムを刻み、女性は歌や踊りの担当ということだ。また、女性が太鼓を叩く姿は卑しいものとされる場合もあるそうだ。
 現代の潮流を考えると、こういった情報があればすぐにでもフェミニズム的な観点から批判してしまいたくなる人もいるだろうが、それは早まった考えだろうと僕は思う。もっと多くの状況(データ)を集め、現地の文脈を考慮しなければ、表面的な理解に留まってしまうだろうと思う。

②社会によって刷り込まれる女性の「役割」

 Kasivaによると、彼女の属する社会では、幼い頃から「女性は台所で働くべきだ」といったような「役割」が知らず知らずのうちに刷り込まれてしまっているという。これはどこの社会にも通ずるところがあるのではないだろうか。
 「社会の眼」は怖い。自分が正しいことをしていると信じていても、「社会の眼」は冷酷な視線を刺し続ける。Kasivaは打楽器のインストラクターとして活動している時に、打楽器を演奏したいという女性に多く出会ってきた。しかし、彼女たちが声を揃えて嘆くのは、「私を見てくる周りの目が怖い。」や「打楽器を演奏することを夫が許してくれない。」など、ネガティブなものばかりであるそうだ。

③誰もが文化の担い手

 ②で書いたような向かい風の状況にも関わらず、活動を続けていくKasivaのような人には尊敬の念を抱かざるを得ない。彼女たちがそこまで身を入れて太鼓を叩くということは、太鼓を演奏すること自体にもの凄く大きな魅力があるに違いない。
 太鼓はアフリカの文化にとって欠かすことのできないもので、昔から重要な存在である。しかし、それはかつてのような重みをもっているわけではないという事実もある。Kasivaはその状況を変えようと、活動を続けている。Kasivaは文化の担い手は男性だけではなく、女性ももちろんそうであると主張する。誰もが文化の担い手であるという彼女の想いは、彼女が太鼓を使って奏でる「語り」からしみじみと伝わってくる。

おまけ

 Kasivaのように伝統を打ち破り、文化を継承している女性の演奏者は多くいる。その中の一人が、Sona Jobartehである。グリオという音楽一家に生まれた彼女は、何世紀にも渡って父から息子へしか受け継がれてこなかったコラ(Kora)という楽器の、女性初の演奏者である。
 枠にとらわれることなく文化を継承していく彼女の調べと素敵な歌声には、強く心を揺さぶられた。是非一度、彼女の奏でる音楽に身を浸してはいかかでしょうか。

質問やコメントなど頂けたら嬉しいです!
ありがとうございました~。


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