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書籍漁り 第1回 伊藤まさこ『美術館へ行こう-ときどきおやつ-』

  私が今回読んだのは伊藤まさこ氏著  『美術館へ行こう-ときどきおやつ-』  である。

  近くの図書館で目当ての本を探した後に棚にあったこの本に目が引かれた。最近美術への関心があり、黄色のシンプルなカバーと『ときどきおやつ』の砕けたサブタイトルがまだ美術への造詣が深くない自分には充分そそられる要素があった。

  著者伊藤まさこ氏がよく訪れる美術館、前々から行きたかった美術館に足を運び取材をした24個が紹介されている。その美術館が出来た歴史背景や施設名にもなった著名な芸術家を知る学芸員の方への取材が話し言葉で載っている。プラスして館内や近場にあるカフェも掲載されていて美術館とカフェ、二つ足を運ぶ目的を作っている。
  直接訪れて作品を見ていない人間に作品以外の背景や普段美術館を訪れない人間に一服出来るスポットを文章と写真で伝えることで読者が行きたくなる工夫が施されている。事実、私は印象に行きたくなる場所も出来たうえに知らなかった土地や芸術家の知見も深めることができた。
  個人的に1番行ってみたいと思ったのは東京都港区の『岡本太郎記念館』である。私が最近大阪の万博記念公園に旅行で行ったばかりということが一番の決め手だ。
  見開きで現れる太郎先生のカラフルでギョッとさせ意識を持っていく印象の強いリビング。さらに御本人の等身大の人形もある。驚かない訳がない。
  本文の中に共感した部分がある。中学生の男子5人組が記念館に訪れ、どうして来たのかという著者の問いに、「すごく気になったから」。私はその通りと思った。美術館とは堅苦しいものでなくもっと気軽な理由で入っていいのだ。買い物の帰り道、バザーが開催されてるのを見かけて覗いてみようというような普段のちょっとした変化に気付いて踏み入れてみる。それくらいでいいのだ。もしかしたら今まで気づかずに存在している美術館があるかもしれない。
  この本は美術館へ行ってみたいと考えてはいるが行ったことがない人へのキッカケとなる1冊に違いない。

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