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大人になること

大人、成熟、幼児性、教育に関することを『ひきこもり文化論』『困難な成熟』からまとめました。『成熟と喪失』も一緒に入れたかったのですが量が多くなってしまったので別の記事に。

全体的に「自分で選んだわけではないもの」あるいは「やりたくないこと」を受け入れた人が大人であるという説明が多い気がする。役割、仕事、家業、災害など。

こちらの記事を読みながら、成長譚?イニシエーション??とかのことを思い出そうとしたけど頭がこんがらがった、、

(タイトル画像はこちらの4コママンガです)


ひきこもり文化論

・対面で交流ができること、待てること

たとえば私は臨床場面で、いちおうの成熟の指標としては、つぎのことを目安にすることが多い。まず他人との「情緒的交流」の能力。他人に共感し、あるいは共感されるための意欲と能力を持っているかどうかですね。

ついで重要なのは「待つ」能力です。欲求や願望の実現を待ちつづける忍耐力は、成熟度の指標としてかなり有効なものです。

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・大人になるには去勢されなくてはいけない

子どもは成長とともに、父親をはじめとする他者との関わりを通じて、「自分が万能ではないこと」を受け入れなければなりません。この万能感の断念が「去勢」と呼ばれています。ですから去勢とは、簡単にいえば「あきらめを知る」ということになるでしょう。

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去勢については、橋本治さんの本にも似たようなことが書いてあり彼は「不幸が必要だ」という言い回しをしている。

 今の日本で「大人」になるというのは、「社会人らしく物事をわきまえられる人間になる」という程度のことと誤解されている。でも「不幸」を乗り越えないと、大人になれないのだ。

「不幸」というものは、向こうからやってくる。だから、人によっては、それを「不幸」として自覚しなくてもすむことがある。子供にあまりにもひどい不幸を与えたっていいことはないから、子供に向けられる不幸は「回避されるべき」でもある。そして、それに慣れて、不幸を回避し続けると、いつか、「自分は不幸に直面しないですむ、特権の中にいる人間だ」という錯覚を持つ。もちろん、そのままでいられるはずもないのだが、現代の日本には「それが可能になっている」という錯覚も生まれているらしい。

橋本治「このストレスな社会!」


困難な成熟

・「するべき」「したい」ではなく「〇〇できる」

「大人」というのは、自分が何ものであるか、自分がこれからどこに向かって進んでゆくのか、何を果たすことになるのか、ということを「自分の発意」や「独語」のかたちではなく、「他人からの要請」に基づいて「応答」というかたちで言葉にする人のことです。

p142

・ケンカの仲裁役は「成熟した人間であるようなふりをする」ことを求められる。その立場に立った人のことを「大人」と呼ぶ。

大人だから仲裁役を頼まれるのではありません。立場上、仲裁役である人のことを「大人」と呼ぶのです。

p331

こちらは「大人」の話とは少しズレますが↓

・自らの言葉で語らないこと/一般論を言うこと/匿名であることは、自分で自分を「居なくてもいい人間」と規定することにつながる。

彼らは「自分と同じように考えている人」が自分の他に何十万、何百万人もいると思っている。

 でも、そういうふうに考えるのは、とても危険なことです。
「自分と同じようなことを考えている人がいくらでもいる」というのは、裏返して言えば「だったら、自分はいなくてもいい」ということを意味するからです。

p286

教えることについて

・教育とは本来、「代金の対価として商品を渡す」スタイルではない

 「教わりたい」というニーズがまずあって、「教わりたい人」が集まって学校を建てて、先生を呼んできて、謝礼を払って……というのはきわめて例外的なことです。
 ふつうは「教えたい」という「おせっかいな人」がまずいて、その人が「教わりたい」という人を集めて、学びの場というのは立ち上がります。

p304

ほとんどの人は、教育を受けるのは「本人の利益のため」と思っているがそうではなく、実際は「共同体の利益」のためである。

教育を受けることが「本人の利益」という考えは「どうすれば努力を最小化できるか」といった、効率化を求めることにしかならない。たとえば、4回まで休める授業は有給のように全部消化しようとする。


・「尊敬していた人を、今までのように尊敬できなくなったときどうすれば良いでしょうか?」という相談への回答。

メンターには二種類あります。生涯その後をついてゆくことのできる「師」と、僕たちをA地点からB地点まで送り届けてくれる人、「繋ぐ人」です。
(中略)
それが長期にわたるのか、ほんのいっときで終わるのか、それは上司たちの力量とこちらが求めるものの相性次第です。ですから、僕たちはかりにそれが短い期間だったとしても、「つないでくれた恩」に対しては、素直に「ありがとうございました」と告げて、旅路を先へ進めばよいのではないかと思います。

p324

この箇所は「こころ」の先生を思い出した。


🐰💬
・大人になることと「効率の良さ」は相反することのように感じる
・共同体とか歴史とか、自分以外の利益を優先させる人が大人?(あなたが「この人が大人だ!」と感じた人が大人だという記述もあったが)
・イニシエーションは去勢の儀式?失恋も同じ役割を果たすのでは
・天才たちは能力が高くて子どものころからの万能感を持ったまま歳をとってしまうから大人になれていない人が多いのではないか

(あと、この「自分以外の利益=役に立ちたい」というのは、他人に搾取されやすい部分でもある。推し活、会社への貢献、やりがいなど)

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