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ドライブインシアターで映画を観るとめちゃくちゃ楽しいという話

私が生まれ育った家庭はお世辞にも健全な愛情に恵まれていたとは言えないけど、両親が認めた文化的な娯楽にはある程度のお金を出し惜しみしなかった。映画もそのうちのひとつだ。

皆さんはドライブインシアターをご存じだろうか。巨大スクリーンが設置されただだっぴろい駐車場に自家用車を停めて、FMラジオで音声を聞きながら映画鑑賞するという娯楽施設だ。1990年代をピークに減少の一途をたどり、現在の日本国内では定期的に上映している施設はないらしい。

小中学生だった頃、私が住む町から車で30分ほど行ったところに大型スーパーがあって、そこでは週末の夜になると駐車場の大半を利用してドライブインシアターを実施していた。数回上映作品を観た記憶があるんだけど、これがすごく楽しい。ファストフードの類はたまにしか食べられなかったのが、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンが車内での夕飯になるのだ。

映画館で鑑賞するのももちろんいいけど、自家用車から観る映画というのもまた格別なものがある。お喋り厳禁の映画館と違い、個室みたいなものなので、同行者とリアルタイムで感想を言い合いながら観られるのがいい。飲食だって周りに気を遣うことなく、好きなタイミングで出来る。

要するに「家に居るかのような環境で映画を観られる」というのが万人受けしたんだと思う。だから一般家庭へのVHSビデオの普及、レンタルビデオ店の台頭によって衰退したんだろう。新作にこだわりがなければわざわざ車で出掛けていくより、レンタルで借りてきて家で観たほうが気楽だ。

でも大きなスクリーンで気になった最新の映画を観たい層だって居る。その証拠にシネマコンプレックスは人気を誇り、土日ともなれば混雑が顕著だ。「あの作品、ドライブインシアターで観られたら良かったのにな」と大人になってから思うことがある。気の置けない友人たちと観ることが出来たら、きっと楽しいに違いない。

そういった願望を叶えてくれるのは、いまはカラオケ店に設置されたDVD再生機器とスクリーンで、Twitterで集まった鑑賞会も楽しいんだけどちょっと違うのだ。夜空の下、巨大スクリーンを車の中から観るのとは違う。駐車場に停まった車、一台一台に一体感のようなものを感じていたのは、私の気のせいだろうか。

昔を懐かしむのはめんどくさい年寄りみたいで、自分でもなんかなーって思うんだけど、ドライブインシアターは復活して欲しい。時々有志による上映はあるみたいなので、もし機会があったらぜひ体験してみて欲しいと思う。

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