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ロリィタと消費について

わたくしがロリィタファッションに初めて身を包んだのは昨年の春。最初はただかわいいという理由でこの世界に足を踏み入れましたが、ロリィタは次第にわたしの思想を受け止めてくれる貴重なファッションへと変化しました。おそらくわたくしは、世間で言うところの「精神ロリィタ」なのだと思います。

女性の体を神様から賜り、女性として現代社会で生きていくということは、常に消費されるということです。これはきっと女性として育った人すべてが、なんとなく理解してくださると思います。「女は愛嬌」なんて言われるように、女性はいつでも愛想良く、その場を癒すことを求められます。かわいい系でも、綺麗系でも、清楚系でも、グラマー系でも関係ない。女性であるならば等しく消費される運命にあるし、高い声で笑って場の空気を和らげることを求められます。


それがわたくしは苦しくてたまらない。わたくしは絵本の中のお姫さまになりたいし、お人形さんになりたい。どうかわたくしを消費しないで。女性としてのわたくしではなく、人間としてのわたくしを見て。

そんな、現代社会ではなかなか叶えることが難しい欲望を満たしてくれるのがロリィタです。ロリィタのお洋服は、基本的に体のラインが出ません。むしろ露出を嫌います。パニエでスカートをぱんぱんに膨らませて、パフスリーブや姫袖で腕の形を愛らしく変化させて、頭はヘッドドレスやカチューシャで覆って、丸っこいパンプスを履いて。お人形さんになって、お姫さまになって、天使になって景色から浮いて。そうすることでわたくしは女性をやめて、女もやめて、女のコとして、乙女として街を歩くことができます。

ロリィタを着るとわたくしは自然に背筋が伸びます。仕草もいつもよりはお上品になります。ロリィタがわたくしを乙女にしてくれるのです。

そうして消費から逃げられるロリィタを、他の人から消費されることがわたくしは気持ち悪い。写真撮影を求められるのはまだ仕方ないと思えます。それも嫌だし、断ることがほとんどですが。でも、街のマスコットのように扱われて盗撮されたり、「ロリちゃんだいすき」などと性的な目を向けられたり、そうやってロリィタのわたくしを消費されることは耐えられません。持っている日傘で目を刺してやりたくなります。

どうかわたくしを消費しないで。ロリィタを消費しないで。消費から逃げられるわたくしたちの箱庭を土足で荒らさないで。どうか。

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