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散歩で気を遣う

春や秋は散歩が楽しい季節。
手を後ろに組んで歩くと、いかにも「散歩してます」といったさりげない主張が込められている。近頃、何の用事もないのに外をぶらぶら歩いていると、不審者のような扱いをされかねないので気楽に散歩ができなくなっている。
住宅街を歩いていると、いろいろ家が建っていて、家によっては住む人の個性が見えたりするので面白い。ベランダやバルコニーの手すりに布団が干してあったりするとさまざまな大きさや色があって、家族構成までわかったりして、庭には三輪車が置いてあったりすると、ちょっと心が和んだりする。
このように平和でのんきな散歩を楽しみたいところだが、洗濯物には注意しなくてはいけない。家の住人が若い夫婦だったり、年ごろの娘がいたりすると干してあるモノによっては、速やかに視線を別のところに移さないと、変質者関係と間違えられる恐れがある。しかも私がその時、たまたま何か思い出し笑いかなんかしていたとしたら、誤解はますます大きくなり、警察に通報、誤認逮捕、拘留、裁判、冤罪、懲役、出所後に行くところなし、住み込みで就職するも長続きせず転職に次ぐ転職、貧窮、ホームレス、公園でおやじ狩りに合う、死体を河川敷で発見され、あるいは白骨体を廃工場で発見。
などと、夢は広がるねぇ。

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