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フリー台本:白いコートの青年【朗読】【無料】


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登場人物

・ナレーション   (本文表記:ナレ) 
・表の少年     (本文表記:少年) 
・白いコートの青年 (本文表記:青年) 


シーン1:表パート

ナレ 「白いコートを着た少年がいました。
    少年はとても優しい心の持ち主です。
    転んだ友達がいれば手をさしのべます。
    お腹が空いた子がいれば、自分のおやつを分けてあげます。
    でも皆は少年には何もしてあげません。
    少年が泣いていても、知らんぷり。
    少年がお腹を空かせても、何も分けてはくれません。
    傘を忘れた時も。
    いじめられている時も。
    皆、少年と話すのは自分が困った時だけです。
    でも少年は気にしません。
    大好きな皆のために、今日も西へ東へ大忙し。
    そのうち少年は…青年になりました。
    相も変わらず青年は、困った人を助けます。
    ある日、青年の子供が彼にたずねます。
少年 「どうしてそんなに優しくするの?
    いくら頑張っても誰も何もしてくれないよ」
ナレ 「青年はニッコリ笑って答えます」
青年 「見返りなんか要らないさ。
    皆の幸せが、僕の幸せだよ」
ナレ 「長い長い時間が過ぎました。
    青年はもういません。
    けれどもここには
    皆によって作られた
    コートを着た青年の銅像が立ってます。
    銅像の色は彼の着ていたコートと同じ色で、
    また彼の心とも同じ
    きれいな真っ白です。
    人々はいつまでもいつまでも
    彼の事を
    語り継いで行くのでした」


シーン2:裏パート

ナレ 「白いコートを着た少年がいた。
    少年は優しい心の持ち主でした。
    転んだ友達には手をさしのべました。
    お腹が空いた子には、自分のおやつを分けてあげました。
    でも皆は少年には何もしません。
    少年が泣いていても、知らんぷり。
    少年がお腹を空かせても、何も分けては貰えません。
    傘を忘れた時も。
    いじめられている時も。
    苦しい時。
    悲しい時。
    辛い時。
    皆、少年と話すのは自分が困った時だけで、
    誰も彼には寄り添いません。
    少しずつ、少しずつ少年は優しさを忘れていき
    そうして少年は汚れて行きました。
    時は流れ…彼は青年になりました。
    もう青年は、少年の時の様には皆を助けません。
    彼は…真っ黒なコートを着た青年は、
    コートの色と同じになってしまい
    どうやら昔の自分を忘れた様です。
    当然、皆から嫌われます。
    でも…彼の子供にだけは好かれていました。
    どうしてでしょうか。
    例えば…彼の子供が転んだ時のこと。
    ただ、じぃ…っと見つめるだけで。
    青年は…子供を起こしてやりません。
    子供は痛くて泣き出します。
    それでも彼は見つめるだけです。
    しばらくすると子供は泣き止んで
    頑張って自分で立ち上がります。
    そしてヨタヨタと青年の元へと戻るのです。
    すると青年は、彼の頭をそっと撫で
    手を繋いでまた歩き出します。
    やがて…青年はいなくなりました。
    青年の銅像はありません。
    誰も作りたいとは思いません。
    “コートと同じで真っ黒な奴”と嫌われていましたから。
    でも彼の子供だけは知っているのです。
    彼は本当は優しい事を。
    いいえ、“本当に”優しいのだと言う事を。
    子供だけは知っています。
    コートの下には
    今も昔も全く変わらぬ
    色が隠れていると言う事を」


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