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【雑記】ヒーローの長い助走

こんばんは、ヒトシです。早速ですが今回の作品はこちらです。

Spider-Man: Into The Spider-Verse(2018)

突然ですがMCUのピーター・パーカーが好きです。自信家で軽率、勇敢でヘタレ、スパイダーマンとしての才能はあるけれど学校ではちょっと冴えないアイツ。青春とスパイダーマンとしての活動を両天秤にかけられ、もがき苦しみながらそれでも前に進むあのピーター・パーカーです。「Spider-Man:homecoming」を見ているだけで何度も(((ピーター……)))と胸が締めつけられるものがあったりします。

そして今作の主人公マイルス・モラレスもまた「もどかしいヒーロー」です。進学校に通ってはいるけれど一番好きなのはグラフィティアートで、転校前の学校に後ろ髪を引かれ、どこかなじめないままにもがく少年マイルス。スパイダーマンになった直後に目の前で「先代のスパイダーマン」を亡くし、託された物はあっけなく壊れ、頼みのスパイダーウェブはなかなか出せない。スパイダーセンスがギリギリ生きているだけの彼には少々きつい、ブルックリンを襲う試練がマイルスに立ちはだかります。

並行宇宙からやってきた「他のスパイダーマン」たちから見ても、マイルスは「未熟なヒーロー」でしかありません。父を亡くしパワードスーツに搭乗して戦うペニー・パーカーや「ピーター・パーカーを救えなかったスパイダーマン」であるスパイダーグウェン、そしてトビー・マグワイア版スパイダーマンにも近いほろ苦い人生を歩んできたピーター・B・パーカー。(ちょっと認めがたい人もいますが)並行宇宙のスパイダーマン達は「既に経験を積んできた親愛なる隣人」。対してマイルスは「駆け出しのスパイディ」。一度はマイルス抜きでの作戦決行まで思案されてしまいます。両親には何も言えず、学校にも戻れず、更には最も信頼できる叔父さんには想定を超えた秘密があり……。

控えめにいってこれまでのスパイダーマン達の序盤と比べるとウェブは不調、特殊能力は自分の意思で出せず、スーツはパーティーコス用のそれと、「ヒーロー未満」なマイルス。しかし、そのもどかしさはやがて崩れ、最終決戦の席で敵味方全員を驚愕せしめる「新たなるスパイディ」となります。「ピーター・パーカー」を引き継ぐのではなく、「スパイダーマン:マイルス・モラレス」になる。絶体絶命のピンチに音もなく現れ、スパイダーウェブで摩天楼を駆け、止めに痺れる一撃を叩き込む。グラフィティアートとスニーカーの似合うスパイディ、今作はそんな彼の「長い長い助走と美しい跳躍」の物語と言ってもいいのではないでしょうか。

【評価】
ヒーロー大集合:4.3/5.0(スパイダーマンノワールがちょっとかっこよすぎる)
音楽:4.7/5.0(全編ほぼハイセンスな音楽が彩る新人の物語)
苦闘:7.0/5.0(それでも親愛なる隣人は立ち上がる)

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