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社会人人生で一番の失敗談(仕事編)
我が長き社会人人生の、一番冷や汗をかいて今もトラウマになっているのは、前職のソフト会社の営業をやっていた時の話です。
その会社はCAD、製造業に欠かせない図面を描くためのソフトを開発していました。ある時、通常なら会ってもらえない大手製造業の設計担当者とのアポが取れたのですが、自分の準備不足でせっかくのチャンスを台無しにしてしまったのです。
当時の日本の製造業は不調で、顧客が100%製造業であるうちの会社は売り上げが伸び悩んでいました。私は資料請求のあった会社に片っ端から連絡して、「ちょうど近くに寄るので少しだけお時間をください」とアポを取り付けては売り込みに出かけていました。
当然近くに用事などなく、お問い合わせ先に新規顧客になっていただくため、その会社めがけて日々出かけていたわけです。
ある日、「何かの手違いか、気まぐれだろう」という、わが社とは全くご縁の無かったある上場企業の担当者から、商品の資料の請求がありました。
その会社は革新的な経営をしているとTV番組で取り上げられる機械メーカーでした。「この規模になると、社内システムは一部だけ変えることはないから冷やかしだろう」と思いつつ、ダメもとでお電話をすると、なんとあっさりアポイントが取れたのです。
担当者は20代後半、研究熱心な若手の技術者だったのだろうと思います。
私は「まず担当者が見るだけだろうな。でも、長くコンタクトしていたら、1台ぐらいは入れてもらえるかもしれない。」という過去の経験からの思い込みで、その会社の商品や事情もろくに調べずに、簡単な商品紹介の準備をして出かけたのでした。
当日は道に迷ったり受付で手間取り、10分ほど遅刻までして指定された会議室に伺うと、そこには明らかに部課長クラスの方を含め10名ほどの設計課の男性陣が待ち構えていました。
「えっ・・・」焦る私を、かなり上席と思われる年配の男性が一瞥し、「手短にお願いします」と言い放ちました。私を手配した若手の担当者の方は、気まずそうに下を向いています。
私は何と、決裁権がある方に自社アピールする絶好の機会を、自身の浅はかな思い込みと準備不足で、デモ前に瞬間に潰してしまったのでした。
実際のデモは?
ええ、グダグダです。しどろもどろでした。
その会社の図面や常識を下調べしていないので、当然です。
一般的な操作説明に終始することになりました。
完敗です。
最後はその場から逃げるように出ていきました。
お客様は全員、「何のために自分をこの場に呼びつけたのか」というお顔をされていました。
顔から火が出るとはこのことでしょうか。
いたたまれなさ、後悔、恥ずかしさ・・・。
思わず喫茶店に飛び込み、ガタガタ震えながらアイスコーヒーを飲みました。
営業に「もしもあの時」はありません。しかし、もし私が上司の営業部長に同行をおねがいしておけば。
すぐ契約にはなるとは思いませんが、なぜうちの商品に興味を持っていただけたかを伺うことができ、次回のアポにつながるなど、会社にもお客様にも意味のある時間になったに違いありません。
失敗の経験から私は
「準備せずに行ってお客様の時間を無駄にするより、過剰に準備して自分の用意したものが無駄になる方がずっとマシ」
という学びを心に刻み込みました。
以上あまりに辛すぎて日ごろ封印している思い出ですが、それぐらいの想いをしなければ治らないのが自分の欠点だと思います。
よく営業マンが「自分はお客様に育てていただいた」と口にするのは、こういう経験の積み重ねだと思います。
皆さんのキャリアでの失敗談も、ぜひ聞かせてください。
長文をお読みいただき、ありがとうございました。
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