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★少女の成長物語を読んで、中年(じぶん)の成長物語を妄想する。「十二国記(小野不由美)」

知人からの紹介により、人生初のファンタジー小説を読んでいる。全15冊(たぶん)からなる「十二国記」という異世界を舞台にした壮大なストーリー。
このうち、「月の影 影の海(上/下)」「風の万里 黎明の空(上/下)」を読了した感想に触れたい。ビジネス書中心で多読を開始したが、それらから感じるものとは異なる刺激があり、色々なジャンル・世界観に触れることの意義があるとあらためて実感した。

少女たちを突然襲う、あまりにも過酷な環境変化は理不尽すぎると思いつつ、極端な設定だからこそ、乗り越えていく過程や成長した力強さが一層際立ってくるのだろう。ビジネスの世界で言うと「自責の念」を持って対処することに他ならない。文句ばっかり言ってないで、まず自分が行動して未来を切り拓いていきなさい、ということか。祥瓊の発言にすべてが集約されるように感じた次第である。

「自分が一番可哀想だって思うのは、自分が一番幸せだって思うことと同じくらい気持ちいいことなのかもしれない。自分を哀れんで、他人を怨んで、本当に一番やらなきゃいけないことから逃げてしまう...」

祥瓊「風の万里 黎明の空」より

つまり、、、おじさんも気づいたよ(今さら笑)


<以下、若干の要旨>

★十二国記 月の影 影の海

🔹普通の高校生 陽子が突然別世界に連れていかれる。それまで「普通の高校生」を演じていた陽子が残酷で容赦のない過酷な旅を通じて、裏切りに遭い絶望感に苛まれながらも、生への執着を持ち、友と出会うことで試練を乗り越え、力強く、そして人として成長していく。
🔹「普通のいい子」だった陽子がなぜ異世界で王だったのか。果たしてそこにどんな意味があるのか。これがファンタジー小説か。
🔹幾何学的で対称形の異世界、残酷で容赦なく血まみれ泥まみれになる陽子の描写が妙にリアルである。

★十二国記 風の万里 黎明の空

🔹異世界で3人の少女が自らの意思とは関係なく置かれた運命に悩み、苦しみ、もがく。
・景王になった陽子・・・臣下に利用される。現場を知るすべがなく、自らの決断ができない。
・大木鈴・・・奉公の途中で崖から転落し、十二国へ。梨耀の下女として過酷な労働を強いられる。
・祥瓊・・・芳国の王である父を殺され、一般市民として生活するが、常に自身の不幸な運命を呪う。
🔹3者がそれぞれの思いで動き、すれ違い、出会い、誤解し、また出会う。 この繰り返しで織りなされる少女たちの成長ストーリーがテンポよく展開される。自らの運命に負の意識を抱き続けていたが、友との出会いを通じ徐々に気持ちが変化していく。その気づきは、祥瓊が発した上記の言葉に集約される。

ジャンルが偏らないように、今回はファンタジー小説を取り上げました。読んでいただき誠にありがとうございます。

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