見出し画像

「あるがまま」と「愛すること」

初めまして。奈良の清瀬美帆です。
私には、大学1年の長男、中学3年の長女、小学6年の次男がいます。
長男の子育てが上手くいかずに、子育て本を読み、ハートフルコミュニケーションで学び始めました。
子どもを愛すること、「あるがまま」を受け止めるということがどんなことなのかよくわからないまま模索し続けていました。

長女は長男と比べて手がかからなく、愛らしく、かつ、助けてくれる存在でした。
幼稚園や学校でも先生方の受けはよく、いい子であることに本人も喜んでいるように見えました。
ところが、小学1年生の学芸会の一週間前、前触れもなく突然「行きたくない」と泣いて訴えました。
なぜ行きたくないのか聴いても答えてくれず、説得しても学校には行きません。
まわりの状況から原因を探るしかなく、担任の先生に尋ねたところ、「友だちに辛く当たられているかも」と心当たりを教えてくれました。でも、娘に聴いても答えてはくれません。

先生は家に来て、娘を抱きしめてくれました。クラスメイトに娘へのメッセージを書かせ持ってきてくれました。
先生のおかげで、娘は3日休んだだけで学校に行き、学芸会を楽しみ、事なきを得ました。
先生の愛が娘に伝わったからだと感じつつも、私に同じことができるかというと、とても難しいと思いました。

当時の私は、子どものネガテイブな発言や行動にイライラが収まらず、すぐに怒ったり小言を言ったりしてしまう状況でした。そんなふうになってしまうのは嫌なのに、何度もやってしまっていました。
「愛することがわからない」と思っていました。

娘が小学5年生になると、コロナで自宅学習の日々が続きました。コロナが少し落ち着き、初登校の朝、不機嫌の末、行きたくないと泣きました。なぜかを問いただしても答えてくれません。
「いい加減にしろ!」
私の堪忍袋が切れました。でも娘は登校しませんでした。

次の日も泣いて、「死にたい」とも言い出しました。さらには暴れ出し、抱きしめようとしても抵抗します。
ふと、「死にたいと思うほど辛いんや」と言葉をかけてみたら、驚いた様子で泣きながらも、心の内を話し始めました。

娘は、感じているままのことを言えたこと、それを私にわかってもらえたこと、そして私や学校が対処できたことで、学校に行けるようになりました。
私は、共感とはどういうものか少し掴めた感覚でした。

実はその頃、長男が不登校になり、無気力でベットから出れない日々を過ごしていたので、私の精神状態はボロボロでした。
下の二人の子育てもありますから、自分の感情が爆発しないように我慢をしていましたが、まるでパンパンに膨らんだ風船がはじけて割れてしまう一歩手前のような緊張状態にいました。

この辛い毎日をなんとか改善したい、子どもたちに共感できるようになりたい。その一心で、コミュニケーションや思考方法の学びを重ねました。ハートフルコーチに話を聴いてもらうこともありました。

その結果、何より、自分の気持ちを無いことにせず、自分の気持ちを探究し、しっかり感じ、自分への共感をするようになりました。自分を思いやり、自分を苦しめている様々な思い込みに気づいて、手放すようにしました。そして、自分を満たすための行動を取るようにしました。
自分の気持ちを知ることは、自分を癒やすことでした。

少しずつ緊張が解けてきたように思いました。そして、物事を俯瞰できるようになっていきました。子どもの感情表現に対し、心の境界線が引けるようになって、落ち着いて話が聴けるようになりました。

娘は中学1年生の後半から時々学校を休んで、中学2年のゴールデンウイーク明けから完全に行けなくなってしまいました。
兄のようになってしまうのではないかと焦りが出て、説教や怒りをぶつけることもありましたが、以前より話を聴くということはできるようにはなってきたので、娘は行かない原因(友達の裏切り)や怖さを打ち明けてくれるようになっていました。そのうえで、学校には行かない選択をしました。

私は、娘の様子をしばらく見ていたり、娘の様子に合わせて促したり、気持ちを聴いたりできるようになり、どうなりたいかなどとコーチング的関わりが少しずつできるようになってきました。
その間、娘は別室登校をするようになり、3年生に進級すると、クラス替えもあり、教室に行くようになりました。

それから一週間がんばった、月曜日。娘がまた行かないと言い出しました。
私は娘の話に耳を傾けました。そして、娘が自分の気持ちに向き合えるような質問をしました。
「胸に手を当てて、自分の本当の気持ちを聴いてみて?
悲しい? 寂しい? 怖い? どんな気持ち? 本当はどうしたい?」
それからしばらく、時間を与えました。

娘は自分で自分の気持ちに気づいて、しっかり感じて、自分のニーズに気づいた様子でした。
それからは、休むこともあるけれど、行きたくないと感じる時も頑張って行くようになりました。

近頃は、「友だちに断れない」と言ったり、「断ったりしなくてもいいように、ちょっと距離を置いたりする」という発言をするようになりました。
私も、つい言ってしまうアドバイスはかなり減り、娘が自分なりにどうしたらいいのか思考錯誤しているのだなと俯瞰して、ありのままを見られるようになってきました。

私も娘も自分の感情に気づき、感じて自分に共感して、慰め、手離し、感情のコントロールが少しできるようになってきたように思います。
そうすることでお互いの感情に吞まれず、ただ、聴いてあげることができるようになってきました。
何かと比べたり、必要以上の期待をするのではなく、「あるがまま」を見ているという感覚です。

そして、「あるがまま」を愛するということも、感覚的にわかってきました。
子どもの言動にイライラすることがかなり減り、あるがままが見えてきた今、すべてが愛おしいなぁって思えるようになってきました。
そんな気持ちで子どもたちと関わることが、愛することなのかなと思う今日この頃です。

子どもとの関係性を築くのにとても時間はかかってしまいましたし、まだこれからという感じですが、子どもたちのおかげで成長し、今があるのだなと実感しています。
子育ては親育て、まさに私の子育てです。
子どもたちには申し訳ないですが、不出来な親から、何かしら学びを得ていると、子どもの力を信じたいと思います。

長いプロセスを聴いてくださりありがとうございます。

2024年7月15日
奈良県/清瀬美帆  
NPO法人ハートフルコミュニケーション認定ハートフルコーチ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?