バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#8

  御厨(みくりや)教授の顔や容姿はネットで確認していたが、念のため写真をプリンターで出力して持っていく事とした。

帝都大学に到着し、構内で御厨教授の研究室を学生に聞いて訪ねてみたが、不在のようで、研究室も鍵が掛かっていた為、止む無く戻って来るまで待つ事にした。

しかし、午前中からずっと待っていても教授が戻ってくる気配はなく、本当は大学の職員に今日の予定とかを聞けばいいのだろうが、怪しまれるのが落ちなので、とにかく教授が研究室に戻って来るのをじっと待つことにした。

途中、昼飯や夕飯をコンビニで買ってきて食べながら待っていたが、いっこうに戻ってくる気配がない。

階段に座って待ちくたびれてウトウトしていたら、突然、誰かに肩を叩かれ、声をかかられた。

「おい!君、こんな夜中にこんなところで何してるんだ?」

レイはビックリして寝ぼけた頭で咄嗟に「御厨教授に用事があって待っているんです。」と言った。

声を掛けてきたまだ若い学生のような彼が、ビックリした顔をして答えた。

「御厨は自分だけど、自分に何のようだ。」と不振顔で答える。

その瞬間、レイは胸元から写真を取り出し、目の前の人物と写真を見比べ、間違いない事を確認した後、何を思ったかいきなり御厨教授の足元に土下座をして、大声で叫んだ。

レイ「お願いします!教授のロボットを自分に下さい!」

教授はあっけにとられ、どう反応していいか分からずにいたが、瞬間的に怒りながら一言だけ言った。

「そのロボットという言い方はやめてくれないか。僕は第2の人類を生み出しているんだから。まあ、最低限言うとしたら、アンドロイドという言い方にしてほしい。」

レイ「あっ!すっすみません。そのアンドロイドを自分に下さい。お願いします。」

レイは土下座しながら再度、頭を床に押し付けて必死に叫びながらお願いした。

教授はその必死さにちょっと心を打たれ、こう言った。

「とにかく顔をあげてくれないか。事情はよく分からないが、話だけでも聞こうじゃないか。」

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