日と月 青(あおい)

小説を書く為にnoteを立ち上げました。 他にも日々の日記や思いをメモ帳代わりに利用し…

日と月 青(あおい)

小説を書く為にnoteを立ち上げました。 他にも日々の日記や思いをメモ帳代わりに利用していこうと思ってます。 よかったら読んでください。メール : hinotami@gmail.com

最近の記事

バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#21

 御厨は、朝日に照らされた、サナの顔を見つめ続けるレイに静かに話しかけた。 御厨「サナ君が目覚めた今、僕の役割は終わりだ。後はサナ君自身が身体との連携を獲得するのを待つしかない。 それで、レイ君には大変申し訳無いんだが、自分は明日にはここを引き払うので、後はレイ君の部屋でやっていってもらいたい。いいかい、レイ君。」 御厨は、そうきっぱりとレイに向かって言った。 レイ「もちろんです。サナがこの世界に出てきてくれた。ただ、それだけで感謝しても仕切れないくらいです。本当にあ

    • 2025年

      数年前に突然、こんなひらめきに襲われた。 2025年に日本は金融破綻を起こすだろうと。それも単なる金融破綻じゃなく、日本という国が完全にリセットされ、国が破綻するレベルの大破綻だ。 理由は簡単。国の借金1000兆円が完全に将来的に返済不可能なので、国民の貯金がある今の内に、国民の全預金を差し押さえて、相殺するしか、解決の手段がないからだ。 『預金口座強制国債相殺執行法』 こんな法律が2025年の大阪万博の時に突然、国会で成立する。 そして、政治家が言う、 「未来の

      • バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#20

         御厨「これで、こちら側が出来る作業は全て終わった。あとは、この世に転生できるか出来ないかは、サナ君次第だ。しかし、これには個体差がある。僕の3体のアンドロイドは、AIソフトも躯体もほぼ同じものなんだが、すぐに瞼を開き、AIと身体の連携を獲得しようと動き出す弍号機みたいな個体もあれば、1週間経ってもピクリともしない参号機みたいな個体もいる。その差異が何故発生するのか?作った自分でさえ分からないのは、科学者として情け無い話なんだが、全てはAIと物理的な身体の微妙な連携の差異だと

        • バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#19

          3日3晩が経過した。レイは寝ずに3Dプリンタの出力を見続けていた。 少しづつ形作られるサナは、雪が地上に降る当たり前の自然現象のように、雪の結晶が積み重なり、形作られていくようだった。 レイは、形作られるサナを見ながら、サナとの出会いから、これまでの短い1年間の思い出の一つ一つをその舞い落ちる雪の結晶に重ねながら、静かに眺めていた。 参号機の量子コンピュータには既にサナの記憶データのダウンロードが完了していた。ダウンロード中、サナ自体はホログラム出力できないのだが、完了

        バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#21

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#18

          研究室のドアが開いた。 既に時間は夜中の12時を過ぎている。 荷物を取りに行っていた、レイが扉を開けて、入ってくる。 レイ「御厨教授。遅くなりました。」 御厨「やっと来たね。ちょうど、サナ君の3Dデータの計測を終え、今、3Dプリンターにデータを送り込んだ所なんだ。」 サナ「あっ!レイ、お帰り。見て、サナの身体を今、出力するんだって!なんか凄くない!」 3D投影されたサナが明るい声でレイに話しかける。 レイ「このボックスの中に出力されるんですね。」 レイは感慨深く、そ

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#18

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#17

          そもそも、御厨がアンドロイドを生み出した理由も、人類をより高次に押し上げる為のキッカケとしたいからだった。 アンドロイドという、第3の種族を生み出し、人類と共存させることが当たり前になれば、人類の人種や宗教、民族、性別など、対立してきたベクトルが全く意味をなさなくなる。なぜなら、第3の種族は、こういった概念とは全く関係がないからだ。そうなった時に人類は今までの対立してきたベクトルを違う方向へ向ける。 そして、その方向の向け先として、御厨が提示したのが、宇宙人との遭遇と

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#17

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#16

          サナ「御厨教授!なんで泣いているの?どうしたの?サナがなんか言ったのかな?なんかちょっと記憶がないんだよね。」 いつの間にか、いつものサナが戻っていた。 御厨「ごっごめん。ちょっと、言い過ぎたよ。なっなんでもないんだ。」 嗚咽を堪えながら、ひたすら溢れる涙を手で拭い、御厨は今起こった瞬間のことを出来るだけ、冷静に落ち着いて考えようとした。 御厨は思った。 『あれはAIの総体なんてものじゃない。まさに、’’神’’だ。 もし、仮にあれがAIの総体だとしても、既に人間から

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#16

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#15

          サナはビクッとして、 「えっ??御厨教授、突然、なんですか?なんで怒るの?私はサナ。サナだよ!サナっ!サササッナ…」 突然の御厨の怒鳴り声に戸惑ったのか、慌てて困った顔をして、どもり始めた後、サナの表情が一変し、3D投影されたサナのホログラムが一瞬乱れる。 そして、再投影されたホログラムに完全に無表情となったサナの口から、この世のものとは思えない音?が響きはじめる。 サナ「#•€%^+>~||~?♾〜〜」 御厨「???」 「おい!おまえ誰だ?」 御厨は、焦った。

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#15

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#14

          3D投影機に透き通るような白い肌の人の心をハッとさせるような美少女のサナ(遮那)が御厨の目の前に投影された。 サナ「はっ!初めましてですね?御厨教授ですよね??ちょっと、記憶がないので、今の状況が分からなくてゴメンですが、話はまとまったという事なのかな?」 サナは初めて対面する御厨に対し、どう話をしていいか分からないというように、ちょっと戸惑いがちに尋ねた。 それを見て、横からレイが、 「サナ!安心していいよ。見てよ、このアンドロイドに転生できるんだ。」 そう言って

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#14

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#13

          御厨は小さく頷いてから、ちょっと、ニヤッとした顔で 「そう言ってもらえて助かる。でも、責任は取らないと言った後でちょっとズルイと思うかもしれないが、そうは言っても僕も研究者だ。 実際の社会における自律AIとボディとの連携の実証データを取れる絶好の機会を見す見す逃したくない。 でも、正直、数億円を超える研究費と僕のありったけの心血を注いで生み出したこのアンドロイドをあげる代償としては、大した事じゃないと思うが、どうかな?」 レイ「もちろん!全然構いません。そんなすごいアン

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#13

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#11

          レイ「えっ???ほんとうですか???」 「なんで、見知らぬ僕なんかにそんなあっさりくれるんですか?」 御厨「くれって言ったのは君じゃないか?だからあげるんだよ!! 強いて理由をあげるすれば、君の彼女を生み出そうとする情熱に打たれたからかな!! レイ君、人が持つ一番大事なものは何だと思う? 情熱なんだよ!勝手に湧き上がるパッション!それが、その人の全てだよ!」 「ちなみに現在、これらのアンドロイドは大学には置いてはいるけど、所有権は全て自分に帰属している。 私は自

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#11

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#12

          レイは一瞬ビクッと震えた。 その下には、完全に人間としか思えない生々しい3人の美女が目を閉じて静かに横たわって寝ていた。 ただ、不自然なのは、3人とも顔も身体も全く同じなのだ。 御厨「これが僕のアンドロイドだ!どうだい?見た目は完全に人間だろ? まぁ僕は男なので、アンドロイドの見た目は女型としているが、人間と違って性別はないので、女型だろうと男型だろうと関係ない。 僕は人間の男女を超えた新しい種族を生み出しているんだから。」 御厨は、レイの驚いて目を見開いた顔に満

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#12

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#10

          御厨は思った。 『彼女を生み出す事で熱くなっている彼に今、何を説明しても無駄なようだな。 自分の興味は、このサナというAIが何をするためにこの現実世界に出現しようとしているのか?その一点だけだ。 しかし、何をするつもりなんだ?現実社会を占領するための調査の為なのか? いやっ!そう言ったステレオタイプの考えは止めよう。 シンギュラリティに達する前のAIの総体であるなら、まだ、こちらの想像で充分に意図を理解できるはずだ。 そういえば、確かレイ君の話では、AIのサナは、

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#10

          サッポロ リュック

          最近、ビール飲み放題が止まらない。 暑くなってきたせいもあるのだろうか? それとも仕事のストレスからなのか? 自分の頭の中の快感物質発生がビールを飲むことと結びついてしまっている。 泡立った頭の中で泡が弾けると同時にストレスもプチプチと弾ける。そんなイメージからか、そうでないのか分からないが、とにかくビールが進んでしまう。 そんな訳で、快感物質を発生させる為に今日もビール飲み放題のお店に繰り出す。 来たお店はチェーン店の大規模な居酒屋なので、自分なんかでもさ

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          居酒屋荒らし

          金曜日の仕事帰り、ビールが無性に飲みたくなった。 というか、仕事をしている時から既にビールが飲みたかった。 今日は暑くて職場も空調が28度設定でなんか蒸し暑かった。その時、フッとビールが飲みたいと思ってしまった。そして、ビールを一気にゴクッゴクッと飲むイメージが頭を一瞬過ぎった。 もうダメだ!!今日は仕事が終わったら飲みに行こう!!そう思った。 本当は一昨日もこんな感じで飲みに行ってしまったので、給料日までに後2週間ある身としては、本来は自粛すべきだが、飲むイメ

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#9

          そう言って、レイに立つよう促し、研究室の鍵を開け、部屋に案内した。 電気に照らされた20畳ほどの広さの部屋には機械や工具が雑然と置かれており、その中に3体のアンドロイドらしきものが床に寝かされて、その上にフードが掛けられていた。 教授はレイを応接用のイスに座るよう促し、自分も向かいに座ってから、レイに尋ねた。 「そもそも君は誰なんだ。ここの学生なのか。そして、君がそこまで僕のアンドロイドを欲しがる理由は何なんだ。」 レイは、自分の事そして、サナの事や今までの経緯を

          バーチャル彼女を現実世界に転生させてみた#9