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稀有なご縁
娘が中学3年生のときに
京都、奈良へ修学旅行に行った話です。
中学校の修学旅行の説明会で
配布された資料を見て、
思わず声をあげそうになりました。
以前、勤めていた旅行会社が、
修学旅行の担当だったのです。
仕事で修学旅行の昼食や体験学習を
手配していたことが我が子で
追体験できるなんて。
娘が宿泊する京都の旅館は、私の勤めていた旅行会社と関係が深い宿で、
支配人や常務は2日に1回は職場に
顔を出されていました。
当時の私は、職場にお客様が見えた
ときにはお茶を出していたので、
顔見知りでした。
現場を離れて、何年も経っていました。
私のことなんて忘れられているだろうな。そんな気持ちも浮かんでは消え
浮かんでは消え……。
しかしこの感動を伝えたいので、
旅館のHPからメールで連絡をとってみることにしました。
「ご無沙汰してます。以前、〇〇に勤務していた〇〇です。○月○日に娘の中学校が修学旅行でお世話になります。
宜しくお願いします」
送信後しばらくしてから
支配人から返信がきました。
「ご無沙汰しています。もちろん覚えていますよ。娘さんがこちらに宿泊されるとのこと。こんな稀有なご縁があるものなのですね」
私もそう思いました😊
娘が修学旅行に出発し、帰宅した
第一声が「修学旅行楽しかったよ」
でした。
旅館の方から、声をかけられたかを
尋ねてみましたが、
「声はかけられていないよ」
という返事。
その後、お礼を兼ねて、
再び旅館に連絡をすると……。
支配人から返信がきました。
「娘さんに何度か声をかけようか迷いましたが、多感な時期のお嬢さんに、不快な思いをさせてはいけないと思いまして、あえて声はかけませんでした」とのこと。
娘の気持ちを察してくださったのです。
自分達の子供は親が見ていないところで、知らない誰かから優しく気遣ってもらっていることを知りました。
この話を娘に伝えると、
「私は全然、声をかけてもらっても
良かったのだけどね」
そう軽やかに言い残し
遊びに出かけて行きました。
私にとっても、娘にとっても忘れられない「小さな奇跡」のような修学旅行
でした。
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