見出し画像

ファッション業界が抱える深刻な環境問題。

ファッションはとても魅力的なものだ。

おしゃれして出掛けると楽しいし、時には別人になったような気持ちにさせてくれるし、実際ファッションで変身だって出来る。デパートにある高級で美しい洋服を見ると、高貴ないい気分にさえなる。

私の本業はフォトグラファーだが、写真を始めたキッカケもファッションだった。高校生の時、本屋で見た海外のファッション雑誌を見て、こんなに美しいものがこの世にあるのかと思う程だった。

あの時の優雅な衝撃の虜になり、今年ついにパリコレクションのバックステージを撮影するまでになった。キラキラとして華やかな、夢のような世界。

実際バックステージ撮影中連絡を取り合っていた、イギリスのファッション誌のエディターは、”ファッションウィークの後は夢のようで、現実に戻るのが大変なの。”と言っていた。

確かにそうだ。表側から見ていたらそうかも知れない。しかしロンドン滞在中の2年間、計8回のファッションウィークを経験して感じたことは、今ファッション業界はその華やかで美しい世界とは裏腹に、大きな大きな、そして深刻な環境破壊という問題を抱えているということだった。

ファッションウィークは年に男女合わせて春夏、秋冬の計4回行われる。そして世界を代表するファッションウィークと言えば、NYから始まり、ロンドン→ミラノ→パリと続いていく。パリは特別で、通常の男女のショーに加えてオートクチュール、クルーズのショーもある。それ以外に最近では東京、上海、ベルリンなど、世界各国でファッションウィークが開催されている。

一日に行われるショーの数は10ブランド前後。各地で行われるファッションウィークは短くて3日、長い時で10日間のだいたい一週間前後。ショーだけでなく、プレゼンテーションのみのブランドもあるので、合計してみると本当に数えきれない程のブランドが毎年服を発表している。

でも待って。毎年服は新しく作って売られているけど、服って普通にしていたら一年は確実に持つものだよね?ということは供給が需要を完全に上回っているのでは??という疑問が湧いてくる。もちろん服は消耗品だし、飽きたりもする。それでも激しく供給過多だと思う。

最近バーバリーの廃棄服の話を友人から聞いて驚いた。バーバリーの様な所謂ハイブランドは、売れ残った服をセールに出せないらしく、何と焼却処分しているそう!総額何と42億円!!想像と桁違いだった。。

最近日本に帰国し、とある廃棄服のプロジェクトに参加させて頂くことになったのだが、廃棄服の多さに驚いている。渋谷区だけで、実に104トンもの廃棄服が出ているそう。焼却処分すると二酸化炭素もいっぱい出そう。だしそもそもそんなに捨てるなら作らないで。捨てるくらいなら私にくれ!!

またファッション業界が出している二酸化炭素の量は地球上の実に10%だそう。そして生産されたものの85%が廃棄になるそうだから無駄がすごい。

そんな無駄ばかりの状況なのに、縫製など服を生産するのは発展途上の賃金が安い国。2013年にはバングラデッシュで縫製工場ビル崩壊という大悲劇が起きたのは衝撃だったので覚えていた。

大好きなファッションの筈が、追いかければ追いかけるほど、この様な情報を聞く様になってしまい、ファッションへの疑念が出てきてしまった。あんなに憧れていたのに、今は幻滅している。あんなに頑張ってお洒落な人を追いかけてスナップ撮影をしていたのに、今は着飾り気取ってショーにやってくるファッショニスタが、環境に配慮出来ない馬鹿に見える(勿論人にもよるが)。ていうか最近どんなイケメンとか美女でも、どんなに稼いでイケてる仕事してる人でも、環境に配慮出来ない人がダサく見えてきた。クールじゃないのだなきっと。

環境問題とは多少外れるかも知れないが、初めてロンドンへ移り住んだその1ヶ月後、日本のとあるファッション誌からお仕事を頂き、ファッションウィークの会場へやってくるお洒落なお客さんの写真を撮影する仕事、いわゆるファッションスナップのお仕事を頂いた。初めてのロンドンファッションウィーク、憧れていたこともありワクワクしながら会場へ向かったのだが、そこで私を待っていたのは激しいアニマルファーへの抗議デモだった。アニマルファー=動物の毛皮ね。

画像4

画像9

画像8

オフィシャル会場前には大きなスピーカーとプラカードを持った人々が多数集まっており、”Shame on fashion week!"つまり”ファッションウィーク恥を知れ!”という叫び声がそこここで上がっていた。プラカードをよく見ると、血だらけの動物の写真が掲げられ、設置されているスピーカーからは、生きたまま毛皮をはぎ取られているのでは無いかと思われる動物の悲鳴と、”大丈夫、いい子だ”となだめる男性の恐ろしい音声が延々と流され、さながら地獄であった。かなりの大音量でその場にいるのが辛くなった。

画像2

画像3

画像4

画像6

画像7

日本で殆どデモに遭遇したことが無かったので、とても驚いたし、何よりショックだった。その後も色んなファッション会場を周ったが、デモ隊に度々遭遇し、撮影を妨害されることもあった。またリアルファーを来て意気揚々とショー会場へ現れ、パパラッチされるお洒落な客の前にプラカードを持って妨害してくるということもあった。イギリスのデモ隊はなかなかアグレッシブである。
この写真はファーを着用していた為、毛皮にされる動物の写真の前に立たされ、デモ隊の餌食になるショー来場者↓

画像5

話は戻って、昨年はサステナブル元年と呼ばれているらしい。サステナブルは持続可能な〜という意味。最近見たのはプラダが海からの廃棄プラスチックで糸を作り、ナイロン製品のバックを製作。エコアルフは海から拾ったプラスチックゴミで作った服のブランド。あとミラノ、パリまでファッションウィークを周って、ステラマッカートニーなどがリードし環境保護を訴えていると感じた。

最近はインターネットで世界の出来事が瞬時に広まるので、もうちょっとしたら環境に配慮してない服のブランドが白い目で見られるようになるんじゃ無いかと思っている。結構すぐに。とは言えサステナビリティさえもブランドのPRだと思われると聞いたこともあるので、前途多難だなとも思う。

このように問題は山住みだが、それでも私はどうしようもなくファッションが好きだ。ファッションは大事な自己表現ツールだし、人生を豊かにしてくれるものだと思うので。大好きなファッションだからこそ、これらの問題を解決して欲しいし、今ある課題に真剣に向き合うべきと思う。

自分に出来る事は少ないかも知れないが、せめて私はストローは使わない、ペットボトルを買わない、レジ袋を貰わない様にしている。環境保護に関するプロジェクトにフォトグラファーとして関わらせて頂いているのも有難い。もっと出来る事はないかと模索してる。

この動画参考になった↓

あと最近ハマってるファッション動画↓
やっぱファッション素敵すぎて鼻血出そう。またバックステージ撮影挑戦したい〜!!!!









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?