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ベンチャーが大好きな「企業文化」の正体

 こんにちは、HeaR株式会社の田島彩名です。人事として入社しましたが、現在はコンサルタントも兼任し、クライアント様の採用や組織に向き合っています。

 最近、「企業文化」について考える時間が増えました。

 原因はコロナウイルスの流行なのか、それとももともとあった潮流なのか……、とにかく、働き方の多様性が認められる時代になるとそれに反比例するように”企業文化”の重要性が叫ばれるようになっている気がします。

 ただ、文化とは目に見えないもの。みんな口を揃えて「文化は大事」「文化が大事」「文化こそが大事」と言いますが、一体ベンチャーが大好きな「企業文化」の正体ってなんなんでしょうか。目に見えないものの正体を暴くことなんてできるんでしょうか。

 というわけで本日のテーマは、「企業文化」の正体、です。


「文化」の定義を知る

 まずわからない言葉があったらググれ!と教わってきたデジタルネイティブなので、wikipedia先生で調べてみました。

文化(ぶんか、ラテン語: cultura)にはいくつかの定義が存在するが、総じていうと人間が社会の構成員として獲得する多数の振る舞いの全体のことである。社会組織(年齢別グループ、地域社会、血縁組織などを含む)ごとに固有の文化があるとされ、組織の成員になるということは、その文化を身につける(身体化)ということでもある。人は同時に複数の組織に所属することが可能であり、異なる組織に共通する文化が存在することもある。(wikipedia 「文化」より)

 ふむふむなるほど……つまり、「その組織やグループ特有の振る舞いのこと」ですね。これは社会組織だろうと企業組織だろうとあまり大きく違わない気がします。

 つまり、”その会社に入ることによって個人が獲得する、その会社特有の振る舞いのこと”の総和を指すようです。

 ちなみに、この文化の定義によると、文化は”自然発生的”なものでも、”恣意的に作られたもの”でもどちらでも良いようです。確かに日本の文化について考えた時でも、自然発生的なものと恣意的なもの、両方ありますよね。

 たとえば、日本文化の「着物」や「茶道」などは日本の風土や気候に合わせて自然と生まれてきたもの。一方で、「右側通行」みたいな文化は、利便性などのために恣意的に作られたもの。どちらも”文化”ではあります。

企業文化は「つくる」のか「できる」のか

 では、みんな大好き「企業文化」は、自然発生的でしょうか? それとも恣意的でしょうか?

 結論から言うと、企業文化においては両方ありえます。「こういう振る舞いをしてね」と決めるケースと、「メンバーの中から発生した良い振る舞い」を取り上げるケース。

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1 : デザインされた行動を作る 

 一つ目の、デザインされた行動を作るというのは、一言で言うと「経営者やリーダーのかくあるべしという思いや願いを行動に反映させ、言語化して浸透させていく」ということです。

 図にも書いてありますが、いくらデザインしたからといって簡単に根付くわけではありません。行動をデザインする時には、以下の四つに気を使うと良いと言われています。

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2 : 自然発生した行動

 こちらは、一言で言うと「会社の中から生まれてきたもの」です。残念ながら、必ずしも”良い行動”だけでなく、”悪い行動”も自然発生的に生まれてきます。

 なんらかの文化になりうる行動が生まれてきた場合は、社内でそれをどのように扱うか考える必要性があります。

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良い企業文化を作るコツ

 良い企業文化をつくりたい、という相談は、私たちHeaR株式会社がここのところ最も頻繁に受ける相談の一つです。

 良い企業文化はどんなものなのでしょうか。かっこいい英語で作られたキャッチコピー? それとも、会社の思いがつまった抽象的なワード? ……残念ながら両方とも正解ではありません。HeaRでは、良い企業文化をつくるための”チェックリスト”として、以下の5つを採用しています。

□ 自社の事業が勝ち続けるために必要な要素である
□ 他の企業文化と差別化されている
□ 行動につながっているか
□ 会社が古くから持っていたものか?
□ その文化のテストに、あなたはパスするか?

 「自社の事業が勝ち続けるために必要な要素である」。これはわかりやすいですね。文化とは行動、その行動が根付き、社員が自らその行動指針に即して動いた時に事業が成長するものでないといけません

 「他の企業文化と差別化されている」、というのも重要です。もちろん、オリジナリティー。自社の色や雰囲気が反映されているのは重要です。

 「行動につながっているか」――シンプルですね。その文化を見て、具体的な行動を想起させなければ意味がありません。

 「会社が古くから持っていたものか?」 これはかなり重要な要素です。企業文化を定義する時、あるいは作り直す時は、かならずこれらのプロセスを辿ることになります。

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 0-1で文化を作り直すことや作り上げることはとても大変です。なぜなら、それだけ大幅な行動変容を社員に求めることになるから。すでにある文化を活かせば、浸透もはやく抵抗感は少なくなります。

 そして最期の項目は、「その文化を提唱するあなたが、その文化に則った人物であるか?」。とくにリーダーや経営者にとっては耳の痛い話ですが、結局「そうはいっても俺たちの社長ができてないんじゃん」と思われれば努力は水の泡に。

結論:企業文化の正体

 長々と書いてきましたが、企業文化とはなんぞや、ということについて結論をまとめます。

・文化とは、その集団の行動である。
・企業文化は、会社のメンバーになると獲得する行動のこと。
・文化となる行動は、デザインされたもの(=リーダーや経営者のこうあるべき、という姿に基づいて恣意的に作られたもの)と、自然発生したもの(=社員やメンバーのキャラクター性や関わりの中から生まれたもの)の両方がある。

 企業文化、ってなんだかとても格好いい響きなので、なんとなく作ってみたくなる……というケースは多々あります。ただ、結局作っても根付かなければ意味がありません。根付くためには、いくつかのコツが必要なようです。

 やっぱりとても重要なのは、「ちゃんと事業成長にヒットすること」。ただただ、それが良い文化だからという理由で”笑顔で過ごす”というものを決めたとしても、結局事業成長にヒットしなければ意味がありません。ある意味ここが、”社会的文化”と”企業文化”の最も大きな相違点ですね。

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