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(1)なぜ、今、睡眠が大切なのか?

【1】はじめに
(1)新型コロナウィルス時代の睡眠の価値


こんにちは、健康マネジメントスクール水野雅浩です。
今回のテーマは「睡眠マネジメント」。


日本人の5人に1人は、睡眠不足。3人に1人は慢性的な不眠症と言われていますが、皆さんは、質の良い睡眠が取れているでしょうか?
日常で以下のような症状はありませんか?


なんとなく疲れやすい
ストレスを感じる
ドカ食いしやすい
些細なことでイライラする
集中力が続かない
注意が散漫になる


これらは睡眠不足からくる初期症状として代表的なものです。眠気を感じなくとも、身体に必要な睡眠時間・質が足りていない可能性があります。そして、仕事上ではメリットとなることが一つもありません。


今回は、オモテのテーマとして、「仕事のパフォーマンスを上げる睡眠マネジメント」としました。また、ウラのテーマとして、ココロとカラダを守る睡眠スキルを身につける。つまり、Withコロナ時代の健康マネジメントとして「睡眠」を位置づけました。


実は、睡眠をテーマにしようと思ったのは、私の友人の一言がキッカケでした。私の高校の同級生は、日本で医者になり、国境なき医師団として世界を拠点に活動し、今はアメリカのエモリー大学病院の救命救急の現場で新型コロナウィルスと戦っています。

以前、ZOOMオンラインで質問をしたことがありました。その質問内容は、「新型コロナウィルスにかからないように、そして、治療が終わった後も、患者さんに『予防』としてしているアドバイスはありますか?」というものです。


そこで、間髪入れずに返ってきた答えは、一言。
「睡眠」でした。


日本のメディアでは、手洗い、うがい、マスク、三密を避けるなどが盛んに報道されます。ドクターから出る言葉としては、上記のものか、もしくは、ビタミンCなどのサプリメントの摂取などが進められるのかと想像していました。


しかし、新型コロナウィルスの最前線で患者を救う救命救急医からのアドバイスは、「睡眠」だったのです。


友人曰く、ウィルスや、細菌の盾となるのは免疫。免疫をキープするうえで欠かせないのは睡眠。新型コロナウィルスの予防にも、治療後にもたっぷり睡眠をとることをアドバイスしているとのことでした。


私達日本人は、手洗い、うがい、三密を避ける、ということばかりに目が行きがちで、睡眠を後回しにする傾向があります。ともすると、睡眠時間を削ってまで働く傾向があります。しかしそれは今の時代において本当に正しい生活リズムなのでしょうか?


今回は、質の良い睡眠をとることで、仕事のパフォーマンスをあげるためにも、ウィルスに対する抵抗力を高めるためにも、睡眠マネジメントをご紹介していきたい思います。


(2)講義の構成


前半は、睡眠のリテラシーを高めるうえで


なぜ、今、睡眠マネジメントなのか
睡眠をとることのメリット
睡眠のとらないことのデメリット
を紹介します。


後半は、時間の流れに沿って、
夜は、「自律神経」を整えるための習慣
昼は、「Sleep Pressure」を高める習慣
朝は、「体内時計」をセットする習慣
をご紹介ます。


私たちは、ついつい、夜にばかり注目しがちです。しかし、日中や、朝の過ごし方も睡眠の質に大きな影響を与えるためぜひ、夜以外の過ごし方が実は、睡眠の質を下げていないかチェックしてみてください。


今は、在宅ワークが基本となり、また海外とのWeb会議なども活発になり、なかなか100%の実行が難しい環境ではあります。しかし、日本の伝統である茶道、華道、書道などのように一度、「型」を学んでおくと、あとは個人の置かれた状況に合わせて、アレンジしながら型を崩すことも可能になります。


一番良くないのが型そのものを知らない、アレンジしようもないという状態です。まずは100%の実行でなくても大丈夫です。睡眠マネジメントのヘルスリテラシーを高める上でも、まずは原理原則を一緒に学んでいきましょう。


【2】なぜ、今、睡眠マネジメントなのか?
(1)睡眠後進国日本


まず、なぜ、今、睡眠マネジメントなのか。というテーマです。


今は随分、変わってきましたが、日本の労働環境は、ずっと睡眠を軽視してきました。私が若い頃はまさに「24時間働けますか?」というCMが流れ、会社の中でも深夜までの残業は当たり前でした。週に1回は家に帰れずサウナに泊まりに行くと、サウナの受付の方が「お帰りなさい」と声をかけてくれ、私も「ただいま」というのが当たり前でした。


今は働きた方改革で、少しずつ変わってきてはいると思います。しかし、私の弟夫婦は、日本の行政の中心地、霞が関のある省庁で働いているのですが、今でも、深夜まで働き詰めです。


EU諸国では勤務間のインターバル制度は1993年に導入済みで、24時間につき最低連続11時間の休息を与えることが義務付けられています。これに比べると、日本は世界的に見てもまだまだ睡眠後進国と言えそうです。
一度、私達が置かれている現状を客観的に見ていきましょう。


(2)不眠で仕事のパフォーマンスが低下


「日本は眠らない国民」と言われています。その理由は、OECD諸国の中でも日本の睡眠不足はワースト1位だから。

では日本人は眠らなくても健康を保てる特殊な国民なのかといえば、もちろんそんなことは有りません。


フランスの大手製薬会社が、10か国を対象に国際的な疫学調査を実施した結果、日本人では成人の実に5人に1人、約21%が不眠に悩んでいることが明らかになりました。


さらに「睡眠負債」提唱者のスタンフォード大学睡眠研究所西野先生によると日本では、一時的な不眠症に陥っている人は約5割、慢性的な不眠症では約3割いるとされ、15%が日中に過度の眠気を感じていることが分かっています。


そこに加えて、新型コロナウィルスの発生による、「働き方の変化」があります。多くの方は、在宅ワークを経験した方が多いのではないでしょうか。
医療機器メーカーのオムロンの調査によると「在宅ワークで睡眠の質が低くなった」と答えた人が56%。さらに「精神的なストレスが増えた」と答えた人がなんと、60%を超えました。


これは、新しい時代の変化の中で、睡眠での身心の回復が出来ていないことが想像できます。


6時間睡眠を14日間続けると丸2日徹夜したのと同程度の認知機能になります。つまり、毎日6時間睡眠を続けている人は、「毎日徹夜明けで仕事をしている状態」で仕事をしているということです。


睡眠を削ると、集中力、注意力、判断力、実行機能、即時記憶、作業記憶、数量的能力、数学能力、論理的推論能力、気分、感情など、ほとんどすべての脳機能が低下することが明らかになっています。
私達は、ついつい仕事の仕事の成果を上げるために、睡

眠時間を削って仕事をしたり、スキルアップの勉強をしたりする傾向にあります。しかし、それが本当に効果的なのか、考える必要がありそうです。


出典Liu X , et al. Psychiatry Res. 2000 Feb 14;93(1):1-11
平成30年(2018)「国民健康・栄養調査」の結果

次回は、睡眠不足がもたらす「三大リスク」についてみていきましょう。


健康マネジメスクール代表 水野雅浩
「健康を企業文化に」
 ≫ 健康経営の導入と定着を総合支援


プロフィール


健康マネジメントスクール代表。予防医学の専門家。健康経営アドバイザ-。著書「グローバルで勝つ!30代の太らない疲れない7つの習慣」はアマゾン総合1位に。介護サービスに10年間携わり、人の「老い」と向き合う。その後の香港勤務時代では香港のエグゼクティブ達が日々コンディションを整え仕事の成果を上げる姿を見て、日本のサラリーマンとの違いを痛感。香港で100人を超える香港のビジネスマン達に健康習慣を取材、また予防医学を体系的に学ぶ。日本のビジネスマンの生活スタイルに最適化した健康習慣を構築。各種ビジネス誌、医療誌で注目される。企業、行政、大学の講演会・講義では分かりやすくすぐに実践できる内容と高い評価を得ている。現在は、「健康を企業文化に」の理念のもと①健康経営の導入支援 ②健康マネジメント(食事・睡眠・運動・ストレスケア)の企業研修を行っている。


著書


「稼げる男」と「稼げない男」の健康マネジメント (明日香出版)「太らない」「疲れない」21の習慣(飛鳥出版)「太らない」「疲れない」7つの習慣(ヘルシーライフマネジメント出版)


研修


① ■ グローバルで勝つ!仕事のパフォーマンスを上げる健康マネジメント
海外での勤務経験を通じて見えてきたのは、健康マネジメントを実践して仕事のパフォーマンスを上げるグローバルで活躍するビジネスパーソン達でした。6,000人のビジネスパーソンの健康マネジメントを支援してきた多忙なビジネスパーソンでも実践できる健康マネジメントの考え方と具体的なノウハウをお伝えします。
② ■ 「健康を企業文化に」 健康経営の導入と定着への7つのステップ
人口減、少子高齢化を迎える日本では、社員が健康で長く働ける職場づくりが成長の鍵を握ります。健康経営はこれからの経営戦略の中心となります。しかし、そもそも健康経営の導入がうまく行っていない会社や、導入したものの定着していない企業が多く存在ます。100社以上の健康経営を支援してきた中で見えてきた、「健康を企業文化に」定着させるための、7つのステップをご紹介します。


研修実績

【企業】富士通株式会社、東レ株式会社、株式会社麻生グループ、株式会社中外製薬、アクサ生命保険株式会社、三菱商事株式会社、JR西日本グループ、株式会社大日本印刷、大塚製薬株式会社、ネスレ日本株式会社、北日本銀行、鳥取銀行、日本海新聞社、岩手日日新聞社、京都ホテルオークラ、税理士法人中央総合会計事務所、など多数
【労働組合】全トヨタ労働組合連合会(119社)、豊田自動織機労働組合
【行政】鳥取県、宮崎県、福岡県、岩手県
【役所】台湾大使館




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