腰部・骨盤帯 第9回 《体幹トレーニング②》
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今回より、本格的な体幹(下腹部筋)トレーニングに入っていきます。
『段階的』としているのは、臨床では高齢者から成人でスポーツをされる方まで幅広くリハビリを実施しているため、その人に適した難易度のエクササイズを処方できるようにするため、
また、エクササイズにレベルをつけることにより、代償なく実施できれば『体幹のレベルが上がりましたね』と患者さんへフィードバックでき、
患者さん自身が意欲的にトレーニングを実施することができるからです。
では、さっそくトレーニング内容へといきましょう。
このHip rotate(knee bent)が一番レベルの低いエクササイズになります。
ただ脚を横に開けばよいというものではなく、股関節の運動中は、骨盤の動揺がないことが、このエクササイズの合格ラインです。腹圧(Draw-in)が入っていないと運動中に骨盤が動揺します。
股関節外旋の初動のみ、臀部の収縮を感じますが、その後は、下肢の自重にて内転筋でブレーキをかけながら、股関節外旋していきます。
そして、ある程度外旋したら、内転筋の力で元のポジションに戻ります。
Hip rotateが骨盤の動揺なくできれば、次のレベルであるLeg Liftにすすみます。Leg Liftは膝屈曲90°で交互に脚を挙上します。
これも、脚を挙上する際に、骨盤の回旋がおきないことが合格ラインです。
腹圧(Draw-in)が入っていないと、対側の足底でベッドを押すことによって代償して挙上してしまうため、骨盤が回旋します。
骨盤が動揺・回旋しているかどうかは、左右のASISを指標とします。このASISの位置が運動中に動いていれば、上記のエクササイズは不合格です。
Hip rotateとLeg Liftは高齢者にも十分可能なエクササイズです。臨床でも90歳近い患者さんにも実施しています。
エクササイズのポイントは、腹横筋を中心とした下腹部筋の作用にて骨盤を固定することです。
脚の動きよりも、運動中に骨盤がしっかり止められているかが重要です。
上記のレベルで固定性の不良がみられるのであれば、次のレベルにはいきません。難易度を上げたとしても、代償が出て、体幹のトレーニングとしての効果が薄くなりますし、腰部への負担が増すので危険なためです。
では、上記のエクササイズが合格したら次のレベルにいきます。
Draw-inした状態で、片脚ずつあげます。
そして、そのポジションをキープします。キープ中はできるだけ胸式呼吸で腹横筋の収縮が抜けないようにします。
合格ラインは
腰部の下に手のひらを置き、キープ中に手のひらで腰椎部での圧を感じることができれば合格ラインです。
Double knee foldsのキープがある程度、ラクにできるようになれば
Hip rotate(Double knee folds)または
Toe Touchをしてみましょう。
Hip rotate(Double knee folds)およびToe Touchを同じレベルにしているのは、どちらが難しいかは人によって違うからです。
そのため、両方実施し、簡単な方からエクササイズをすすめましょう。
ちなみにHip rotate(Double knee fold)での骨盤固定性の評価方法は
さきほどと一緒で左右のASISを指標にしましょう。
Toe Touchは、
つま先をベッドにつく際に腰椎が伸展しやすいので、その瞬間にも手のひらに腰椎部の圧を感じられているかが合格ラインです
ここまでのエクササイズは70代~80代の高齢者にも実施し、合格できている人もたくさんいます。前回の『体幹トレーニング ①』の内容がしっかりできていれば、実施していきましょう。
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