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腰部・骨盤帯 第5回 《体幹機能 中編》

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本日も、前回に引き続き体幹機能についてのお話します。


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学校で習ったDaniellsの徒手筋力検査では、腹部の筋力は上体起こしの筋力として学んだと思います。

しかし、Kendallは、腹部の筋力を上と下で分けて考え、腹筋の上半分を上腹部筋、下半分を下腹部筋とし、それぞれ別の筋力として捉えました。

下腹部筋は骨盤を後傾する筋です。そして、一般的に下腹部筋の筋力は低下しやすいです。

なぜかというと、

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日常のADLで、このような骨盤後傾の動きをする機会はめったにありません。そのため、意識的にトレーニングを積んでいない限り、下腹部筋の筋力は低下しやすいのです。

ちなみに上腹部筋の機能はDaniellsの腹筋のMMT(上体起こし)と同じ考えです。これは、起き上がり動作など日常のADLで使用する機会が多いため、健常成人では著名な筋力低下はあまりみられません。

ちなみにですが、下腹部筋の筋力低下があるとSway backのような不良姿勢に関与します。


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そして、下腹部筋はその位置関係から腰部の固定性に重要な役割を果たします。


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そのため、下腹部筋の筋力低下はそのまま腰部の固定性低下につながり腰痛のリスクファクターとなります。


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それでは次に、下腹部筋の筋力評価方法をみていきます。


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背臥位で腰椎の下に手を置き、骨盤を後傾させ、腰椎を平坦にしながら、腰椎部の圧を軽く感じます。そして下肢の下降に伴い、どれくらい腰椎の平坦が維持できるかでMMTのグレードが決まります。

臨床では、そもそも骨盤の後傾運動ができない(仕方がわからない)という患者さんも多数おられます。

それほど、下腹部筋は日常では使用されず、機能低下を起こしやすいということです。


では次に、ワシントン大学名誉教授のShirley A.Sahrmann氏の体幹機能テストをみていきます。

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こちらも、先ほどと同じく、手を腰椎の下に置き、圧が抜けないか(腰椎が前彎しないか)で判断します。

Stability Score 1は、膝90°屈曲位にて片脚ずつあげ、両脚を挙上して保持します。

Stability Score 2は、両脚を挙上して保持した位置から、片脚を下ろし、ヒールスライドにて膝伸展⇒屈曲させ、再び、脚を挙上し、最初のポジションに戻ります。


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Stability Score 3は片脚を伸ばして、また戻します。

Stability Score 4は両脚を同時に降ろして、ヒールスライドにて膝伸展→屈曲させ、再び、両脚を挙上保持したポジションに戻ります。


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Stability Score 5は両脚を同時に伸ばしてまた戻します。


臨床においては、高齢者ではScore 1ができれば十分。

スポーツをしない小中学生などの子供ではScore2-3,スポーツをする子供はScore3-4,

成人男性ではScore 4-5,成人女性ではScore 4,スポーツをする成人男女ではScore 5を目安に評価しています。

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