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腰部・骨盤帯 第15回 《腰椎椎間板ヘルニア 治療編》

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椎間板ヘルニアは脱出しても、ストレスをかけなければ退縮することがわかっています。



私は臨床で、画像所見にもとづいてヘルニアの診断がついている患者さんで、

前屈時のみ片側下肢の痺れが生じる

片側の足部背屈の軽度筋力低下(4レベル)

など、症状が比較的軽度で、尚且つ、症状が出始めてか1~2ヶ月程度の患者さんで、リハビリをすることにより、症状が消失していった方をみてきています。


ヘルニアの診断で、リハビリに回ってきた患者さんには下記のような治療を行います。

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ただし、一番重要なのは、

早急に日常での腰部屈曲ストレスを軽減させ、ヘルニアの退縮をすすめることなので、

『ADL指導』が非常に重要となってきます。



まずは患者さんへ、なぜ、腰部を屈曲するとヘルニアが脱出して神経症状が出現するのかを、骨模型を用いて、丁寧に説明します。

ヘルニアのADL指導には、患者さんの病態理解が欠かせませんので、ここは患者さんが理解できるまで、説明します。



そして、患者さんの、普段の日常生活や仕事でよくする姿勢を聴取し、評価します。




たとえば台所作業の多い主婦の方であれば、

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中腰姿勢を、軽いスクワット姿勢にできるよう修正指導かけます。




草むしり、庭仕事の多い高齢者であれば


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いわゆるヤンキー座りを、蹲踞や片膝を着く姿勢に修正指導していきます。





そして、重量物を運搬する現場作業員の人には


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腰部をニュートラルで固定したままの重量物の運搬動作を指導します。




ヘルニアの方は一般的にハムストリングスの硬化があり、座位での骨盤後傾や、前屈での過剰な腰椎の屈曲がみられます。

※当然、座位姿勢や前屈動作も修正指導をかけます。


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根本的には、ハムストリングスの柔軟性を改善し、腰部の固定性を上げるための体幹トレーニングをすすめ、『腰椎が屈曲しない身体作り』をしていくのですが、これには時間がかかります。


それよりも、一刻も早く、ヘルニアの退縮をすすめ、神経症状を軽減させるために、まずは、『腰椎が屈曲しないように、日常生活での姿勢・動作指導』を徹底します。



引用

Benson, R.T., Tavares, S.P., Robertson, S.C., Sharp,R., and Marshall, R.W. 2010 : Conservatively treated massive prolapsed disc: A 7-year follow-up. Annals of Royal Collage of Surgeons of England, 92:147-153.


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