肩関節 第1回 《疼痛・拘縮肩の治療ロードマップ~肩甲骨の評価》
本日より、治す理学療法シリーズ《肩関節編》に入ります。
私は、治す理学療法シリーズではできる限り『治療』に焦点を合わせて、お送りしたいと思っています。
ですので、肩関節の解剖学や運動学、病態などの詳細は、専門書を参照ください。
肩関節編では、上記図のロードマップに沿ってお話します。
私は普段の整形クリニックの臨床では、20分で評価・治療を行わないといけないので、意味があまり無い作業はできるだけ省きます。
いわゆる五十肩のような、疼痛を伴った可動域制限でADLに支障が生じている患者さんが外来リハに来られたら、
軽く問診をして、現在、困っている動作(挙上や結帯、着衣動作など)を評価したのち、
まず肩甲骨のアライメントを評価します。
臨床上、一番多い異常アライメントは、
①内側縁と棘突起間が4横指以上離れているアライメントです。
疼痛が強い患者さんは代償的に、小・大胸筋の過剰な作用にて、肩甲骨が外転・内旋して『巻き肩』のような姿勢をとっています。
次に多いのは、
②肩峰がTh1より上の高さに位置しているアライメントです
Th1の触診は、まず頸部を屈曲してもらい隆椎(C7)を指標として、探します。
これは、僧帽筋・肩甲挙筋の過剰な作用にて肩甲骨が挙上しており『肩こり』の症状を伴った患者さんでみられます。
肩甲骨のアライメントを評価し終わったら、アウター(肩甲骨周囲筋)の過緊張や滑走障害を治療します。
過緊張のアウター(小胸筋や肩甲挙筋など)に対してはストレッチや反復収縮などリラクセーションで対応し、
滑走障害(癒着)に対しては
滑走障害(癒着)が生じやすい箇所に対して、皮膚・皮下脂肪のすべり具合が悪ければ、すべてリリースをかけます。
✖の箇所が滑走障害が生じやすい箇所です。
私は、いわゆる五十肩の症状で整形クリニックに来られた方には、一様にアウター(肩甲骨周囲筋)から取り掛かります。
なぜなら、
肩甲骨のアライメントが崩れていたり、アウターに過緊張などの機能障害があると
肩甲上腕関節(GH)の適切な評価ができないからです。
肩甲骨のアライメントが崩れていれば、そもそものGHのポジションがずれてきているため、評価しにくいです。
アウターに過緊張や滑走障害があれば、GHをpassiveで評価しようとしても、肩甲骨が一緒についてきてしまいます。
肩関節の治療で大事なのは、
肩甲骨と肩甲上腕関節の機能障害を分けて考えることです。
例えば、肩関節屈曲の可動域が120°までしかなかったとします。
では、その制限は、
肩甲骨の問題なのか?
肩甲上腕関節の問題なのか?
ここを分けなければ治療になりません。
わけがわからなくなるだけです。
そのため、適切に肩甲上腕関節の機能を評価するために、
まずは肩甲骨の問題から取り除きます。
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