肩関節 第5回 《三頭筋長頭周囲の滑走障害,腋窩筋膜の癒着》
臨床では比率的に多い機能障害です。
三頭筋長頭腱のすぐ近くに、腋窩神経が走行しており、これが絞扼されることにより、様々な症状がでます。
①三角筋の圧痛を伴わない疼痛の訴えや痺れ
②三角筋の過緊張(リラクセーションかけてもすぐ再発します)
③肩甲上腕リズムの破綻(三角筋の過緊張のため)
④肩峰下インピンジメント(三角筋の過緊張のため)
クリニックに勤めだした当初は、上記の症状にとても悩まされました。
なぜかというと、三角筋に機能異常がみられるため、そこばかりに集中してしまうからです。
しかし、根本的な原因は後方の腋窩神経の絞扼にあるため、そちらを治療しないと治らないのです。
それらの苦い経験から、特に最初の肩甲上腕関節のROM評価にて、水平内転制限があれば、まず腋窩神経を狙ってリリースをかけています。
水平内転の正常可動域は肘頭が鼻の位置まできます。
腋窩には、腋窩筋膜という非常に分厚く広範囲な皮下脂肪と筋膜があるため、ここをリリースすると肩の疼痛や可動域が改善することが非常に多いです。
それもあり、水平内転制限があれば、必ず、腋窩をリリースするようにしてます。
腋窩では、前方から広背筋,大円筋,三頭筋長頭腱,小円筋の順に筋がついています。
ちなみに、肩の挙上制限で肩甲骨を止めた状態で制限がかかれば大円筋,肩甲骨をフリーにした状態で制限がかかれば広背筋の硬化が疑われます。
腋窩のリリースは
前方からPassiveで内外旋を入れながらするときもあれば、
後方からリリースをかけるときもあります。
私は、細かい手技にはこだわりません。
触診が正確にできており、滑走性の評価ができれば、どんな手技でも構わないと思っています。
そのため、患者さんの反応をみながら心地よくリリースできるポジションで、行っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?