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想像と想像と想像 #27

「ヤクザ」

僕は大学に入り、2つの指定暴力団とも言える巨悪に献金している。

まず1つ目のヤクザ。
このヤクザからは、とあるブツを購入している。
このとあるブツを購入すると、ヤクザたちに61.7パーセントのキックバックが入ることになっている。
つまり年間で、
420円×61.7%×365日=94586.1円
献金していることになる。

一定のお金を払うことで、サービスを受け取る。
これは、資本主義社会の根幹ともいえるものである。
小銭を握りしめてコンビニに駆け込んでくる小学生でも知っているこの世の理でもある。
日本に存在するすべての暴力団も、献金者をむげに扱うと言ったまねはしないはずである。

ただ、このヤクザだけは違う。
飄々とした顔で献金を受け取り、献金者たちに見返りを与えるのではなく、狭い独房に閉じ込めてブツを吸わせるのだ。
その一方で、非献金者たちを優遇し、献金者の居場所を奪うといった悪行もなしている。
健康増進法という、犬のえさにもならないような悪法を施行し、献金者を死の淵に追いやっているのだ。
これには、あの徳川綱吉もびっくりである。

僕は、この極悪非道を警察に訴えようと試みた。
ただ、彼らは取り合おうとはしなかった。
それもそのはず、彼らは「国家」というヤクザの犬でしかなかったのだ。

2つ目のヤクザは、詐欺を得意としている。

このヤクザは、大学入学時にまず入会金として15000円を団体に振り込ませる。
その上で、大学生活に必要な物品を団体の特別紹介という形で購入させようとしてくるのだ。
大学生の必需品といえば、パソコンであろう。
このパソコンを、相場の2倍近い値段で買わせてくるのだ。
MacBookなどは10万円ちょいで買えるのだろうが、この団体のパソコンは20万円ちょいする。

ただ、彼らの得意文句がここで炸裂する。
「いつでも修理サポートが付いているので安心!」
「スタートアップも一緒にできますよ!」

特にスタートアッププランは、この団体を介して購入しないと教えてもらえないという卑劣な手段を用いているのだ。
極め付けは、修理担当の人が常にその団体の事務所にいるわけではないことである。
なんのための24時間安心サポートなのか。

この20万のパソコン自体にも、大きな欠陥がある。
まず、団体を通して購入したにも関わらず、その団体の所属する大学のWi-Fiに繋がりにくいという点である。
ほかのパソコンでは繋がる教室などがあり、僕は驚きを禁じ得なかった。
次に、バッテリーの持ちが幼稚園児の体力並みという点である。
起動時に1番体力を消費し、1時間半ほどしか作業が続かない。
起動し続けるためには、定期的に昼寝という名の充電をする必要があるのだ。
ただ、僕の大学の教室にはコンセントが非常に少ない。
100人ほど入る教室にコンセント4つといった環境はざらである。
この環境を知っていてなお、この団体は廃棄寸前のパソコンを売りつけてくるのだ。

パソコンだけではない。
大学生の食生活にまで、彼らは触手を伸ばしている。

うっすい白身魚のフライ 200円
しょっぱいだけが取り柄のハンバーグ 200円
スーパーのカットキャベツらしきもの 130円
僕が作るレトルトの方がうまい味噌汁 44円

あげていけばキリがないが、彼らは学食という独占状態でいられる立場をいいことに、血も涙もない値上げを敢行している。
学食パスという親心を刺激するアプリにお金を振り込ませるものの、機器の不調という理由だけで振り込まれているお金を使わせず、現金で購入することを求めてくることもある。
人件費をギリギリまで削減することで、利益を増大させる狙いがあるのだろうが、毎日あの行列に並ぶことは、苦痛以外の何者でもない。

この団体は、新生活に不安を覚える未成年や、それを案じる親心を手玉にとってお金を搾り取ることを生業としている。
これを、ヤクザと言わずしてなんと呼ぼうか。

「国家」と「大学生協」
この2大ヤクザに対して、声を上げることのできるものは少ないであろう。

ただ、我々人類は幾度も立ち向かうことで社会をより良いものにし、人類そのものを進歩させてきたのだ。
初めて海に飛び込むペンギンになってやろうではないか。

僕は後世の教科書にこう描かれているだろう。

「東洋のナポレオン」

気の小さい東洋のナポレオンは、明日もコパンで定食を食べながらパソコンと睨めっこし、申し訳なさそうに喫煙所へと消えていく。

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