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第1回新型インフルエンザ等対策推進会議

2023年9月1日、内閣感染症危機管理統括庁が発足しました。それとともに、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき設置される「新型インフルエンザ等対策推進会議」が改組され、新たに15人の委員が任命されました。その中の一名に任命され、9月4日に開かれた第1回会議に参加いたしました。
新体制での第1回会議では、議長の選任と今後会議で取り組む内容として、新型インフルエンザ等政府行動計画の改訂について説明を受けました。そして、各委員より一人ずつ所感を述べました。議事録がホームページに掲載されていますが、自分の発言についてこちらでも紹介させていただきます。

(冒頭略)この行動計画について申し上げたいのは、コロナ以前、パンデミック対策は「パニック・アンド・ネグレクト」、パニックを起こしてはまた無視をして忘れ去られると、そんなサイクルが続いていると揶揄されていたことがございます。今後、行動計画をつくる際には、資金的に裏づけのある中長期的な準備の実行計画というのを立案していくことが求められていると考えております。
これまでの行動計画ですが、準備をするための行動計画なのか、対応するための行動計画なのか、どっちつかずな部分があり、ともに不十分であったと考えております。基本的な考え方はこのパンデミック時に取り得る対策のメニュー表というコンセプトであったわけですけれども、では、そのメニューを実行するための準備として、何をパンデミックとパンデミックの間、今のような時期にやっていくかということについての記載が不十分であったと考えております。行動計画の議論では、平時にどこまでの投資を行うか、どの段階まで準備を進めておくかということの議論が非常に重要だと考えております。これについてしっかりと合意形成をし、文章として記述できるとよいのではないかと考えております。
それから、計画のそのものの考え方についてです。
新型インフルエンザに偏ってこれまでずっと議論されてきたのは皆さん御承知のと
おりだと思います。そして、今後、新型コロナの経験を基にした議論が中心になると考えられますが、次のパンデミックが新型インフルエンザでもコロナでもある保証はございません。新型コロナ以前の考え方にはぜひ戻らないように注意をしていただきたい。これまでも、2009年のH1N1、鳥インフルエンザ、H5N1、H7N9、こういった過去のシナリオに偏って訓練や演習が行われてきました。これは言わば過去問を解いているだけであります。そうではなくて、今後どのような形でパンデミックが起こり得るか、そのシナリオランドスケープをきっちりと設定して構築すべきパンデミック対策をいま一度考える必要があると思います。よろしくお願いいたします。

齋藤智也. 第1回新型インフルエンザ等対策推進会議(令和5年9月4日)議事録より抜粋

パンデミックの時にどんなことをしなければいけないのか?は行動計画の大事な要素です。それが「メニュー表」のコンセプトでした。それから逆算して、何を、どのくらいの時間をかけて、どの程度までできるようにするのか?そのために今、何をするのか?を記述する計画が必要です。さらには、それに予算的裏付けがあることで、より強固な準備の行動計画になります。

そして、いつも申し上げていることですが、「過去問型の危機管理」ではいけません。過去に起きた事象をなぞって何度練習しても、次なる危機への備えにはなりません。

「作っておいてよかった」とあとで思える行動計画になることを望みます。

参考

第1回新型インフルエンザ等対策推進会議の資料等はこちら