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#ヘラシーな先生たち Vol.3 松本加奈美|「地球にも身体にも優しいのが、healathy」

healathy VILLAGEの運営するオンラインヘラシースクールの講師へお話を伺うマガジン「ヘラシーな先生たち(healathy teachers)」。

ヘラシースクールでは、毎日のホームルームと不定期の特別講義を行なっています。その内容は、栄養学から料理教室までさまざま。それぞれの分野で活躍する講師陣が、”healthy”を盛り上げます。

そんな講師陣の活動背景や講義内容を伺うこのマガジン。第3回目のゲストは、松本加奈美さんです。

“粗食レシピ”を公開している松本さん。“超少食ファスティング”と栄養学の関係性を語っていただきました。

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ー はじめに、healathyで教えていることを教えてください。

 管理栄養士としてのキャリアを活かし、1期につき1回、栄養学について講義を行っています。村長(安田藤嗣さん)が提唱する“玄米菜食と発酵食”を栄養学の視点でみて、わかりやすく解説できたら、と。これまでは“粗食レシピ”を料理教室として行っていましたが、これからは動画などで配信もできたらいいなと考えています。

ー 粗食とは、どのようなものなのですか?

 私が提案している粗食は、“少肉多菜”。タンパク質は少なめで、野菜が中心の食事のことを指します。粗食の意味を調べると「粗末な食事」といった言葉が出てきますが、日本は昔から、ハレとケ(晴れと褻)という考え方があります。お祝い事やホームパーティーなどいつもよりちょっと豪華なご飯を「ハレの日」の食事だとするならば、普段の頑張らないシンプル(質素)なご飯は「ケの日」の食事となります。粗食は、このケの日のご飯で、自分にとって本当に必要な分だけ食べる、シンプルな食事のことだと感じています。

私自身、healathyの2期生として“超少食ファスティング”に参加しているのですが、“超少食ファスティング”は、ケの日の食事の大切さを再認識できる大事な期間だなあ、と思います。

ー もともと、そういう食生活を送っていたのでしょうか?

そうですね。一緒に住んでいた父方の祖父は毎朝スムージーを飲むような、かなり健康に気を遣う人でした。母方の祖父母は畑をやっていて、祖母はいつも「長生きできるから」と言って、採れたての旬の野菜を料理して食べさせてくれました。母もお肉より野菜中心のメニューを作ってくれていましたね。料理上手な祖母に憧れて料理家の道を目指しましたし、祖父母の影響を受けているかもしれません。

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▲作り置きにもおすすめな“酢大豆”

ー 普段は料理家として活動されているとのことですが、経緯を教えてください。

 子供の頃からものづくりが好きで、そのひとつとして料理が好きだったんです。裁縫も好きだったので、家庭科の先生になろうかなと思ったのですが、その進路は叶わず……。管理栄養士を目指そうと学校へ通いました。

 授業を受けていくなかで「栄養学は人間みんなが知っておくべき学問なのではないか」と感じるようになって。体の仕組みを理解し、病気にならないための食生活を提案する栄養学は、日々の”予防医学”。栄養素とその役割がわかることで、栄養素が食べ物を選ぶときにひとつの指針になります。これはきっと特別なものではなく、一般常識レベルで知られたらいいのになあ、と思うようになりました。

卒業後は老人ホームで管理栄養士として働いたのですが、調理師のいる現場で栄養士はほとんど調理ができなかったんです。料理のことを分かってないのに、予算や栄養価の数値だけを見て献立を組み立てるのが、どうしてもできなかった。そうして、本格的に家庭料理を学ぼうとまずは修行することにしました。

 退職したあとは、1年間飲食店や料理教室で働きながらフードコーディネーターの資格をとって、さまざまな料理家さんのもとで修行の日々を送り、きじまりゅうたさんの元につきました。

きじまさんの家は、三代続く料理研究家。簡単で美味しい男料理を教わりつつ、お母様のお手伝いもして、丁寧に出汁を取ったり、代々伝わる保存食や漬物などの昭和の家庭料理を教わりました。5年経った2020年、卒業という形をとり、ひとりで活動をはじめたところです。

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▲きじまりゅうたさんらの料理本

ー もともと、healathyにはどのようなきっかけで入ったのですか?

 healathyの発起人である市橋正太郎さんとは、市橋さんの事業のひとつである「hopeto」というサービスで共通の知人の紹介で知り合いました。

以前、化学調味料や添加物を使わずに、素材の味をいかして提供する家庭料理ケータリングユニット「shirokuma kitchen」を組んでいたのですが、その時に地方の食材を使ったフードイベントをしていました。実際に生産者さんに会いに行ったりもして、関わりもあって。hopetoの“生産者と生活者の垣根を超えて、友達みたいに繋がっていく”というコンセプトに共感して、連絡をとるようになったんです。そのご縁からhealathyにも誘っていただきました。

 料理家は、食べることが仕事。ファスティングには興味があったもののがっつりと取り組むことができなくて。料理雑誌や料理本の撮影だと、多い時で1日に10~30品くらいを作るので、毎日いろんなものを食べていたんです。「胃を休ませてあげたい!」という一心でした(笑)。

お仕事が入っていると食べない日はなかなか作れない。なので、COVID-19の自粛期間だからこそ1週間集中できたのだと思います。

ー 栄養学の視点から見た“超少食ファスティング”の印象を教えてください。

 まず、発酵玄米を中心とした「玄米菜食」と日本の昔ながらの「発酵食」は素晴らしいと思います。白米と比べて、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富な玄米は完全栄養食。デットックス効果もあるから、身体の中に溜まった毒も排出してくれる。主食からも栄養を摂って、発酵食のおかずでさらに腸内環境をととのえれば、免疫力もアップするし、良いことづくし。体調も生活も変わると思います。

また、少ない量をよく噛む習慣は消化もしやすくなって、体の負担は減るなあ、と。食べ物のありがたみを感じられたのもとても良かったです。

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フードロスの観点から見ても、“必要な分だけ摂る”という“超少食ファスティング”のスタイルは、地球にも優しい。料理のお仕事の現場では大量に作って廃棄してしまうということもあります。祖父母が汗水たらして育てた野菜を食べていた経験もあるので、食べ物を簡単に捨てるのはやっぱり心苦しい……。自分に必要な量を把握し、残さず食べる大切さを感じていて。地球にも身体にも優しいのがhealathyだと思っています。

ー 必要な分を取ることが、地球と健康を守ることにも繋がっている、と。

 日本は豊かと言われているけれど、本当にそうなのだろうか? 日々、そんなことを考えていて。

小学生のとき、リデュース・リユース・リサイクル、通称「3R」について習いましたが、リユースとリサイクルよりも一番大切なリデュース=“減らすこと”にはあまり触れられていないと思うんです。

栄養学でも習いましたが、私達の健康は環境作りから。限りある資源を大切にして、地球と食に関わる人、命のことを考えて、食事を楽しめたらな、と思います。

ー 最後に、healathyを通してどのようなことを伝えたいですか?

 粗食の魅力を伝えたいです。

「shirokuma kitchen」の活動をしている時も、添加物がたっぷり入った、いわゆる“作られた味”に慣れている人が多いことに気づいて。生産者の思いだったり、どのような気持ちで作ったかだったり「伝えたいことがあるのに、なかなかうまく伝えられないなあ」と思っていたんです。

そんなときに、healathyに出会って。“超少食ファスティング”に取り組むという共通点を持っている人に向けて、粗食の魅力を伝えれば、きっとそこから連鎖していくはず。そう思えるようになったんです。まずは講義を通して、届けられたら、と思います。

◆松本加奈美
1990生。茨城で生まれ、愛知、石川、栃木、千葉で暮らし祖父母の畑で育てた野菜を食べて育つ。大学卒業後、管理栄養士資格・フードコーディネーター資格を取得。複数の料理研究家のもとでアシスタントを務め、2015年からは、日本の家庭料理を学ぶため親子3代続く料理研究家きじまりゅうた氏、杵島直美氏に師事。昭和の家庭料理や保存食、現代の家庭料理を学ぶ。個人では、家庭料理フードユニット”shirokuma kitchen”としてオフィスへのケータリングや、地方食材を取り扱ったフードイベントなどの活動を行い、日本の素敵な食材や文化、伝統に出会う。2020年独立。主にSNSを中心に家庭料理の発信を行う。心と体が無理せず心地よいシンプルで簡単な料理を提案している。
instagram:https://www.instagram.com/kanami_matumoto/
粗食レシピ:https://www.instagram.com/soshoku_recipe/

(取材・執筆:高城つかさ @tonkotsumai

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