「推し活」とTリーグ

今朝(3日)の朝日新聞朝刊が「推し活」の特集をしていた。推し活をしている人の心理、誰かに何かを託す、もしくはその対象を自分の分身として応援していくことで、自分の人生も何とかやりとりしていくー。そんなことが書かれていた。

この際、「推す」のは誰でも対象になりうる。アイドル、アーティスト、スポーツチームなどなど。プレミアリーグで、お腹も出た素行不良の中年フーリガンのおじさんたちがパブでビールを飲みながら、自分のチームの勝敗に一喜一憂するのも、広島カープを応援する「カープ女子」も、狂信的な浦和レッズファンも、みんな「推し活」と言えるだろう。

日々の自分の生活・人生とは別に、活動・努力・競争している何かに自分の思いを託し、応援し、サポートする。時にその活躍に歓喜し、時のその失敗に一緒に涙する。特にスポーツは結果がハッキリするものなので、応援し甲斐があろう。

翻って、卓球の「Tリーグ」。Jリーグやプロ野球と比べたら、やはり地元に密着した「おらが町のチーム」感はほとんど醸成されておらず、観客数が低迷している。もちろん、「地元の代表」感があれば同郷者であれば、自然と応援したくなるだろう。だからTリーグも地元密着を頑張らなければ、そういう課題があると言われている。

しかし、果たして地元感が無いとファンは広がらないのだろうか。ましてやネットで全てがつながる時代。何かをサポートしたいという動機に、地元でなければいけない、すぐ応援にいける距離にあることが最低限の条件なのだろうか。

何らかの「推し」たくなる要素さえあれば、共感する、応援したくなる人々は生まれるのではないか。そんなことを考えさせられた今朝の朝日の特集だった。

チーム側がすべきことは何か。僕は共感してもらえるような、ストーリーやメッセージを発信することなのではないか、と思う。誰だって苦労している、誰だって目指している何かがある、それを曝け出して、訴えるのだ。「そうか、君も大変やな」、「頑張るところ、見ているよ」。そんな風に思ってもらえるだけで、十分成功ではないか。

ヨーロッパと比べて地域単位でスポーツが根付いていなかったり、条件・環境が違ったりする日本。単にヨーロッパ流を輸入すればいいわけではない気がする。

共感を呼ぶ発信、すなわち戦略的な広報の工夫次第で、できることはまだまだあるのではないか、「推し活」してもらえるような存在、Tリーグもこれを目指すべきだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?