コーヒーブレンドの探索
気分に合わせたコーヒーが飲みたいとき、喫茶店に赴く人や、焙煎豆をこまめに買う人ならそれに合わせたものを頼めばよいだろう。しかし私のような自家焙煎家は生豆をある程度大きいロット(と言ってもせいぜい1kg単位だが)で買っているので、ストックから選ぶか焙煎を工夫して味を作らなければならない。
自宅にストックしてある豆の銘柄は多いわけではないので、やりくりが必要になってくるが、その中でブレンドという方法を最近は模索しつつある。
個人焙煎家の場合は、焙煎後ブレンドが標準になるだろう。豆の味の個性は生豆と焙煎の掛け算で引き出されるので、焙煎の自由度を落としたら味の自由度も下がる。浅煎りに向いた豆を、ブレンド相手が深煎りがいいからといって混ぜて深煎りにしては元も子もない。少ないストックで味の表現範囲を広げようとすると、どうしても焙煎後のものを混ぜることが多くなる。
コーヒー卸のサイトの紹介では焙煎前ブレンドを「味の一体感を出しやすい」としているが、そりゃ豆ごとの個性を同じ焙煎度にして消すのだから、一体感は出るだろうが、個人焙煎家から言えばそれなら最初から単一銘柄でいい豆を買っておけばいい、という話になる。
焙煎前後の呼び方
さて、その焙煎前ブレンドと焙煎後ブレンドについて、国内では「プレミックス」「アフターミックス」という言葉で呼んでいる。私はこれを和製英語だろうと思っている。なぜなら、
1) ブレンドという言葉に対してミックスという似て異なる言葉を当てている
2) 対になるのはpre-とpost-、beforeとafterで、preとafterは対応しない
3) mixを名詞として見たとき、pre-mixは「混合前」、after-mixは「混合後」の意味となり、焙煎との時間関係が逆転してしまう。
「プレミックス」で言いたいことを英語で言うと"pre-roast blending"がしっくりくるし、pre/postかbefore/afterの対句で対応させるはずである。この点、プレミックスとアフターミックスは日本語話者にしか通じない言葉だろう。
抽出後ブレンド
なお、コーヒーの味(特に酸-苦-渋のバランス)は抽出法(特に温度と時間)でも大きく変わるので、抽出後ブレンドpost-brewing blendという概念もありうる。実際、缶コーヒーの類ではやっているのではないか、と思える節もある。
ただ、個人で抽出する範囲では2つのドリッパーを同時に回すことはしないだろうから、現実的ではないとは思う。
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