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【ニンジャ自由研究】ネオサイタマに浮かぶ月の物理学的考証

要旨

月破砕年においてネオサイタマに浮かぶ月に起きた現象は、我々の知る月の物理特性に照らして到底起きえないことが多かった。しかし、これらの現象を精査すると、ネオサイタマの月が我々の知る月に比べ大幅に小型で地球に近い軌道を周回していれば無理なく説明できる。付随する諸条件を勘案すると、ネオサイタマの月は、赤道上の高度34846 km上空の円軌道を23時間08分で公転する直径約320 kmの天体であり、インとヤンと呼ばれる半球状の巨大岩塊を中心に砂礫が降り積もったラブルパイル天体である可能性が高い。


SF考証上あり得ない点

ニンジャスレイヤーでは第三部の鍵として月が重要な舞台となる。だが、その月に関する描写でいくつか物理学や天文学に照らし合わせて考えにくいものが散見される。

【現実の月は遠すぎ、通信ラグが無視できない】

ネオサイタマの月についてまず最初に気になったのは、【ショック・トゥ・ザ・システム】において、マスターマインドとハーヴェスターのイクサをアルゴスが同期サポートしていた点である。現実の月は仮に光速であっても片道で約1.255秒、往復で約2.51秒のラグが発生する。コンマ1秒が命取りになるニンジャのイクサで2秒半ものラグが発生した場合、話にならないペナルティになる。

また、モータルのゲーマーでさえコンマ1秒=60 FPSの6フレームもラグがあれば許容できないという人が少なくないだろう。ニューロンの速度でタイプするハッカーどうしの戦いにおいて2.5秒ものラグは決して無視できず、これではナンシーはアルゴスの目をかいくぐって悪さができる。

なお、電磁波以外のテレパシーか何かで通信していたと言う可能性もないではないが、ネヴァーダイズにおける描写を見る限り光学通信であった可能性が高く、テレパシーである可能性は排除される。

【現代のロケット技術では月面には1日で到達できない】

ニンジャスレイヤー:ネヴァーダイズ】では月への飛行は一日程度で済んでいる。実際のアポロ計画ではおおよそ三日間かけて月へ移動しており、一日というのはかなり早い。作中ではニンジャ耐久力で初めて耐えられるような急加速急減速を繰り返していたような描写があるが、月に1日で行くだけならば、体にかかる加速度(G)は大した問題ではない。

本当に問題なのはそれほど短期間で行こうとすると、加速と、月に対して軟着陸できるだけの減速をするのに大量の燃料を食う言うことである。アポロ計画で月まで3日かかる軌道を選んだのは、むしろ燃料の節約ができるからと言う理由が大きい。月シャトルのクロフネが常識外の燃料を積むことができたと言うのであれば、まあそれはそれで良いのだが、やや違和感のある描写である。

【ミイラが浮遊しているのはおかしい】

ニンジャスレイヤー:ネヴァーダイズ】の中盤では、些細な描写ではあるが、月にしてはおかしな点がある。作中の描写では基地内に人工重力のようなものがあるのだが、人工重力の制御が切れている部屋ではミイラが浮いているのである。月の表面重力は地球のそれの1/6あるので、着陸時のショックで動き出したとしても長時間浮遊することはない。

【現実の月はニューク程度では到底破壊できない】

ニンジャスレイヤー:ネヴァーダイズ】の最終盤では、月が人工的な爆発によって破壊される。このシーンは実は少なからぬ読者に違和感を与えた。なぜなら人工的な爆発で月を破壊するのは困難だからである。

恐竜絶滅の契機となったとされるチュクシルブ・クレーターの直径は約160 kmで、これを形成したエネルギーは広島型原子爆弾(TNT火薬換算約15キロトン)の約10億倍とされる。現存する世界最大の隕石衝突跡は直径約190 kmのフレデフォート・ドームだが、このクレーターが形成されたときのエネルギーはTNT換算87テラトン、広島型原爆の58億倍とされる。

一方で、月は地表が更新されないので太古の超巨大クレーターが現存しており、最大の南極エイトケン盆地は直径約2500 kmに達する。これを形成するエネルギーは計り知れないが、いずれにしても地球上ニューク兵器をすべて集めても、月を破壊するどころか、月の模様がウサギに見えなくなるようにすることすら困難である。

【現実の月が爆発した破片は地球を崩壊に追い込む】

仮に現実に月が破壊されるほどの衝撃があった場合、破壊によって数十 kmクラスの破片が多数発生すると考えられる。これらが1%でも地上に降り注げば、恐竜絶滅時の隕石衝突を大きく超え、地上から多細胞生物が一掃されるほどの破壊をもたらす。作中ではそのようなことは起きなかった。

【現実の月は陰陽めいた形状にはなれない】

エイジ・オブ・マッポーカリプスでは破壊された月はインヤン(陰陽)=太極図めいた割れた形状になっているとされる。これも違和感がある描写である。なぜなら、月は質量が巨大すぎ、重力が岩石の固さに打ち勝って、静水圧平衡に従った球形になってしまうからである。表面に多少の模様ができるくらいはするが、地球から見てはっきりわかる裂け目が維持できるとは思えない。

【AoMで頻繁に出かけている節がある】

スレイト・オブ・ニンジャ】の描写では、企業が争って月に行っている描写が見られる。重要遺物があるために争って行っていると言えばそれまでだが、アポロ計画は米ソ冷戦という状況だけが許した巨大予算に基づくもので、私企業が争って実行できるのはやや違和感がある。

全てを整合的に説明できる条件

上記のようなSF考証上の齟齬は、(a)月よりはるかに小さな天体でしか起きえない(割れる、破片が落ちない、割れた状態で維持される、重力が小さい)か、(b)月よりはるかに近くにある天体でしか起きえない(通信ラグ、移動時間、気軽さ)という問題に分類可能である。言い換えれば、月が小さく近ければこれらの問題は生じない。月であるからにはあまりにも大きさが違うと描写上の問題があるが、小さくとも近くにあれば、地表からみた見かけ上の大きさは維持できる。

そこで、ネオサイタマに浮かぶ月が、地球に近いところに浮かぶ小惑星レベルの小型の天体である、という仮説を立て、その是非を検討する。

仮説に反する描写の有無

今までのニンジャスレイヤーの作中では、この仮説に明白に反するような描写は存在していない。ただし考えうる問題は3つある。

一つは、ネオサイタマもグレゴリオ暦を採用しており、1か月が我々の知る月の満ち欠けに由来する約30日となっている点である。この問題に対処するため、今回の仮説に合う範囲で月が地上から見て30日周期で変動を起こす軌道を選択する必要がある。

二つ目は、日食を起こしうる赤道面上の軌道で半径があまりにも小さい場合、高緯度地域で月が上らない問題である。作中描写に反しないためには、この両者を回避できる軌道でなければならない。

三つめは、【ダークサイド・オブ・ザ・ムーン】をはじめとして、「新月の日」「満月の日」という概念が存在することである。月の満ち欠けの周期は基本的には月の公転周期であるため、あまり近くにあると公転周期が早すぎ満ち欠けが日単位より短くなることがあるため、この点も可能ならば回避したい。

ニュークで破壊できる大きさ

天体を完全破壊するのはけた違いに大きなエネルギーが必要である。直径数百メートルの小型の小惑星を破壊するのに必要なエネルギーはTNT火薬換算で1メガトンであるという。地球で設計された最大の核兵器「ツァーリ・ボンバ」はTNT換算50メガトンであり、完全破壊となると直径10 km程度の小惑星でさえ難しい。

しかし、イン・ヤンめいた模様が出る程度に「ずらす」のならそこまで大きなエネルギーは必要ないとも考えられる。地震のように巨大岩塊を数~数十メートル「ずらす」だけと考えると、「ツァーリ・ボンバ」程度のエネルギーで実現することが見えてくる。大正関東大震災(Mw 7.9-8.2)と東日本大震災(Mw 9.1)で動いた断層の質量(地震学者による試算)を参考にすると、直径60 km程度の小惑星は関東大震災の断層質量に匹敵し、直径350 kmの小惑星は東日本大震災のそれに匹敵する。「ツァーリ・ボンバ」のエネルギーは両者の中間程度であり、この程度の大きさなら「割って10~100m程度の隙間を作る」こと自体はエネルギー収支の上では可能である。

大正関東大震災  エネルギー:  45 PJ 断層質量:5.4 ×10¹⁷ kg
四国の年間発電量 エネルギー: 122 PJ
ツァーリ・ボンバ エネルギー: 210 PJ
東日本大震災   エネルギー:2000 PJ 断層質量:1.2 ×10¹⁹ kg

【質量が同程度の小惑星・衛星】
パシファエ(木星)直径: 60 km  質量:3.0 ×10¹⁷ kg
エララ(木星)  直径: 86 km  質量:8.7 ×10¹⁷ kg
シルヴィア    直径:261 km  質量:1.5 ×10¹⁹ kg ※ラブルパイル天体
インテラムニア  直径:350 km  質量:5.7 ×10¹⁹ kg

これらの小惑星を2つの半球に分け、それぞれの半球が質点であり連星系であると仮定した上で、半球の距離を10 m増やしたときのgravitational binding energyの差分を算出すると、シルヴィアで約3000 PJ、エララで約200 PJとなる(Fig. 1)。直径300 kmクラスであってもラブルパイル天体であれば(効率100%として)地上最大の核兵器10発分または四国電力の10年分の発電量で10 mの隙間をあけることができ、直径80 kmクラスなら1発分または1年分で可能である、と計算できる。なお、天体の完全破壊の目安として同様の方法で単純なgravitational binding energyを求めると、これより3~4桁は大きい。完全破壊はこれほどまでに困難である。

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Figure 1. 10mの裂け目を作るエネルギーの概算を行うための半球モデル

なお、表面重力はシルヴィアで地球の0.5%、エララで0.3%なので、着陸船の着陸ショックで跳ねた物体がしばらく浮いているくらいのことは不思議ではない。この程度の大きさ・質量であれば、大きさに由来する描写問題はクリアできる。

候補の軌道とそれにに見あった大きさ

我々の知る月の見かけの大きさは、角直径で約0.5°である。直径300 kmクラスの天体では、地球の静止軌道上でほぼその角直径に見える(Fig. 2)。静止軌道上の直径310 kmの天体の見た目の角直径が約0.5°である。直径60 kmクラスの天体の場合、地球半径(6371 km)の約2倍の公転半径、地上から約6000 kmのところでおおよそその大きさに見える(地上から6371 km上の円軌道上で直径56 kmの天体の見た目の角直径が約0.5°)。

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Figure 2. 静止軌道付近モデルでの月の位置と大きさ(要拡大)

【静止軌道付近の場合】

上記の条件に加え、30日周期で見た目が変わるという条件を付け加えた場合、静止軌道付近では月が30日で空を一周する場合がその候補になる。静止軌道(公転周期23時間56分)よりわずかに内側、それより約940 km (2.6%)地上に近い軌道では、公転周期23時間08分となり、1日で約12度空を進み30日で同じ場所に帰ってくる。この場合、地上のある一点から観測した場合、月は15日間連続で空にあり続け、その後15日間沈み続けることになる。この軌道の場合、月の満ち欠けは公転周期23時間に応じて生じるため、「満月の日」「新月の日」などが区別しづらい。あえて言えば一晩中月が見えて南中時に満月に見える日が「満月の日」だろうか。

なお、この条件で我々の知る月と同じ見た目の大きさとなるサイズは、直径306 kmである。

【地球半径の約2倍の公転半径の場合】

直径60 kmクラスの場合、条件としては火星のフォボスに似る。フォボスは地上から約6000 km程度を周回し、日面通過時には金環食と言える現象を起こす。ただし火星は地球よりも太陽から遠いため、太陽の角直径も小さく、フォボスは直径20 km程度しかない。

地上から約6000 km程度の軌道では、緯度が60度を超える北極圏・南極圏では月が南中時も地平線下にくるため観測できない。北緯51度のロンドンや北緯53度のエドモントン=ホンノウジでは月は僅かな時間地平線付近をかすめるだけになる。またこの軌道は公転周期が3時間48分となり、1日の間に月の満ち欠けが起き、月の出・月の入りも1日に複数回起きる。「満月の日」を決めるのは難しい。

ラブルパイル天体である合理性

直径300 kmクラスの天体まではラブルパイル、すなわち岩塊が重力で集まっただけで核やマントルなど溶け合ってできる構造を持たない天体の可能性がある。このような天体は、「割れる」可能性を高める様々な要素を持つ。

まず一つ、ラブルパイル天体は岩が集まっただけなので中に大きな空隙ができやすい。このため、見た目の大きさに対して質量が小さい。質量が小さいということは、より小さなエネルギーで破壊することが可能であり、人工爆発による破壊の現実味を高める。また、岩塊どうしは主に重力、補助的にファンデルワールス力で結合しており、岩そのものの共有結合を破壊するのにエネルギーを取られない。これも破壊可能性を高める上で有利な条件である。

また、コンピュータに生じる宇宙線(放射線)ノイズを避けるためには、月の場合は地下に埋めてしまうしか方法がない。我々の知る月は空洞候補があるもののどこにでもあるわけではなく、岩を掘るには多大なエネルギーと放熱を考える必要がある。ラブルパイル天体であれば最初からある程度の空隙があり、砂で埋まっていたとしても取り除くのはずっと簡単である。また、最初からそのような空洞に人工物が埋まっていたとすれば、「ずれる」形で「割れる」ことの説明が付けやすい。

また、「スレイト・オブ・ニンジャ」では割れて太極図のようになった月に「イン(陰)」「ヤン(陽)」の名前が与えられているが、これは元々ラブルパイル天体で半球状の暗い岩塊と明るい岩塊が最初から存在すると考えれば、その見た目の不均一性も説明しやすい(ただし冥王星やガニメデのように表面が不均一に見える天体は珍しくない)。

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Figure 3. イン岩塊とヤン岩塊を中心とするラブルパイル

また、最初からイン・ヤンの半球状の主岩塊を他の小粒の岩石が取り囲んでいたという構造を想定するならば、そもそも星を「割る」必要性さえなく、元々イン・ヤンの岩塊の間を埋める小粒の岩石があって、爆発によりそれが吹き払われ、元から存在していた割れ目が見えるようになっただけ、という可能性も検討できる。割れ目を維持できている理由として吹き払われなかった「支え棒」となっている岩石があると想定すれば、むしろそのほうが自然だろう。特に静止軌道付近の衛星を考慮するならば、最大の核兵器の10倍というエネルギーはなかなか想定しづらいので、割れ目が最初からあったプロセスのほうが想定しやすい。

爆発した物体

地球付近を公転して「月」サイズに見える小型の天体であれば、四国電力数年分のエネルギーで「割る」ことが出来ることはここまで検証した通りである。しかし、メガトリイ社は四国全体に匹敵する電力供給を行う必要があったかは、検証が必要だろう。

現代の最大級のスパコンは1万kWクラスの消費電力である。これに加えて冷却設備等や、作中に登場する居住設備や人工重力発生装置に供給する電力を考えれば、この数倍必要だろう。四国電力の定格総出力は634万kWであり、さらにメンテナンス等も入ってくることを考えると、メガトリイ社は四国電力の1~10%程度の発電能力を月に備えたと想定できる。

また、メガトリイ社の月設備は電子戦争時から40年長期運用をしている節があり、100年分程度は燃料を運び込んでいたと想定できる。そこを考慮すれば大型小惑星を10 mずらせる、100~1000 PJの燃料があったことは不自然ではない。

ただし、その燃料が何であったかは別の問題である。四国電力の年間発電量クラスのエネルギーは、石油換算では1000万トンになり、さらに宇宙では結合する酸素も同規模で輸送しなければならない。過去最大のロケットでも静止軌道へのペイロードは2トンほどであり、通常燃料の輸送は夢のまた夢である。ツァーリ・ボンバはそれ自体の重量は27トンであり、アルゴスに電力を供給していたのは核燃料であることはほぼ間違いないだろう。

核爆発は精密に制御されなければ引き起こすことはできないが、アルゴスが内部空洞に設置されていたであろうことを考えると、単純に穴の中で臨界状態が維持され過熱状態に陥り、最終的に爆発として観測された、と言うのでも問題はないように思われる。

考えられるもっともありそうな状況

ここまで検討した諸条件から、直径300 kmモデルでもラブルパイルであれば爆破のエネルギーをもっとらしく説明でき、公転周期の短すぎる直径60 kmモデルよりもありえそうなであることが分かった。以上より、無理のない描写となる「ネオサイタマに浮かぶ月」の条件は以下のようになると考えられる。

赤道上の高度34846 km上空となる円軌道を公転周期23時間08分で周回し、30日で空を一周する。直径は320 kmをやや超える程度である。後にインとヤンと呼ばれる半球状の巨大岩塊を中心としたラブルパイル天体であり、密度は低く、中に多数の空隙を持つ。

メガトリイ社はアルゴスを設置する際に宇宙線を避けるため月の内部に着目し、ラブルパイルの空隙を埋めていた砂を取り除き、そこにアルゴスとジェネレータを設置した。このジェネレータは小型で閉鎖循環系を持つ冷却システムを採用した小型原子炉の一群であり、総出力5~10万kW程度で100年程度無補給で動かすことを前提としていた。

運命の日、各ジェネレータは暴走的な核反応を起こして崩壊したが、空隙内部に閉じ込められた現象だったため、内部で熱による崩壊が続き、予備燃料までが臨界に達し最終的に水蒸気爆発のような形で爆発する現象が引き起こされた。その結果、岩塊自体は崩壊しなかったが、インとヤンを隔てていた砂礫・レゴリスが吹き飛び、内部構造として存在していた「割れた月」が露わになった。吹き飛んだ砂礫は融解していたがほとんどが月に戻り、一部は地球に落下したが小粒であったため流星雨となった程度で済んだ。

砕月は軌道や重力分布はほとんど変えることなく、ただ爆発によって砂礫が吹き飛んだために見た目が大きく変わった状態で、同じようにネオサイタマの空に昇っている。

静止軌道付近と言うことであれば、21世紀の文明であっても十分に利活用できる。また、月が軽いことで月の重力から逃れる離脱速度が大幅に小さくなるため、ヨモツ・ニンジャによる月から地上への狙撃もより現実味を増す。過去のニンジャ文献に照らし合わせても、ネオサイタマの月が静止軌道付近にある可能性は高い。

終わりに

ネオサイタマに浮かぶ月の物理学的考証は、一言で言えば「宇宙では音がならない」ことに対する突っ込みのような、野暮な話である。作中の世界観から言えば「全てはエメツだ」で済ませても全く問題ない。しかし、あえて我々の物理法則にこだわってその点を追及しているうち、何か迫力のある怪文書が出来上がった。おそらく作中でニンジャ真実を見出した人々もこのようなプロセスで筆を走らせたのであろう。作中人物の気持ちを部分的ながら追体験できたことで、この項を書いたことも一つの読書体験として面白いものとなった。

最後に、この長大な怪文書に最後までお付き合いいただいたことに感謝申し上げる。この読書感想文を書く上で行った計算の大半はWolfram|Alphaで公式を教えてもらう形で実行した。こういった計算には便利なサイトなので、少しでもお役に立てば紹介できて幸いである。


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