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コーヒーミルを初めて買おうとしている方へ

コーヒーミルはコーヒーマニアの間では重要な器具である。コーヒーは挽くと表面積が増え、香気成分の揮発や空気中の水分との反応による劣化が大幅に進行する。このため、淹れる直前に挽くというのは常識と言ってもよい。

コーヒーミルは手動式と電動式があるが、その選択は概ね以下のような基準になるだろう。
◆初心者である。または1日に1~2杯程度
 ⇒手ごろさ、コンパクトさで手挽きを購入することが多い。
◆コーヒーを1日4杯以上の頻度で飲む
 ⇒手挽きでは大変な手間がかかるため、電動ミルを購入することが多い。

コーヒーミルにとって最も重要な性能は
①均一なサイズに挽くことができ、微粉が出ない
②微粉が出たとしても飛び散らない
の2点であろう。これは一度やってみれば分かるはずである。この基準をもとに手動、電動の両方の代表的機種を見てみよう。

手挽きミル

手挽きミルの場合は現在の技術では最適解はほぼ収斂しつつあり、
①瓶式
(微粉が飛び散らない)
②セラミック臼採用
(均一性が高く微粉が出にくい、金気がつきについ、掃除がしやすい)
③蓋がある
(臼の圧力で豆が飛び出るのを防ぐ)
この3つの条件を備えているものが好ましい。筆者が瓶式を使い始めたのは10年以上前のことだが、それ以来「抽斗式のコーヒーミルのような微粉と永遠の戦いを強いられる製品を売るのは有害」とまで言っている(タイトル画に使わせていただいているタイプのミルは自分では絶対に買わない)。世間一般の人もそう思っていたようで、今各メーカーのラインナップを見てもほぼこれらの特徴を持った製品に収束しつつあり、Amazonの中華製品もほぼこの模倣品で占められている。

このタイプのミルの代表格となるのはこちらのHARIOコーヒーミル・セラミックスリムだろう。HARIOは瓶式ミルを現代化し普及させたメーカーでもある。

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アウトドア用の場合は外部が金属製であることが好ましく、下記のパール金属の製品がよく売れているようである。

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どちらも安価(2000~4000円程度)でハンディサイズで邪魔にならないため、まずコーヒーを挽いてみたいという人はこれらで挑戦するのが良いだろう。現在はカリタなどの他メーカーもこの形の製品を多くラインナップしているので、2つ目以降にそちらを選んでもよいかもしれない。

なお、これらの製品は挽くのにある程度の筋力(握力)を要し、それなりに手間である。筆者は手挽きミルの10年選手なので1杯分を1分程度で気分転換がてら挽くが、夫婦でコーヒーマニアで1日合計10杯~などといった場合は電動ミルをお勧めする。もっとも、手挽きでも握力強化がてら挽くのも悪くはない。

電動ミル

電動ミルは1つ5万円、3kg程度の製品で、基本的にマニア向けである。マニアを満足させる性能面ではほぼ2択、カリタのナイスカットミル(現行製品はNEXT G)か、富士珈機のみるっこという評価が多い。このどちらを選ぶか悩むころにはあなたは立派なコーヒーマニアで自分の好みに従って選択するはずなので、ここではその性能については語らない。

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電動ミルの大半を占めるプロペラカッター製品は、不均一になりやすく微粉が出やすいことから、マニアならずとも初心者にとっても扱いにくい製品であることが多い。中には瓶式に近い微粉の処理が可能なものもあり、一概に全部だめとは言わないが(実際筆者もそのような「マシなプロペラ式」を使っていたことがある)、自腹で比較レビューしたいとは思えない。

あえてプロペラ式から選ぶとしたら、安くハンディサイズに近いものをお勧めする。使えなかったとして損害が小さく、持ち運びのしやすさから掃除も楽で、最悪でも老犬用のドッグフード粉砕機くらいにはなるからである。

中間型

瓶式セラミック臼コンパクトタイプの手挽きコーヒーミルは、その有用性からコーヒーミル市場のメインストリームを占めつつある。そこで思いつくのが、「このタイプの手挽きミルにモーターを付ければいいのではないか?」ということである。

これは誰でも思いつくようで、HARIOが新製品としてそのようなもの――スリムタイプ手挽ミルにつける電動アタッチメントをついに売り出している。

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ただこれ、見ての通り稼動中押さえる必要があるようで、電動である意味が半減しているのがマイナスポイントだろう。モーターとミルを両方固定するためのホルダーアタッチメントがないとつらそうである。ただ、発展すれば興味深い製品になりそうだ。





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