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コーヒー焙煎メモ

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早川コーヒーというところで「おすすめセット」というバラエティセットを買って楽しんでます。そのメモ。
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#グルメ

ルワンダ ピーベリー2018年

⭐⭐⭐ 2年前の収穫で、若干オールドクロップと言ったところ。 浅煎りでも中深煎りでもアプリコットのフレグランスがある。同じフルーティでも、エチオピア・ナチュラルのワイニーに香りとは異なるし、ニューギニアのようなフローラルな香りとも異なる。ただし、この香りはフレーバーでは弱くなる。ケニアやタンザニアと比べてもスパイシーさは弱く、飲みやすい。味は焙煎次第で酸味も苦みも立てることが出来る。かなりクリーン。 オールドクロップではあるが、香りを十分堪能することが出来た。新興産地だ

コロンビア・ウイラ県産コーヒー 垂直2種飲み比べ

いよいよ早川コーヒーの1kg×8種アソートが尽きたため、今回はモンデンコーヒーで10kg単位で生豆を買った。以前と比べても単位がずっと大きく、当面こちらのコーヒーを手を変え品を変え飲みつくす所存である。しばらく同じものを飲み続けるにあたって、以下の条件を設けた。 ・癖が強くなく、甘味と飲みやすさ重視 ・それなりに風味があって飽きずに飲み続けられる ・浅煎りから深煎りまで広く対応できる ・ハンドピックの手間がかからない選別品 ・10kg単位で買っても外れの心配が少ない ・あま

なんだこの生豆屋は……

早川コーヒーがセット売りをしなくなって代替としてモンデンコーヒーを選択、とりあえずコロンビアのウィラ州2種飲む比べ……と思ったら、なんかすごい生豆屋がある。 スペシャルティが置いてあるし、セール品以外は概ね早川やモンデンに近いリーズナブルな価格。そして謎のセール品が恐ろしく安い。小分けの価格アップもそれほどではなく、ピッキングしての味比べも楽しそうだ。 あと20kgまで送料+代引き固定で1000円かかる。代引き固定なのはなぜか……と思ったが、決済もできるECサイトを運営し

グアテマラ ラスヌーベス

旧早川コーヒーのラスト2。 一言で言って典型的な、私が好きなグアテマラであり、酸味・苦み・コクのバランスがとれ、チョコレート様のフレグランスと明るく爽やかな果実様アロマが両立し、どのような焙煎度でも美味。ザ・コーヒーといった味である。まあ、1か月ほど焙煎できなくて1か月ぶりだったという印象があるせいかもしれないが。

タイ サイアム ブルームーン

サイアムはタイの古名シャムを英語風に読んだもの。 近年のコーヒー需要の拡大を受け、コーヒーの産地も広がりつつある。コーヒー大国ベトナムと同じインドシナ山系でも開発が進んでおり、雲南はすでに名声を得つつあるが、ラオスやタイ東北部でも良品が得られるようになりつつある。 サイアムブルームーンはタイ産の選抜品だが、雲南に似た印象で、すっきりした味わいである。ただ、雲南にはない独特の重さがある。それが苦味でも酸味でも渋味でも甘味でもなく、なんと表現したらよいかわからないので、仮に「

インドネシア バリ島・アグン山

市場に出るコーヒー全体の中での位置づけは、スパイシー、アーシーな風味が特徴と言っていいだろう。この風味はマンデリン、パプアニューギニア、タンザニアとも共通性があるが、若干マイルドである。 以前バリ島のコーヒーを飲んだ時はクセを楽しむコーヒーとしてはクセが弱く、マイルドなコーヒーとしては癖がありすぎる半端な位置づけという認識だった。 今回もあまり期待せず、何も考えず汎用のフルシティで煎り、淹れる日が暑かったので遠慮もなくアイスコーヒーにしてしまったのだが、これが正解だった。

グアテマラ クラシックマヤ

早川コーヒーが被災して在庫がなかった時に、残っていた数少ないシングルオリジン銘柄として買ったもの。やはりグアテマラは日本人好みで安心感がある……と思っていた。その時は。 普通に焙煎してみると、驚くほどに「普通のコーヒー豆」の味がする。確かに煎りたて、挽きたてなのだが、これはスーパーのパック売りを買ってきたのかな?というような香りがする。なんだこれは? これはどうしたものかと思い浅煎りにしたが、まあまあ飲める。しかしこれはコーヒーにはまり込むきっかけとなったあのグアテマラで

メキシコ クステペック農園(と“グリーンコーヒー”について)

世の中、【健康と美容】というお題目が付くと珍妙なものがもてはやされていることがままある。コーヒーも例外ではなく、なにやらコーヒーの生豆をそのまま煎じて飲むという「グリーンコーヒー」なるものが存在するらしい。曰く、コーヒー生豆には入っているクロロゲン酸は加熱により失われるので生のまま取らなければならないそうだ。 コーヒーに少し知識がある方ならご存知と思うが、コーヒーらしい風味はコーヒー豆を焙煎することで(中の物質が化学変化を起こすことで)得られる。当然、生の豆を煎じたところで

グアテマラSHB

筆者は学生時代、近所に三本コーヒーの工場があり、当時三本コーヒーは小ロット焙煎サービスを試験的に行っていて、焙煎直後の鮮度の高い豆を安く仕入れることができたためにコーヒーにはまり込むことになった。当時一番気に入っていた豆がこのグアテマラSHBである。それまで飲んだどんなコーヒーでも感じられなかった強いフルーティな香りとバランスの取れた甘味・酸味に惹かれたのである。 今現在、私が常用している早川コーヒーを含め、多くの生豆小ロット販売で売り上げトップを記録しているのがこのグアテ

コーヒー煎り豆の鮮度について

前回、最近のコーヒーが美味しくなった理由として、鮮度の維持を挙げた。その中でも、コーヒーを淹れてからの話であれば可能な限り新鮮なほうが良い、というのは多くの人が同意するところだろう。 さて、問題は煎り豆の鮮度である。これについては1週間から1か月までいろいろ異論があるところで、前回はこのように書いた。 ブルーボトルのような鮮度を売りにしたところでは長くて1週間と主張していますし、焙煎豆を通販で売っているような店では2週間から1か月と主張しています。私が見た中では1か月ほど

今世紀コーヒーが美味しくなった話(下)

(続き) おいしい豆が栽培されるようになった20世紀後半、コーヒーの品質は上がらない状況が続きました。なぜなら、冷戦期間中、主要なコーヒー産地は内戦等で政情不安定が常態であり、コーヒー作りどころではない状況が長かったからです。コーヒーの代表的産地である中南米のブラジル、コロンビア、グアテマラ、エルサルバドルなどでは軍事独裁政権とゲリラの戦いが続き、時には激しい内戦になり経済は不安定でした。第2位の産地ベトナムは言わずもがなベトナム戦争がありました。モカコーヒーで有名なエチオ

今世紀コーヒーが美味しくなった話(上)

この20年ほどでコーヒーを取り巻く環境は様変わりし、おいしいコーヒーが気軽に飲めるようになりました。こうなった特に重要な要因として、 1. 作り置きをしなくなった 2. 焙煎豆を新鮮なうちに使うようになった 3. おいしい豆を容易に入手できるようになった の3つを挙げることができます。詳しい話については(文中でも紹介している)旦部幸博さんや川島良彰さんの本に当たるのが良いと思いますが、ここでは豆知識レベルの話として簡単に書きたいと思います。前後半に分けますが、前半(上)で

ベトナム ロブスタG1

スペシャルティでもなんでもなく、そもそも品種ではなく種のレベルで異なる(普通のコーヒー=アラビカ=Coffea arabica; 染色体数44、ロブスタ=Coffea canephora; 染色体数22)。香りはそれほど華やかなものではなく、カフェインとクロロゲン酸が多くて苦みも強いため、値段も安い。 ただし、ベトナムで練乳で味付けしているように、深煎りにすれば濃いミルクで甘くしても全く負けずに個性を主張し続けるという他ではなかなか得られない特徴がある。アラビカ種ではコーヒ

ブラジル カラメリッチ

💗💗 ブラジル中部のモンテ・カルメロ農協集荷の選別品。香りはナッツ香、トースト香、キャラメル香が強い。海外では普通にBrazil Monte Carmeloという銘柄で売られており、「カラメリッチ」はおそらく日本販売用の名前だろう。 名前にふさわしく、香ばしい香りで、味は柔らか。フルシティくらいで煎ればブラックでも飲みやすく、ミルクを入れてもおいしい。華やかな香りを求めるので無ければなんにでもあう安定した品質。集荷選別品であり年による品質変動も少ないのもメリットである。ブ