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後編: 最新コミュニケーショントレンドを活用したNOINの施策

今回のFuture Design Talk は「<NOIN×博報堂キャリジョ研> 時代はKOLからKOCへ!おさえておくべき美容業界の最新トレンド」と題して、美容業界の最新トレンドについてのディスカッションをお送りしています。
 
前編では、美容業界のコミュニケーショントレンドとして、KOLだけでなく、いかにKOC(Key Opinion Consumer)を動かすのか、そして商品の情緒的価値から機能的価値をいかに伝えられるかが重要であることを議論してきました。
 
後編ではNOINが企画開発を行う化粧品ブランド「sopo」の実例をもとに、より効果的なマーケティングを深堀りしたディスカッションをお届けします。

NOINが実践する、KOLとKOCの活用における3つのポイント

NOIN・渡部:「KOLからKOCへ」という価値基準の変化を受けて、NOINで出した方程式がこちらです。KOLにはPR案件として受けていただき、リーチの最大化を目指します。特に、メイクアップコンテンツではなく、スキンケア商材の場合は、化粧品に含まれる成分、つまり機能性の価値基準が非常に購買に関与している世の中になってきていますので、先ほどの「かずのすけ」さんのように化粧品成分に詳しいというバックグラウンドを持っている方であれば、リーチの最大化だけではなく、信頼性の担保がプラスできると考えています。
 
その次の存在がKOCです。彼らはTwitterやInstagramなどを使って商品を調べるというアクションをするので、そのときに本当に購入力の最大化が期待できるのがKOCのレビュー、いわゆる口コミです。
 
ここでちょっと勘違いされがちなのが、KOCは消費者でありつつも、自分が何者なのかを公開している方ということです。グルメ口コミサイトや、化粧品口コミサイトだと、投稿者の姿形は分からず、匿名ですよね? そういったレビューを書いている人ではなく、自分がどんな悩みを持っているのか、どんな肌質なのかなどを自分がアカウントの中に内包していて、かつフォロワーと日頃コミュニケーションを取っている方を、我々は影響のあるKOCとして認識しています。そういったKOCの方々のレビューが、購入力の最大化に繋がると感じています。
 
さらに、もう一つ大事なことがあります。これだけのデジタルコミュニケーションだと、POSに影響しない可能性もありますよね。ですので、KOLの声を店頭のツール類として展開できると、店頭における購入転換率の最大化を図ることができると考えています。
 
この3つのポイントを抑えることで、例えばデジタル上で情報が届いていなかった消費者に向けても店頭でコミュニケーションできるため、POSを動かすことができるんです。
 
このようにKOLとKOCの特徴を踏まえて戦略を立てていくと、消費者を動かせるコミュニケーションができるのではないでしょうか。

SNSで情報収集している層でも、店頭での商品認知率はいまだに高い

博報堂キャリジョ研・白根:前編でKOLの声を店頭でご紹介したとのことでしたが、そのような事例は何かありますか?
 
NOIN・渡部:以前にシャンプー、トリートメントのヘアケア商材において、NOIN400名のユーザーに「商品をどこで認知しましたか?」という認知媒体の統計データを取りました。蓋を開けてみると、どの商品も40%が店頭という結果が出たんです。このアンケートはInstagram経由で行ったので、普段からSNSを使って美容情報を収集している方々が回答しているのですが、それでも店頭が40%もあったのは驚きでした。
 
博報堂キャリジョ研・白根:その方々は店頭で気づいて、さらにそれをSNSでチェックして、最後に店頭で買うかどうかを決めるのでしょうか?
 
NOIN・渡部:おっしゃる通りです。ですので、店頭においてもKOLの声を届けることで気づきを作り、信頼感を担保するというのは、デジタルコミュニケーションが進む今においても非常に有効だと思っています。

これから売上拡大に必要なのは「誰が」×「何を」×「どこで」伝えるか

NOIN・渡部:昨今、いわゆるバズる商品も、情緒価値ではなく、機能価値が伝わりやすい商品に偏ってきています。ただ、単純に機能性を謳っているだけではなく、消費者に腹落ちする伝え方ができているのか、が重要です。
 
NOIN・渡部:アメリカでは現在ドクターズコスメブランドがかなり伸びているそうでして、情緒やストーリーよりも、きちんと効果が出るかどうか?が商品の強いニーズになってきていると思います。これはおそらくインフレの影響もあるのではないかと一部では言われており、物価が高くなってきている中で、より効果的なものを買う「ROI消費」の傾向が強くなってきていると考えています。特に化粧品においてはそれが顕著だと見ています。

NOIN・渡部:繰り返しになりますが、僕たちが非常に大切にしているのは「誰に、何を、どこでやってもらうのか」が重要だと思っています。「誰に」はどのようなKOLと手を組み、どのようなKOCを動かすのかが重要です。「何を」に関しては、情緒的価値を伝えるのをやめたほうがいいというわけではなく、しっかりと機能的価値も伝えることが重要だということです。どの機能が今の潮流に合うかということと、製剤のクロスポイントで機能価値を伝えていくのが大切です。「どこで」については、SNSに留まらずに店頭什器まで接点をきちんと持つことで、必ず売り上げが高まっていくと思っています。

「sopo」の実例を用いた、売り上げを作る黄金ラインナップ

NOIN・渡部:ここからは「sopo」の実例をご紹介します。先ほど言った、KOLとKOCの施策を実は段階的に使っていて、初期中期後期という形でステップ分けしています。

NOIN・渡部:KOLの初期施策に関しては、有名な美容系YouTuberの方に「sopo」のタイアップをお願いしておりましたが、これらは商品のリーチと信頼度を引き上げていくのが狙いです。
 
中期施策では、TikToker、インスタグラマー、Twitterの美容垢など、フォロワー数10万人前後のKOLの方々へのギフティングを通じて、ご自身で実際に使用した感想とともにPR投稿をしていただくことで、リーチと信頼性の最大化、商品の使用感を伝播してもらう投稿をしてもらう。そこで、フリークエンシーを上げていきます。
 
後期施策はそれらからの刺激を受けて、一般消費者の方たちが動く段階になるので、検索後の購買動機づけのためにあらかじめ口コミを形成することを狙います。その一連が、今まで「sopo」が売り上げをうまく作ってきた黄金のラインナップです。
 
最後に、こちらが2022年秋に出した商品の売り上げの日商データとTwitterの発話数をグラフにしたものです。

NOIN・渡部:アイパレットを3万個納品したのですが、3色目で即完売しました。発売から3週目までの日時平均でTwitterの発話数は一日約60件あったのですが、3週目以降どっと下がってしまったんですよね。
 
このときは、先ほどのKOL、KOLミドル、KOCの施策の流れを短期的にやってしまったんです。今後は、ボリュームをもう少し延ばすことにより、発話数を引き上げて、売り上げを倍加させる。「sopo」では、それを狙っていければと思っています。

KOL、KOCとの信頼関係も重要。プロデュースやアサインも行うNOIN

博報堂キャリジョ研・白根:反応の良いSNSの投稿はどのようなものがありますか。
 
NOIN・渡部:使用感を伝えているコンテンツ、商品の色味を伝えているコンテンツが反応が良い傾向があります。また、ストーリーズのリポストも効果的です。「sopo」のチームは、新商品を発売したときにはSNSに貼り付くようにしているので、なるべく3日以内にはリポストしますね。ただ、ストーリーズで投稿されている可能性もあるので、やはり理想は24時間以内です。特に影響力が高い方はストーリーズで投稿しがちなんですよね。
 
博報堂キャリジョ研・白根:なるほど、そうなのですね。ちなみに、NOINさんはKOLのプロデュース業務も行っていらっしゃるんですよね?また、NOIN.tvにはKOCのファンも多いと聞きますが。
 
NOIN・渡部:はい。ご紹介した「かずのすけ」さんも、弊社の業務で数多くご一緒させていただいております。常日頃からメディアも持って情報発信しており、我々は編集部も広告部も化粧品への知見が非常に多く溜まっています。ですので、多くのインフルエンサーさんとは深い関係を作らせていただいています。
 
博報堂キャリジョ研・白根:そうなんですね。やはり信頼関係は大切だと思いますので、そういったところもNOINさんの強みなのかなと思って伺っておりました。KOCのトレンドはこの数年は続くといいますか、むしろまだ日本では始まったばかりですよね?
 
NOIN・渡部:おっしゃるとおりです。
 
博報堂キャリジョ研・白根:まさにこれからだと思いますので、KOCを巻き込んだ施策はこれからどんどん増えていきそうですね。本日は、ありがとうございました!
 
企画=博報堂DYベンチャーズ・博報堂DYホールディングス戦略投資推進室
(執筆=矢内あや 編集=モリヤワオン/ノオト)
※本記事は2023/2/21に博報堂DYベンチャーズが開催したオンラインイベントの内容をまとめたものです


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