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#11 マインドフルネスの代名詞であるティック・ナット・ハン師

stand.fm『瞑想Cafe』の11回目の放送です。
今回は、マインドフルネスの普及の最大の貢献者であり、マインドフルネスが代名詞になっている、ベトナム人の禅僧ティク・ナット・ハン師に関して、お話していきたいと思います。

『瞑想Cafe』では、瞑想に関すること、マインドフルネスやヴィパッサナー瞑想、「ブッダの教え」など、瞑想に関連するさまざまなことを、その日の気分で、気軽に、誰でも分かるようにお話していきます。

この記事では第11回の放送内容を要約して、お伝えしたいと思います。

1.マインドフルネスの3つのルーツ

第9回でもご説明しましたが、マインドフルネスは目的別に、大きく3つに分けられます。

(1)ティック・ナット・ハン師が広げたマインドフルネス
1970年代から西洋で広がってきた南伝上座部仏教としてのマインドフルネス、気づきの瞑想です。

(2)マインドフルネスストレス低減法(MBSR
1970年代にジョン・カバット・ジン博士が開発した「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」のマインドフルネスです。 
これは、8週間のプログラムで、慢性的な痛みやストレスをもった患者を対象にした、現代生活におけるストレスを低減することを目的しています。

(3)Googleの開発したサーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)
2007年に、瞑想の目的をストレスの低減から「EQ(心の知能指数)」に変えて、マインドフルネスと心の知能指数EQをベースとした研修プログラムである「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」にマインドフルネスです。
この研修プログラムは、感情のコントロールと能力向上を目的としています。

このように、マインドフルネスと同じ言葉でも、目的が違うこの3つのマインドフルネスがあります。
どこから派生した「マインドフルネス」なのかを知ることは、とても大切です。

2.ティク・ナット・ハン師のマインドフルネスの歩み

(1)1926~1962年:仏教改革と社会活動に集中した若き修行僧時代

1926年、ベトナム中部に生まれ、16歳で仏道に入ります。

1960年代初期に、青少年社会奉仕校をサイゴンに創設や爆撃を受けた村の再建、学校や医療施設の建設、ホームレスとなった家族の移住支援、農業協同組合の設立などを行う草の根からの救済組織の設立など、非暴力と思いやりという仏教の二つの教えに基づいた活動を積極的に行っています。


(2)1962~1966年:本格的活動開始の時代

ベトナム戦争のさなか、アメリカ留学とベトナムへの一時帰国を通して国境を超えた行動する仏教活動を開始します。

1966年、平和使節団としてアメリカとヨーロッパを訪れるが、そのためにベトナムに帰ることが禁止されてしまいます。

その後、アメリカを訪問し、連邦政府や防衛長官ロバート・マクナマラを含む国防総省の官僚に平和への訴え、マーティン・ルーサー・キング牧師にベトナム戦争を反対するよう説得します。
広がりつつあった平和運動に刺激を与え、平和活動に貢献します。

(3)1966~1982年:プラムヴィレッジ創設準備までの時代

1967年には、マーティン・ルーサー・キング牧師がティック・ナット・ハンをノーベル平和賞に指名します。

1970年代後半には、ベトナム難民をアメリカ・オーストラリアなどが相次いで受け入れ、怒りや絶望に負けないよう、相次ぐ苦境の際には必ず瞑想を徹底的に行っています。

私たちはみんなで丘に登り、長時間歩く瞑想をしました。
数時間に及ぶこともあったその瞑想を、毎日数週間続けました。
美しい松の木、とうもろこし畑、空の雲、輝く陽光に触れるために、こうした瞑想が彼らの困難な活動を支えていたのだ。

1982年には、フランスで亡命中の仏教徒のコミュニティーとして、プラム・ビレッジを設立します。

(4)1982~2000年:サンガの時代

プラムヴィレッジを拠点に、世界へと活動を広げていきます。
世界各地での講演やリトリート、著作を通じて、マインドフルネスが広がっていきます。

(5)2000年~:世界的規模での行動する仏教活動の時代

2003年には、アメリカの国会議員を対象にした2日間のリトリートを行います。
アメリカをはじめとして、世界各地に僧院や瞑想センターが創設されます。
そして、母国ベトナムへの帰国を果たします。

政治・ビジネス・教育など多くの分野にまたがる世界的な活動を行っています。

一般読者向けの著作は85冊以上、そのうち40冊以上は英語で書かれたものを出版しています。
日本語に翻訳されているものもたくさん出版されていますので、ぜひ読んでみてください。

3.ティック・ナット・ハン師の教えの核心

ティク・ナット・ハン師は、日常のあらゆる場面で、マインドフルであること、マインドフルネス・ライフを説いています。

マインドフルネスの実践を通して、私たちは過去や未来ではなく、今現在に生きることを学ぶことです。

今現在を生きることこそ、自らの中に、また世界において平和を育む唯一の道であると説いています。

(1)プラムヴィレッジ・スタイルのプラクティス

01.呼 吸 — Breathing —
02.気づきの鐘(ベル) — Bells of Mindfulness —
03.起 床 — Waking Up in the Morning —
04.坐る瞑想 — Sitting Meditation —
05.歩く瞑想 — Walking Meditation —
06.皆で食べる — Eating Together —
07.お食事を頂く心得 (五観の偈) — Five Contemplations —
08.わかち合い — Dharma Sharing —
09.お茶の瞑想 — Tea Meditation —
10.5つのマインドフルネス・トレーニング
  ・いのちをうやまう
  ・真の幸福
  ・真実の愛
  ・愛をこめて話し、深く聴く
  ・心と体の健康と癒し
1 1. 大地に触れる — Touching the Earth —
1 2.こころのリニューアル — Beginning Anew Practice —
1 3.家に帰ってから— Going Home —

(2)プラムヴィレッジのマインドフルネス

ここでは、毎日の生活の一瞬一瞬で、生きることに深く触れることを続けていくよう実践します。
マインドフルであることは、あなたが今ここにしっかりと生きることであり、あなたのまわりの人たちや身の回りで起きていることと、一つになることです。
お皿を洗っているときも、車を運転するときも、朝のシャワーを浴びるときも、いつでも心と体をひとつに調和させるようにします。
このプラクティスでは、一日を我々が家にいる時とほぼ同じように過ごします。
ただ、歩いたり、座ったり、食べたり、何をしていてもここではそれらをマインドフルにしっかりと意識して行います。
座禅している時だけではなく、一日のあらゆる場面でも実践は続きます。
良き仲間たちにかこまれていれば、より楽しく、落ち着きとゆとりをもって実践できるようになります。
お互いを支えあいながら、外見にとらわれずに、あせらずにのんびりと、大きく心を開いて、実践を楽しみましょう!


今回は、マインドフルネスとは何か、そのマインドフルネスの代名詞であるティック・ナット・ハン師に関して、お話をしてきました。

実際には、ティック・ナット・ハン師以外にも多くの有名な僧侶の方々の活動や貢献があります。

ここに深く感謝申し上げます。




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