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#9 Googleの「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」とは何か?

stand.fm『瞑想Cafe』の9回目の放送です。
今回は、企業や一般へのマインドフルネスのブームの火付け役である、Googleの「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」に関して、話をしています。

『瞑想Cafe』では、瞑想に関すること、マインドフルネスやヴィパッサナー瞑想、「ブッダの教え」など、瞑想に関連するさまざまなことを、その日の気分で、気軽に、誰でも分かるようにお話していきます。

この記事では第9回の放送内容を要約して、お伝えしたいと思います。

1.マインドフルネスのルーツ

マインドフルネス(mindfulness)の語源は、パーリ語のsati(サティ)の英語訳で、「気づき」という意味です。

「マインドフルネス瞑想」は「気づきの瞑想」ともいいます。

さて、マインドフルネスのルーツは、1970年代に上座部仏教の僧侶が来日し、英語でマインドフルネスの書籍を多く出版され、多くのアメリカ人に広がっていきます。

この時代、マインドフルネスを広げるために活躍した方で有名なのは、

スリランカ上座部仏教僧ニャナポニカ・テラ師
ベトナム人の禅僧ティク・ナット・ハン師

アメリカで受け入れられるための工夫として「マインドフルネス」という用語を積極的に用いたのではないかと考えています。

その後、ジョン・カバット・ジン博士が開発した「マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR )」がマインドフルネスのブームに火を付けました。
MBSRの目的は、現代生活におけるストレスの低減になります。

そして、企業や一般へのマインドフルネス・ブームの火付け役である、Googleの「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」の登場です。

2.GoogleのSIY開発する経緯

Googleでは、2005年ごろから、社内でマインドフルネスのワークショップを開始したそうです。

そのワークショップには、ベトナム人の禅僧ティク・ナット・ハン師やチベット仏教の僧侶ヨンゲイ・ミンゲール・リンポチェ師などを招き、瞑想を学んだそうです。

このような歴史的な話などは、『Googleのマインドフルネス革命』で述べられていますので、参考にしてください。

マインドフルネスは、仏教瞑想をルーツとした一種の瞑想法です。
心のトレーニング法であり、気づきの瞑想です。

そのために、マインドフルネスの導入に際しては、特定の宗教に入らなければないらないと参加者が感じることなく、誰でも実践できることが大切になります。

さらに、科学的実証を伴っていることが重要です。

マインドフルネスの研究が進みにつれて、心身の病気を持つ人だけではなく、一般の人たちの心の健康や能力開発にも効果があることが分かってきました。

Googleでは、マインドフルネスの導入当初、「マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)」を導入したそうです。

ストレスがあるのは忙しい証拠で名誉なことだ

などの風潮が生まれたり、Googleの社員を引き付けることができなかったそうです。

そこで、瞑想の目的を「ストレスの低減」から「EQ(心の知能指数)」に変えて、SIYを開発しました。

3.Googleの「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」とは

2007年に、というGoogleの独自のマインドフルネスプログラムが立ち上がりました。
その後、Googleでは10人に1人がマインドフルネスを実践する規模まで広がってきています。

(1)SIYの目的

多忙なGoogleのマネジャーやエンジニアのパフォーマンスを向上のために開発されたものであり、

最新の脳科学に基づいて開発したリーダーシップ・パフォーマンス向上のプログラム
です。

マインドフルネスと科学に基づいた、リーダーのための心の知能指数(EQ)開発プログラムがSYIになります。

同じマインドフルネスであっても、その目的は大きく変わってきています。

(2)SYIの効果

効果は、個人と組織に分けています。

個人にとっての効用
外部刺激に対して、無自覚に反応するのではなく、きちんと対応できるようになる。
思いやり、やさしさが育まれる。
組織やコミュニティにとっての効用
EQ(感情敵知性)を持った組織として、自己認識、自己制御、思いやりがもてるようになる
組織としての共感力の高い決定ができるようになる

会社という環境の中で、いかに実践し、続けられるプログラムであることが重要になります。

(3)EQを構成する5つの要素

①自己認識

手法例:ジャーナリング
5~10分程度の時間で頭に思い浮かんだことを、思いついた順番に書き出していく方法です。

②自己制御

手法例:怒りのコントロール
SBNRR法=停止する、呼吸する、気づく、よく考える、反応する

③モチベーション

④共感

手法例ジャストライクミー(私と同じ)

⑤リーダーシップ(コミュニケーション)

思いやりを育む

(4)マインドフルネス瞑想の4つのプロセス

①呼吸に意識を向ける
②注意がそれる・雑念が湧く
③注意がそれたことに気づく
④雑念を手放す

(5)主なトレーニング内容

・呼吸に集中する瞑想
・マインドフル・イーティング
 ゆっくり時間をかけ、食事のみに集中する食事瞑想法
・ボディスキャンによる瞑想
 椅子に座って行います

(6)マインドフルネスの効果

・ストレス が軽減され、仕事の生産性が上がる
・感情のコントロール ができるようになり、感情的な判断ミスをしなくなる
・思いやりの気持ちが育ち、チームワーク が向上する
・アイデアが湧く脳になり、創造力が高まる

以上が、Googleの「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」の概要です。

Googleがマインドフルネスを導入したことをキッカケとして、その後インテルやTwitter、ナイキ、フェイスブック、フォード、マッキンゼー・アンド・カンパニー、アマゾンなど、名立たる有名企業が導入を始めました。

このような企業が導入している「マインドフルネス」とは何なんだろうなという興味が持ちますし、やってみたくもなります。

Googleが導入したことで、最先端の企業や一般の方にマインドフルネスが広がり、ブームになっていきます。

Googleのマインドフルネスは、「仏教系マインドフルネス」や「マインドフルネス・ストレス低減法」のマインドフルネスとは、大きく変容しています。

しかし、変容したからこそ、多くの一般の方々に受け入れられるようになったのも事実です。

4.マインドフルネスが分かりづらい理由

私は、「マインドフルネス」という言葉がいろいろなところで使われていて、どうなっているのだろう?という疑問がありました。

また、その「マインドフルネス」の使われ方にも、少し違和感をもっていました。

マインドフルネスは大きく3つの分かれています。

①Googleをはじめ企業が取り入れている「マインドフルネス」

②日常生活におけるストレス低減や治療を目的とした「マインドフルネス」

③ティク・ナット・ハン師をはじめ広めた仏教系の「マインドフルネス」

今使われている「マインドフルネス」は、もともと目的が違う上記の3系統から派生しています。

どこから派生した「マインドフルネス」なのかを知ることは大切です。

マインドフルネスの講師は、どこの瞑想を習ってきたのかを把握することは重要だと思います。

一番の問題は、いろいろな団体がそれぞれ勝手に、いろいろな手法を混ぜて「マインドフルネス」の認定している点かと思います。

これは、「マインドフルネス」に限らず、さまざまな認定資格の問題かもしれませんが、より混乱させているのが現状かと思います。


※Googleの「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」の内容は、次の本がわかりやすいです。

マンガでわかるグーグルのマインドフルネス革命


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