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道にはふたつの道がある。 (34/40)

真夜中、山道、車。
もちろん街灯もなく、ヘッドライトを消すと暗闇。
知らない道をグーグルマップを頼りに進む。

この道はちゃんとつづいてるんだろうか。
途中で崩れたりしてないだろうか。
動物が飛び出してこないだろうか。
ドアロックをして、窓もしめる。

路肩にいた大きな鹿と目があう。
山のなかでは、じぶんの存在が異物なような気がしてしまう。
排気ガスを出す鉄の塊は、排除されてしまわないだろうか。

真夜中の山道をひとりで運転していると、いつも不安になる。
すがるものは、道だけ。
道がつづいていると信じられるから、前に進める。

特に山間部を走っていると、思うことがある。こんなところにまで道が整備されているなんて。
航空写真を見ると、びっくりするほどわかる。ほとんどが山で、山と山、山と海のあいだに多くの人の暮らしがある。そんな人々の暮らしの拠点と拠点をむすんでいるのが、道。

都市部で生まれ育ったわたしにとっては、
こんなとろこにも人の暮らしがある驚きと、
ちゃんと道が整備されていることのすごさを感じてしまう。
それと同時に、10年後は変わらないにしても、20年後、50年後、100年後、この道はつづいているだろうかと不安になる。

人口が減少して税収も減っていく日本で、いまの道が維持されつづけていくと楽観的には思えない。そんな不安を書こうと思っているわけではないけど。

「道は維持されてこそ、道でありつづける」ということを、思う。
通っている道も、人の暮らしがなければ、車がとおらなければ、コストをかけて維持しなければ、道じゃなくなってしまう。

***


名神新名神、東名新東名、高速道路。
ちょっとした早口言葉みたいだけど、日本で初めてできた高速道路はいまから56年前。

日本の高速道路の開通は、1963年(昭和38年)7月の名神高速道路 栗東IC - 尼崎IC間(71.7 km)が最初である[12]。東海道新幹線開業の前年にあたるこの年に、自動車が時速100 kmで疾走する道路誕生のニュースは、世間を大いに沸かせることとなった[12]。また、このルート上にあたる京都市は、政令指定都市のなかで最初に高速道路が走った都市となった。1965年(昭和40年)には、名神高速道路の名古屋 - 阪神地区間の全線(小牧IC - 西宮IC、193.9 km)が完成し、これまで自動車で5 - 6時間を要した移動時間が、2時間程で結ばれることになった[12]。
(ウィキペディアより)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%AB%98%E9%80%9F%E9%81%93%E8%B7%AF#高速道路の開通

それから50年経って、新しい高速道路(新名神や新東名)ができはじめている。

新旧走ってみると、ぜんぜんちがう。
新しい高速道路のほうが、道幅も広く、カーブも緩やかで、格段に走りやすい。新旧どちらを通っても目的地に着くんだったら、新しいほうを選ぶ。
かといって、古い方の高速道路も新陳代謝を繰り返し維持されていて、快適に走ることができる。

そうだ、道には、新しい道をつくるという選択肢もある。
道にはふたつの道がある。
維持するか、新しくつくるか。

それは、リアルな道に限ったことではない。
華道剣道茶道柔道みたいな「○○道」や、思考回路や生きる道みたいな目にはみえない「道」もある。
そんな「道」も、維持され つつも新しくつくられている。 

じぶんの「道」も、きっと、そういうことなんだろう。

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